ヒズボラ、イスラエルに検知・阻止させない強力な兵器を配備

(CNN)爆発物を搭載したクアッドコプターがレバノン南部で屋根をかすめ、爆撃で破壊された建物の間や未舗装の道沿いを正確に飛行した。このドローン(無人機)は操縦士に標的の明瞭な一人称視点映像を示す。標的はイスラエルの戦車とその近くに立つ兵士らだ。
映像の上部には白文字でこう表示されていた。「爆撃準備完了」
このクアッドコプターは光ファイバードローンだと専門家たちは指摘した。イスラム教シーア派組織ヒズボラが多用するようになった兵器で、極めて高い精度を発揮する。阻止は困難で、検知はさらに難しいうえ、妨害される可能性のある信号を一切発することなく目標物の高解像度映像を提供する。
ヒズボラが3日に公開した洗練された動画では、重さわずか数キロのクアッドコプターが、目標に命中する。イスラエル兵らは接近にまったく気付いていない様子だった。イスラエル国防軍(IDF)によると、この攻撃で19歳の軍曹が死亡し、数人が負傷した。
光ファイバードローンはその単純さゆえに効果的だ。ドローンを遠隔制御する無線信号の代わりに、光ファイバーケーブルによって操縦士と直接有線接続する。
ケーブルは非常に細く軽量で、肉眼ではほぼ見えない。イスラエル軍の情報筋によれば、15キロ以上のばすことができるため、操縦士は安全な距離を保ちながら、ドローンから鮮明な一人称視点の目標映像を入手できる。
IDFはその技術的優位性を生かし、操縦士がドローンを制御するために使用する信号と周波数を妨害してきた。しかし光ファイバードローンは信号を発しないため、電子的に干渉できないばかりか、そもそも飛来する飛翔(ひしょう)体を検知するという点でもさらに大きな課題となっている。
「網のような物理的な障壁を除けば、できることはほとんどない」とイスラエル軍の情報筋は漏らす。「非対称戦争に適応したローテク・システムだ」
光ファイバードローンが最初に大量に登場したのはウクライナの戦場だった。ロシア軍はこれを使って大きな成果を上げ、射程をさらにのばした。
イスラエルは、ヒズボラが中国やイランから民生用ドローンを輸入し、それらに手りゅう弾などの爆発物を組み合わせていると考えているという。結果として、ほぼ目視不可能で非常に高精度の兵器が生み出され、ヒズボラは小規模だとしても、イスラエル軍に標的を絞った攻撃を実施できるようになった。中国はこれまで、紛争のいかなる当事者にも武器は供給していないと主張している。
与えられるダメージは限られているものの、低コストのこのドローンはヒズボラにとって強力な兵器だ。
「ヒズボラはすでにかなり洗練されたドローン兵器庫を持っている」とシンクタンク「新アメリカ安全保障センター」のサミュエル・ベンデット氏はCNNに語った。無人航空機に関する多種多様な経験を持つ人材も豊富にいるという。
長年にわたり、ヒズボラはイランの資金的、技術的支援を受けて、大規模なロケット・ミサイル兵器庫の構築に取り組んできた。パレスチナ自治区ガザ地区での戦闘以前、イスラエル当局者はヒズボラが長距離弾薬や精密誘導爆弾を含む約15万発のロケットを保有していると評価していた。しかし戦闘やイスラエルによる兵器庫への攻撃などを経て現在ヒズボラが保有するロケットはそのわずか10%にとどまると推定される。
イランの支援を受けるヒズボラは、イスラエル軍の戦力や技術力に対抗できないため、非対称戦を採用してきた。
IDFはウクライナでも見られたように、網などの物理的な障壁を使って飛来するドローンが部隊に到達するのを阻止しているが、イスラエル軍当局者はそれがローテクな戦術に対抗するには不十分であることを認めた。
「これはまだ対応中の脅威だ」と当局者は語った。ヒズボラが複数のドローンを同時に発射すると問題が深刻化し、飛来するドローンを特定するという任務に完全に対応しきれていないシステムを圧倒しかねない。
「ヒズボラは急速に学習していて、攻撃を連携させようとしている。それは脅威だ」
