野呂佳代さん(C)日刊ゲンダイ

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【お笑い界 偉人・奇人・変人伝】#288

ジャイアント馬場さんはどこまでも謙虚で丁寧、体以上に優しい心の持ち主

 野呂佳代さん

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 拙著「吉本芸人に学ぶ生き残る力」を出版した12年ほど前、女優の野呂佳代さんからFM番組の出演オファーを頂きました。野呂さんが読んでくださり「ぜひお呼びしてほしい!」と言われたそうです。あのAKBの野呂さんから?ホンマに? なんで? とオファーに戸惑いながらお受けしました。

 スタジオには画面で見る以上にかわいくキラキラした野呂さんが。はじけるような笑顔で「よく来てくださいました!」と深々と頭を下げて出迎えてくれました。それまで礼儀をわきまえない“軽薄な”アイドルを数多く見てきていたので初対面でうれしくなりました。

 収録では「今一番お会いしたかった方です!」と最上級の紹介で始まり、「デビュー当時に演出の方にケチョンケチョンに言われて、コントって難しいですね〜」と言われたので「最初はみんな素人、できなくて当たり前ですよ。キツいダメ出しをする方が間違ってます」と言うと「あの時にお会いしたかった〜!」とまっすぐ目を見ながら心の底から絞り出すように言われたのがとても印象的でした。

 野呂さんのチャームポイントは目! 目の使い方がとにかく上手! 話を聞いている時にじっと包み込むように見つめてくれる優しいまなざしは、相づち以上の説得力がありました。

 番組ではゲストが好きな歌を3曲選ぶのですが、私が選んだ1曲が「サザエさん」のテーマ。野呂さんが不思議そうに理由を聞かれたので「僕の理想の笑いは年代を問わず、安心して見ることができる笑いなので、サザエさんが理想なんです」と答えると「なるほど、おっしゃる通りですね! サザエさんの見方が変わりそうです」とキラキラした笑顔で大きくうなずいた姿が今でも目に焼き付いています。

 収録終わりにはエレベーターまで見送りに出ていらして、ドアが閉まるまで手を振ってくださいました。お会いして2時間足らずの短い共演でしたが、その間ずっとあふれていた優しさオーラと気遣いの伝わる丁寧で素直なリアクション。まさに“聞く耳”を持っている方でした。

 人の話はとにかく「聞く」ことが大切。いつもNSCの初めての授業でとにかく積極的に耳を傾け、自分に取り入れられることをひとつでも見つける、全部捨てても、精査するうちに身につくものがある、と生徒に伝えていました。それを野呂さんは会得していらしたので「この子は厳しい芸能界でもきっと生き残れる」と確信しました。

 今や野呂さんの出演するドラマに外れナシ、と言われていますが、こうしてどんな場面でも吸収して進化を続けた結果だと思います。

(本多正識/漫才作家)