スマホに表示されたSNSのアプリ。子どものSNS利用を巡り、規制強化の議論が進んでいる

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 子どものSNS利用を巡り、保護強化に向けた政府内の議論が進んでいる。

 総務省の有識者会議は一律の年齢規制に慎重な姿勢を示す一方、年齢確認の厳格化を検討する。政府は事業者への年齢確認の義務化も視野に、年内にも青少年インターネット環境整備法の改正について方向性を示す考えだが、実効性の確保に向けて課題は多い。

 SNSを通じて子どもが性被害などの犯罪に巻き込まれたり、いじめに発展したりするケースが国内で相次いでいる。SNS上の情報をうのみにすることで、うつ病や自殺につながる恐れもあるとして、子どものSNS利用を規制する動きが世界的に強まっている。

 総務省の有識者会議が4月22日に示した論点整理案では「SNSは青少年の交流の手段であり、機能や内容もSNSごとに異なる」と指摘し、一律の年齢制限は「望ましくない」との考えを示した。子どもの表現の自由に配慮する必要性にも触れた。

 一方、事業者に対しては年齢確認の義務化を検討事項として盛り込んだ。SNSサービスを子どもが利用する際のリスク分析や安全対策の実施・公表を事業者に求めることも検討すべきだと言及した。

 インスタグラムやティックトックなどのSNSは青少年への悪影響を防ぐため、利用規約で13歳未満のアカウント作成を禁じている。年齢が18歳未満と確認された場合、動画の自動再生オフや利用時間の制限など依存防止措置が適用される。ただ、多くの場合は生年月日を自己申告するだけで利用でき、年齢を偽るケースもあるとみられる。

 有識者会議は年齢確認の義務化によって、事業者が定めるルールを厳格に運用させる方向性を示した形だ。林総務相は4月24日の閣議後記者会見で「年齢を偽る申告が行われた場合、事業者による保護措置が適切に機能せず、青少年に対するリスクが高まることが課題だ」と述べた。

 年齢確認手法として、携帯電話事業者を通じた年齢確認やSNS事業者への身分証提示などが検討されている。スマートフォンの利用契約には携帯事業者への身分証提示が必要となるため、携帯事業者とSNS事業者が情報を共有すれば正確に年齢を確認できるとみられる。ただ、携帯事業者と契約せずにタブレット端末などでSNSを利用する場合は利用者の情報を共有できない。

 豪州では昨年12月、16歳未満のSNS利用を禁じる法律が施行されたが、年齢確認の方法は各事業者の判断に任されている。顔認証などで年齢を判定しているが、精度が低く、すり抜ける子どもが多いと指摘されている。千葉大の藤川大祐教授は「保護者が子どものSNS利用を監督・規制する『ペアレンタルコントロール』など様々な対策を組み合わせることが望ましい」と指摘する。

◆青少年インターネット環境整備法 有害なウェブサイトの閲覧を制限する「フィルタリング」の提供を携帯電話事業者などに義務付ける法律。2009年に施行された。SNS事業者に対しては、子どもが有害情報を見られないように努力義務を課すにとどまっていた。