会見で笑顔を見せる井上尚弥(撮影・石井剣太郎)

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 ボクシング4団体統一世界スーパーバンタム級王者の井上尚弥(33)=大橋=が3日、横浜市の所属ジムで、東京ドーム大会の一夜明け会見を行った。元世界3階級制覇王者の中谷潤人(28)=M・T=を相手に、濃密な攻防の末に判定3−0で勝利し、防衛に成功。超満員5万5000人を熱狂させた歴史的一戦を完遂し「第2弾は全然あり」と、将来的な再戦についても前向きに語った。また、次戦についてはスーパーフライ級の3団体統一世界王者“バム”ジェシー・ロドリゲス(26)=米国=との対戦や、フェザー級での初陣の可能性も浮上した。

 最強王者のまま世紀の一戦を無事にやり遂げ、尚弥の表情はいつになく穏やかだった。一瞬も気の抜けないスリリングな攻防を12ラウンドにわたって繰り広げ、最強の挑戦者を撃破した後は笑顔で健闘をたたえ合った。

 「ひとまずホッとしている。中谷選手の技術、気迫を感じながら戦って、お互い(強打を)打っても当たらない空間を楽しんでいた」。また、中谷との将来的な再戦の可能性について「どうですかね。僕的には(再戦を)望む声があるのなら第2弾は全然ありかなと思います」と見解を示しつつ「また違うステージにいくのも選択肢の一つではある」と、複数の未来図を示唆した。

 大橋ジムの大橋秀行会長は今後の計画について「(まずは)1回休んでから。今年は1試合か2試合かもしれない。去年4試合だったから」と、年内は中谷戦で終わる可能性も明かした。また、次戦がフェザー級での初陣になる選択肢も「あります」と否定しなかった。さらに、フェザー級で井上と中谷が再戦する可能性についても「面白いんじゃないですかね」と含みを持たせ「中谷選手はスーパーバンタムでも王者になると思うし、フェザーに上げても王者になる。スーパーフェザーまでいけるんじゃないかな。(階級を)上げれば上げるほど強くなる」と展望した。

 また、この日は米老舗専門誌「ザ・リング」が、尚弥が次戦で“バム”ロドリゲスとの対戦を計画していると報じた。バムは階級を超えた最強ランクのパウンド・フォー・パウンド(PFP)でも現在4位につけており、仮に実現すれば尚弥にとって中谷戦に続いてのPFP対決となる。現時点では2階級下だが、6月13日にはWBA世界バンタム級王者アントニオ・バルガス(米国)への挑戦も決まっている。

 尚弥は4月、TikTokでのライブ配信中に「スーパーバンタム級でもう一つやりたい試合がある」と言及していたが「言ってましたっけ?記憶にございません」と華麗なスウェーでかわし、今後について「白紙」と3度繰り返して“貝”になった。

 「(さまざまな)選択肢がある中、大橋会長としっかり決めていきたい」。世紀の一戦の後も続く伝説に向けて、モンスターの周囲はめまぐるしくうごめきだした。

 ◆井上尚−中谷VTR 高度な技術戦を井上尚が制した。序盤は無数のフェイントで重圧をかけながら一瞬の隙を探る展開。中盤以降は積極的に仕掛け、11回に連打を浴びせた。決定打こそなかったものの主導権を握り、素早い身のこなしによる堅守も光った。中谷は左の強打で互角に渡り合う場面もあったが、10回にアクシデントで負傷。直前までの勢いを失った。