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厚生労働省などの調査によると、1996年度に1万228店だったコインランドリー店舗数は、2026年時点で約2万5000店超になった。コンビニ並みの利便性を持つ店舗、カフェ・洗濯代行併設型、ペット用品専用機併設店、災害時対応型のLPガス貯蔵タンクを備えた店舗など、付加価値の高い店舗が増えて多様化している。

共働き世帯の増加による家事の時短や、アレルギー・花粉対策、布団の丸洗いニーズの高まりなどは以前から言われていたが、最近は新たな理由でコインランドリーが増えている。相続税対策だ。

土地を相続した場合、コインランドリーを経営していれば、「小規模宅地等の特例」という税制優遇を受けることができる。小規模宅地等の特例とは、亡くなった人の自宅や事業用土地の相続税評価額を最大80%減額できる制度だ(面積上限あり)。遊ばせていた空き地をコインランドリーに転用すれば、評価額が80%下がる。

昨年、団塊の世代が後期高齢者に入って、日本は「大相続時代」に突入した。昨年1年間で相続された資産は46兆円にのぼる。「相続財産にまともに税金をかけられてはたまらない」とばかりに、相続した土地を駐車場やコンテナホテル、太陽光発電所にする人が増えているのだ。そして、そんな手間のかからない事業を高齢者に売り込む“相続ビジネス”が急増している。

コインランドリーは機械を設置するだけなので、特別なノウハウがなくても経営できると人気だが、ビジネス自体は赤字になってしまうことも多いらしい。NHK「所さん!事件ですよ」で橘慶太税理士は「相続税は軽減できてもトータルで損をする人もいる」と話す。

そして、「亡くなる直前に事業を始めた場合、この特例は使えない」と注意を促す。不動産価格が急騰している都内に不動産を持っている人は、できるだけ早い時期から活用法を考えた方がいいだろう。

沖縄での相続税対策

さて、この“相続ビジネス”には驚くべきものもある。沖縄では相続税対策として「軍用地」を販売しているのだ。軍用地を民間人が自由に買えるというだけでも驚きだが、相続税との関係にも驚きの仕組みがある。

日本政府は地主に「賃料」を払って、米軍に「土地提供」している。つまり、軍用地は購入しても用途があらかじめ決まっているので、地主が自由に使える土地ではない。そんな地主への配慮から、相続税の軽減制度があるのだ。相続税評価額が最大40%軽減される。

そんな軽減制度を目当てに“軍用地バブル”が起きているという。軍用地購入者の96%は相続税対策だといい、都内では「軍用地購入セミナー」も行われている。防衛省によると、県外所有者はこの10年間で1.5倍に増えている。

NHK番組の取材によれば、沖縄在住の元々の地主には、生活に困って軍用地を手放さざるを得ない人が多いという。売却して生活再建ができればウィンウィンとの考え方もあるだろうが、軍用地が“金融商品”扱いされている現状は、地元の人たちにとって複雑な感情に違いない。