『尾上辰之助』を襲名する尾上左近さんにインタビュー

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歌舞伎俳優の尾上左近さん(20)が、東京・歌舞伎座で上演される『團菊祭五月大歌舞伎』(5月3日初日〜27日千穐楽)で、三代目尾上辰之助を襲名。公演前、日本テレビの取材(3月25日)に応じ、襲名への心境を語りました。

左近さんが襲名する『尾上辰之助』は、これまで父・尾上松緑さん(51)が二代目を名乗り、そして松緑さんの父が初代尾上辰之助を名乗っていました。初代の辰之助さんは、1987年40歳の若さで亡くなるまで、四代目尾上菊之助さん(現・七代目尾上菊五郎さん)、六代目市川新之助さん(十二世市川團十郎さん)とともに三之助と呼ばれ人気を集めました。

■“尾上左近”は12年名乗った名前 さみしい気持ちも

襲名を前に現在の心境について左近さんは「『尾上辰之助』という名前は自分にとっても憧れで、本当に大好きな名前なので、いざ自分がその名前になるという実感がいまだにわかないんですけども。3月に歌舞伎座に出させていただいていて、“左近”がそろそろ終わるという実感がわいてきまして。左近が終わって辰之助が始まる、その境目にいる妙な気分がしています」と語りました。

さらに、2014年に襲名した『尾上左近』という名前について「12年名乗ってまいりまして、祖父が初代で、父が二代目で、左近と名乗った人は3人いるんですけども。私が“一番長く名乗った左近”となりますので。左近という名前でお客さまに、先輩方に愛されたので、さみしい気持ちはありますね」と明かしました。

■祖父も父も演じた『寿曽我対面』で初役を勤める

襲名で披露される演目は、鎌倉時代に実際に起きた曽我兄弟の仇討ちを描いた『寿曽我対面』。曽我五郎を初役で勤める左近さんは「この『寿曽我対面』の曽我五郎という役は、祖父も父も辰之助襲名で演じている役でございまして、自分自身が辰之助を襲名する時はこの曽我五郎でという気持ちは昔からありました。この『寿曽我対面』というお芝居は華やかな舞台でいろんな役柄が出てきて、歌舞伎の教科書のような作品ですので、基礎が求められるものだと思っております。そんな中でこの紀尾井町の家の荒事というものをしっかり父に習って勤めたいと思っています」と明かしました。

また、演じる上で気を付けていることについて「荒事なので、どうしても声を大きく出して、大きな動きをしてということを意識するんですけど。その中にも基礎的な動きの美しさ、荒々しいけれども暴れるというわけでもないと。祖父の曽我五郎なんかを見ていると、感情的に見えて計算されている役の作り方をしているなと思っていますので、そこは暴れすぎないように、しかしお客さんから見て、はつらつな曽我五郎でありたいと思います」と意気込みを語りました。

■「祖父が亡くなった40歳までに何ができるか」 二十歳で意識すること

1月に二十歳の誕生日を迎えた左近さん。“二十歳の誓い”をうかがうと「祖父が40の年で亡くなっているので。20年、二十歳、祖父の半分生きたんだなと、それは意識することはあります。二十歳で何かをしてみたいということは特段ないですけども、祖父が亡くなった40歳までに自分が何をできるかというのは考えています」と語りました。

また、歌舞伎俳優で仲の良いメンバーについて聞くと「新春浅草歌舞伎のメンバーのお兄さん方、同世代のお兄さんたち同輩、とてもみなさん良くしていただきますけども。同世代というくくりでいうと、市川染五郎さん、市川團子さんは、特別仲良くさせていただいているのかなと思っていますけど。3人で集まっても基本的に歌舞伎の話、仕事の話をずっと、延々とし続けています」と、同世代の市川染五郎さん(21)と市川團子さん(22)との仲を明かしました。

同世代とも歌舞伎の話が絶えないという左近さんに、“ほかの俳優に負けない自身の強み”を聞くと「紀尾井町の家。代々私の曽祖父、祖父、父と荒事のもの、線の太い立役を得意とした家の中で、いろんな先輩方から教えをいただいて女方をさせていただいているので。そこはこの家にとって自分にしかない色なのかなと思っています」と語りました。

さらに、“目指す歌舞伎俳優”について「憧れ、目標、やはり祖父になるんですね、初代辰之助。それは役者としてそういった役柄をやっていきたいというのはもちろんあるんですけど、祖父の役者としての生き様、人としての生き方ということを、同じ道を歩んでいきたいとそう思っております」と明かしました。