「消してほしければカネ払え」韓国闇社会に蔓延る“デジタル私刑”の実態 復讐代行へ発展する「正義」の暴走、主犯格検挙も類似アカ増殖止まらず
数百人の個人情報を無断で公開し、それを口実に金品を強奪した「ZOO CLUB(ズークラブ)」の運営者が韓国で検挙された。
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ただ、SNS上ではこれと類似した「〇〇ZOO」系のアカウントが相次いで登場している。これらのアカウントは、一般人を対象に虚偽の個人情報を流布したり、過去の「ZOO CLUB」の投稿を再流布したりするなど、被害を拡大させていることが確認された。
一部のアカウントでは、晒された個人情報を活用して「復讐代行」という犯罪にまで発展している実態も明らかになった。韓国国内では、個人情報を晒す犯罪に対し厳格な処罰基準を設けるべきだという声が高まっている。
韓国法曹界によると、ソウル中央地検・刑事9部(コ・ウンビョル部長検事)は、「ZOO CLUB」の運営者である34歳の男を、情報通信網法上の名誉毀損および恐喝、性暴力処罰法違反、報復脅迫などの容疑で3月20日に拘束起訴した。
男は性風俗店の従業員や一般人、インフルエンサーなどの実名・住所・写真などを自身のSNSに無断で投稿。その投稿を削除する見返りとして被害者を脅迫し、5000万ウォン(日本円=約528万円)相当の仮想通貨を強奪した疑いがある。

男が運営していたアカウント「ZOO CLUB」は、「ZOO(動物園)」と「クラブ」を掛け合わせたいわゆる「暴露アカウント」で、2025年5月から運営されていた。
同アカウントはテレグラムのグループ「通報部屋」を通じて情報を収集。グループ参加者は約2000人に達していたという。
「通報部屋」は、特定の人物の名前や写真が投稿されると、参加者たちが「薬物をやっていた」「不倫をした」といった未確認の情報を無分別に提供し、それを事実確認なしにSNSへ投稿する仕組みで運営されていた。
韓国闇社会に蔓延る「暴露アカウント」このように、韓国で不特定多数を標的とする個人情報を利用した犯罪の先駆けは、2016年に登場した「江南(カンナム)パッチ」だ。
性風俗業界の従事者の個人情報を公開する目的で開設された「江南パッチ」は、「性風俗店で楽に稼ぎ、成功したかのように装っている者たちの実体を暴く」として、男女100人余りを対象とした無差別な個人情報流出を行った。
結局、「江南パッチ」運営者は名誉毀損の容疑などで起訴され、一審で懲役10カ月の実刑判決を受けたが、二審では被害者と合意したことで懲役10カ月、執行猶予2年に減刑された。
「江南パッチ」は運営者の検挙によって消滅したが、個人情報を利用した犯罪はその後も続いた。
2025年に江南地域の性風俗店に従事する男性を対象に暴露を続けてきた「江南ZOO」というアカウントが注目を集めると、「ZOO」を共通の名称とした暴露アカウントが次々と誕生した。
その代表格が、前述の「ZOO CLUB」だ。
地上波テレビ局『KBS』の報道によると、「ZOO CLUB」も「江南ZOO」のアカウントに影響を受けて犯行を始めたという。当初は性風俗店の女性を対象に個人情報公開を続けていたが、その後、一般人や学生にまで対象を拡大させていたことが判明した。
このほかにも最近、SNS上で「汚い人々からの被害を防ぐために作られた」と紹介されている「〇〇ZOO」という名称のあるアカウントは、一般人の個人情報を無差別的に公開する投稿を行っていた。
運営方式は「ZOO CLUB」と類似していた。一般人の身元や写真、プライバシー情報などを含む内容の文章を無断で投稿した後、その削除を条件に被害者へ金品を要求した。
情報提供はテレグラムなどの秘匿性の高いメッセンジャーを通じて行われるため、事前の事実確認は一切なされなかった。被害者は実業家や大学生、インフルエンサーなど数十人に及ぶ。
当該アカウントの運営者は「晒す対象は自分で決めるため、公益的な目的はない。金を受け取れば投稿を削除し、二度と載せない」と語る。
続けて、「自分は海外からアカウントを運営しているため、国内で活動して検挙された江南パッチやZOO CLUBとは違う」とし、「個人情報を利用したアカウントはZOO系列以外にも複数ある。7年前から大規模に運営されているアカウントもある」と打ち明けた。
個人情報を公開する投稿には、過去に「ZOO CLUB」が公開していたものもあった。
あるアカウントは「消えたZOO CLUBの資料を整理して再投稿する」と告知し、過去の暴露投稿をアップした。これは、暴露アカウントの運営者が「ZOO CLUB」の過去投稿を保存しておき、自身のアカウントに再投稿するという手法だ。このため、一度拡散された個人情報は、運営者が検挙された後も回収や削除が事実上困難であるという懸念が出ている。
「復讐代行」に発展もまた、個人情報流出という行為が「復讐代行」犯罪にまで拡大していることもわかった。

とある暴露アカウントの運営者が開設した別のアカウントでは、さまざまな復讐行為を代行するという内容の書き込みが投稿されていた。
相手の身元・口座・職場などを特定する情報収集から、スプレーでの落書き、汚物の投棄、ビラの配布、葬儀用などの花輪の送付など、多様な手法が案内されていた。
料金は50万ウォン(約5万2009円)から200万ウォン(約21万円)と提示されており、決済方法としては商品券や仮想通貨などが指定されていた。
専門家は、個人情報を利用するアカウントに対する処罰の強度を高めるべきだと指摘している。
他人の個人情報を虚偽で流布する行為は、情報通信網法上の虚偽事実による名誉毀損で最大7年の懲役が可能だが、「江南パッチ」の事例のように執行猶予にとどまるケースが多く、実効性が低いという指摘だ。
この問題について、東国(トングク)大学・警察行政学科のイ・ユンホ名誉教授は「サイバー犯罪の特性上、一度拡散された資料は運営者が検挙されても別のアカウントを通じて流通し続け、被害が繰り返される恐れがある。事件の深刻さを考慮して処罰を強化し、虚偽の情報を提供した人物に対する責任基準も設けるべきだ。身元晒しは個人情報に直結し、他の犯罪に発展するリスクがあるため、より厳格な捜査と対応が必要だ」と見解を示している。
(記事提供=日曜新聞)
