イメージ画像

写真拡大

「公園なのに何もできないじゃないか」と感じる人が増えている。看板が禁止事項のリスト「ボール遊び禁止、大声禁止、飲食禁止、素振りダメ、縄跳びダメ……」で埋め尽くされているのだ。

東京・練馬区の公園には注意書きが15枚もある。一時は24枚もあったという。山口・下関市には、「上着の前ボタンを留めましょう、紐付き手袋は外しましょう」など遊ぶ際の服装を細かく指定している看板が見られる。メディア論が専門の東京科学大学・北村匡平准教授によれば2000年代以降から禁止事項の看板が増えたという。

ここまで「ルールだらけ」になってしまった最大の原因は、自治体や管理者に寄せられる近隣住民からの苦情だ。「ボールが庭に入った」「通行人に当たりそうで怖い」といった声に対し、管理側はトラブルを避けるために「一律禁止」というもっとも簡単な解決策を選びがちである。

この十数年で顕在化して、メディアも大きく取り上げるようになったのは騒音問題だ。子どもの歓声やボールが跳ねる音を「騒音」と捉える層が増えた。例えば、2022年12月の「NEWSポストセブン」(小学館)には、名誉教授1人から「子どもの声がうるさい」という意見が寄せられたことで長野市内の公園が閉鎖されたとある。市の対応に疑問の声が上がった。少子高齢化が最大の社会問題になっている時代、これでは現役世代の子育てしようというモチベーションが削がれるばかりだ。

「『保育園児の声は騒音』に共感できるか」という厚生労働省の調査(2015年)によれば、「共感できない」とする人の割合が61%~74%を占めた。割合に幅があるのは、地域イベントへの参加度合いによるとのことで、積極的に参加している人ほど「共感できない」の割合が高くなる。いずれにしても、圧倒的多数は保育園児の声を騒音とは思っていないのである。

北村准教授によれば、ルールだらけになった理由として、公園利用の「全世代化」もある。すなわち、1956年に定められた都市公園法では「児童公園」という名称で児童の利用が主目的だったが、1993年に「都市公園法施行令」改正で「児童公園」から「街区公園」という名称になった。児童だけでなく幅広い年齢層の地域住民の利用を視野に入れて、コミュニティー形成の場と期待されている。

「この器具は大人専用です。子どもの使用はできません」と注意書きの貼られた健康器具は、2295基(1998年)から1万7733基(2019年)と7.7倍に増えた。これも公園が全世代向けになったことの証左だろう。一方、「3-6」「6-12」のような年齢制限のステッカーが貼られた遊具も増えている。これが世代間の分断を生んでいるとの指摘もある。

安全を優先するあまり、公園は子どもにとってワクワク感のない場所になってはいないか。