マイクロソフト「1兆6000億円」投資で注目の「データセンター銘柄」…ソフトバンクでも、さくらでもない「日本企業の名前」
日本は世界屈指のデータセンター市場
日本は先進国で米国に次ぐ世界第2位のデータセンター市場規模を有するそうです。背景には、北米とアジア太平洋地域を結ぶ接続拠点としての地理的優位性、停電時間の少なさが挙げられ、データセンターを長期安定的に運営できる多くの条件が揃っているそうです。
日本のデータセンター事業は、1960年代の企業内電算センターから始まり、1990年代以降はインターネット普及に伴い通信キャリアなどがユーザーになりました。2010年代に入るとクラウドシフトが加速し、AWS(Amazon Web Services)などハイパースケーラーの大規模施設が急増しました。現在は生成AI需要により電力密度の高いGPUサーバーを置く場所として主流になっています。
電子情報技術産業協会(JEITA)は、2030年におけるデータセンターサービス世界市場は1兆7200億ドルとなり、2025年に比べて2倍超の規模に成長すると予測しています。また、サーバーや半導体、電子部品などのデータセンター関連製品市場は、2030年に1兆6907億ドルになると予測しており、2025年比で約2.5倍になります。
総務省が発行している令和7年版情報通信白書によると、日本のデータセンターサービスの市場規模(売上高)は、2023年に2兆7,361億円であり、2028年に5兆812億円に達すると見込まれています。5年で2倍近くの市場規模になるということです。米マイクロソフト(MSFT)は4月3日、日本のデータセンターなどに4年間で100億ドル(約1兆6000億円)を投資すると発表しました。海外のデータセンター事業者が表明した対日投資として最大級になります。市場規模は想定より大きくなりそうです。
成長が見込まれる業界の関連銘柄に投資するのは、プラスのリターンを得るための王道でしょう。この記事では日本株のデータセンター銘柄をご紹介します。なお、4月3日に明らかにされた米マイクロソフトの日本でのデータセンター投資において同社のブラッド・スミス社長が名前を挙げたソフトバンクG(9984)とさくらインターネット(3778)以外を対象としました。
世界3位のデータセンター事業者が子会社
■世界第3位のデータセンター事業者を傘下に有する:NTT(9432)
言わずと知れた国内最大手の通信業者です。2026年2月に公表された同社のIR資料によれば、国内外に992の子会社を持ちます。そのうちの一つNTTデータは、米国のエクイニクス(EQIX)、デジタル・リアリティ・トラスト(DLR)に次いで世界第3位*のデータセンター事業者です。
*Structure Research August 2025 Report より中国事業者を除き再集計
建設中の案件を含めると世界約20の国/地域で163拠点を有します。データセンター事業では2027年までに1.5兆円超の投資を計画しています。既存のデータセンターはシンガポール証券取引所に上場しているREITに譲渡し、財務の効率化も図っています。国内におけるデータセンター事業者の第一人者とみなしていいでしょう。
NTTデータは、一級建築士や施工管理技士、電気主任技術者といったデータセンター運営に欠かせない技術者が多く、この点で他社と比較して優位に立っていることを付け加えておきます。
海底ケーブル事業で参入障壁を持つ
■海底ケーブル事業世界第3位でアジア太平洋の「データハブ」を支える:NEC(6701)
1990年代はパソコン事業で知られた企業でしたが、現在はハードウェアで稼ぐ企業ではなくサービスで稼ぐ企業です。特に官公庁に強みを持ちます。
関東、関西など数カ所でデータセンターを運営していますが、それよりも特筆すべきであるのは、海底ケーブル事業米国のSubCom、フランスのAlcatel Submarine Networksとともに世界3強の一つであることです。
冒頭、日本はデータセンター事業において「北米とアジア太平洋地域を結ぶ接続拠点としての地理的優位性」があることに触れましたが、島国の日本でその地位を確保できているのは海底ケーブルがあるからです。NECの2025年11月推定によると、海底ケーブルの世界市場は24年度までは約3000億円規模でしたが、25年度以降は5000億円へ急拡大する見通しです。
海底ケーブル敷設は日本政府の後押しもある事業です。他社が容易に参入できない事業ですので、市場拡大と政府支援の両方を享受できる企業でしょう。株価は2025年11月につけた高値から35%程度下落しており、反転が期待されます。
モジュール型データセンターを販売
■事業用用地取得と「工業製品化」で優位性:大和ハウス工業(1925)
国内最大手の住宅総合メーカーです。とはいえ、売上高の半分程度は商業、事業施設で得ています。データセンターを建設するために最初に必要なことは用地の取得です。その点でいわゆるITサービス事業者とは異なる優位性をデータセンター事業で持っています。
データセンター事業に参入したのは2022年ですので、かなり最近です。現在は日本のデータセンター銀座と呼ばれる千葉県印西市で国内最大級のデータセンターを運営しています。
一方、データセンター業界の課題は、「地方への分散」です。現在関東地方と関西地方に施設が集中していることで、大規模災害発生時に大きなダメージが想定されることから、異なる場所にバックアップ機能を持たせることです。短工期かつ高耐震のプレハブやコンテナ型データセンターへの注目が集まっています。大和ハウス工業は2026年1月に工業製品的な性格を持つモジュール型DC商品「Module DPDC(Deep Project Data Center)」の販売を開始しました。工場プレハブ+現地組立により、契約から引き渡しまで従来の5分の1となる最短約1年に大幅短縮を実現しています。福島県大熊町で初のショールーム「Module DPDC Fukushima」が2026年5月オープン予定です。
電気設備工事・情報通信工事に国内トップクラスの実績を持ち、データセンター向け高圧受電・電源設備・通信インフラ・液冷対応などの専門技術を保有している住友電設を2025年に発表したTOBを経て2026年3月に完全子会社にしており、工事の内製化が可能になったことも大和ハウス工業の強みといえそうです。
電力会社の中でも注目は…
■電力供給会社だからこそデータセンター:関西電力(9503)
データセンターは建物やコンピュータといったハードウェアだけでは動いてくれません。動かすためには電力が必要です。国内には地域ごとに電力会社が存在していますが、その中から関西電力を選びました。
2023年に世界5位*のデータセンター事業者米CyrusOneと折半出資で設立した合弁会社「関西電力サイラスワン」を軸に、ハイパースケールデータセンター事業を本格展開し、京都府第1号案件の2027年度営業開始を目指しています。今後10年程度で1兆円超投資を予定しています。
*Structure Research August 2025 Report より中国事業者を除き再集計
100%子会社のオプテージは都市型のデータセンターを強化し、2026年1月に大阪市北区「曽根崎DC(OC1)」を開設済みで、2035年までに3000億円投資、3施設以上展開を計画しています。
関西電力は国内で原子力再稼働を積極的に進めており、燃料費が極めて低い安定電源を多く保有しています。これにより、燃料価格変動の影響を受けにくく、発電原価が他社より抑えられていることがデータセンター事業で強みです。
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