保釈された佐藤被告(本人インスタグラムより)

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 同居する交際相手男性(以下、Aさん)の乳首や指を切断したなどとして計3件の傷害事件に問われている佐藤紗希被告(23、2025年4月の逮捕当時)の第6回公判が大阪地裁で開かれた。

【写真を見る】SNSにはビキニ姿、シスターに仮装している姿や、キャバクラ時代の写真が多数

 この日は、判決前最後となる双方の主張が展開され、検察官は傷害罪として特に重い部類であるとして懲役6年を求刑した。一方、弁護側は傷害行為は認めるものの、これまでのAさんとの関係性から同意があった行為であるとして無罪を主張し結審した。

 これまで裁判を踏まえながら双方の具体的な主張を明らかにする。ライターの普通氏がレポートする。【前後編の前編】

※本記事には一部ショッキングな犯行態様が含まれます。

保釈後、影響力を発揮しはじめる被告人

 3月に行われた前回公判を終えて身柄が保釈された被告人。SNSの発信なども再開しており、傍聴席には被告目当てと思われる傍聴人も散見された。

 前回公判までは、パジャマのような服装で入廷することが多かった被告。この日は、白のYシャツに黒のスラックス、厚底の靴を履き、大きなメガネを着用していた。

 変化していたのは、いで立ちだけではない。弁護人から新たに提出された証拠で、事件後から週4日ほど昼間にアルバイトを始めていることが明かされた。そのほかにも、自身が所持するブランド品などを売却。養父が立て替えたAさんへの弁償金を全て払い終え、再犯防止に向けた通院治療も始めているという。

 医者からは改めて、被告の特性についての診断をされ、治療を継続する必要性や、愛情の感じ方についての歪みを指摘されたという。これまでの裁判でも指摘された点を実践していることから、弁護人は最終弁論で「立ち直りに向けて歩み始めている」と表現した。

 そして、向き合うべき事件の法的評価について、検察官、弁護人の順で最終意見が述べられていく。

検察官は「被告が作り上げたAさんを孤立させる状況」を主張

 争点は被告人が行った各種行為が、Aさんの同意があったか、または同意がなくても被告人が誤信する事情があるかどうか。
 検察官は事件にいたる前までの両者の関係から改めていく。

 被告人とAさんは2020年にSNSで知り合い交際に発展。付き合ったり別れたりを繰り返すなかで、被告の暴行の程度は徐々にエスカレートしていった。

 身体的な被害以外にも、Aさんとその親それぞれが互いに不信感を募らせるようなメッセージを送ることもあったという。そして、友人から切り離すような行為をすることでAさんを少しずつ孤立させ、被告のもとを離れられないような環境を作っていった。

 同棲期間、Aさんの通帳、パスポートなどは被告人だけが開錠できる金庫に入れられた。スマートフォンも許可されたときのみ使用できたという。

 さらに検察側は、客観的な裏付けとして、被告人が勤務していたキャバクラ店の店長に宛てた「男(Aさん)いるけど、携帯持たせてない」というメッセージや、血まみれのAさんの写真と包丁を持った被告の写真に「これで仲直り」と添えられたメッセージがあることを示した。

「乳首切り落としてみた」「指を切断したから許してあげた」などの投稿

 そのような支配下で、3つの傷害事件をAさんの証言などをもとに振り返る。

 1件目は乳首切断事件である。被告人が知人との雑談で、「乳首が取れても再生した」という話を聞き、実際に再生されるか見たいと言ったのが発端だった。
 Aさんが拒否すると「嫌なら(私のことを)好きではないね」「出て行け」などと迫られ、渋々応じることに。被告人は切断中に恐怖と苦悶の声を上げるAさんの口にタオルを詰め込んだ。スマートフォンには「乳首切り落としてみた」などのメッセージのほか、ハサミに乗せられた乳首の写真が残されていた。

 2件目は薬指切断事件。Aさんの携帯電話に風俗店の履歴があったことが発覚したのを発端に「(他の女との)結婚指輪ができないよう」などとして切断を指示した。Aさんは包丁でキズをつけることで許しを求めたが、被告は斧を購入。

 Aさんはせめてもの痛みを免れようと、睡眠薬の効果が過剰に出るような行動をしたうえで、犯行を受け入れたという。被告は「人の指初めて切った」と喜んだと言い、病院へ行くことを求めると「人が一生懸命切ったのに、何を繋げようとしてんねん」と拒否。切断した指をまな板の上に置いた写真などを撮影し、「指を切断したから許してあげた」との投稿もあった。

 3件目は暴行事件である。美容整形後の痛みに耐えかねた被告は、同じような痛みを味わうようにとAさんに対し鈍器を購入して殴らせるよう提案。拒否すると、例のごとく「私のこと好きじゃないね」などと言われたため、鈍器よりはマシという考えで、素手での暴行を受け入れた。

 続く後編記事では、これらの事件に対する検察官の求刑、そして弁護側が展開した「無罪主張」の詳細について報じる。

(後編につづく)

◆取材・文/普通(裁判ライター)