大槌の山林火災、ホテル総支配人は「何か後方支援を」と消防隊員に浴場を開放…延べ1000人以上が利用
平成以降2番目の規模となる1633ヘクタールを焼いた岩手県大槌町の山林火災は2日、発生から11日目に鎮圧が宣言され、地元住民らは胸をなで下ろした。
先月下旬の火災発生後、寝る間を惜しんで献身的な消火活動に当たった消防や自衛隊に感謝する声が相次いだ。(藤沢彩乃、山岸憲伸)
同町吉里吉里の浪板海岸。町の観光名所の一つで、返す波が吸い込まれて消える「片寄せ波」の海岸として親しまれている。この日は、午後1時に鎮圧宣言を知らせる防災無線が鳴り響くと、訪れたサーファーたちはほっとした表情を浮かべた。
近くのサーフショップ「K―SURF」店主の杉本浩さん(58)は「これで一段落」と安心した様子で語った。火災発生後、店舗前の山の裏から炎と真っ黒な煙が上がるのが見え、「店が燃えてしまう」と危機感を抱いた。東日本大震災の津波でも店が流されており、「津波の次は山火事か」とがくぜんとした。
先月末から続いた降雨で延焼は止まり、店舗も無事だった。杉本さんは「雨にこれほど感謝したことはなかった」と振り返る。大型連休中の収束に杉本さんは「県内外の人たちにも安心してサーフィンを楽しんでもらえれば」と真っ青な海に視線をやった。
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吉里吉里漁港に船の様子を見に来た漁業川原繁夫さん(71)は「あれだけ見えていた煙が収まって一安心」と周囲の山を見渡した。
介護施設にいた母親は町外に避難。自宅や漁具を入れる小屋の近くにも炎が迫り、ホースで水をかけたり、中の道具を移動させたりと、気が休まらない日々を過ごした。先月27日から見送られていたウニ漁の解禁は8日に予定されており、「みんな待ち望んでいた。後は海が荒れず漁ができれば」とうなずいた。
同町の宿泊施設「三陸花ホテルはまぎく」総支配人の立花和夫さん(68)は「消防隊員らの尽力で被害を最小限に食い止めてくれた」と感謝する。
施設では「消火活動はできない分、何か後方支援ができないか」と、消防隊員らに無料で浴場を開放。延べ1000人以上が利用し、「助かった」という声も多く寄せられたという。
一方、大型連休中の客足は戻っていない。先月下旬からキャンセルが相次ぎ、満室だった連休中の予約は3分の1ほどに減ったという。立花さんは「観光シーズンの出ばなをくじかれてしまい、他の時期で埋め合わせるのも難しい」と嘆いた。
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達増知事は2日、「全ての関係者の方々に感謝申し上げる。国の支援をいただきながら、町としっかり連携し、森林の再生をはじめ被害状況に対応した復旧・復興の取り組みを進める」とのコメントを発表した。
