新世代2+オープン|フェラーリ・アマルフィにスパイダーが登場!
まず気になるのは、クーペとの差別化と実用性だろう。アマルフィ・スパイダーは、クーペ版アマルフィの美しいプロポーションをできる限り崩さず、ファブリック製ソフトトップを採用したことが最大の特徴である。しかもこのルーフは、時速60kmまでなら走行中でもわずか13.5秒で開閉可能。格納時の厚さは220mmに抑えられ、スペース効率にも優れる。荷室容量はルーフを閉じた状態で255リットル、開けた状態でも172リットルを確保しており、日常使いから1泊ないし週末の旅行まで視野に入る数字だ。フェラーリがこのモデルを単なる”気持ちのいいカブリオレ”ではなく、”現実的に使える高性能スパイダー”として仕立ててきたことがよく分かる。
ソフトトップと聞いて、遮音性や断熱性を気にする向きもあるだろうが、この点にも相当に配慮されている。5層構造のファブリックを用い、格納式ハードトップに匹敵する遮音性を目指したという。大型のリアウインドウも備え、外部ノイズの抑制にも寄与する。オープンモデルでありながら、閉じた状態ではGTとしての落ち着きを、開けた状態ではスパイダーとしての高揚感を、それぞれきちんと成立させようとした設計である。
デザインは、フラビオ・マンツォーニ率いるフェラーリ・デザイン・スタジオが手掛けた。全体の造形はミニマルで、面の張りと抑揚によって現代的なエレガンスを生み出す方向性だ。長いボンネット、大きなエアインテーク、彫りの深いフロントまわりが、フロントミドシップV8フェラーリらしい構えをつくり、リアにはアクティブスポイラーが一体化される。鍛造ホイールやカーボンファイバーのディテールも用意され、スポーティさと上質さの両方を引き立てる。
ルーフの素材と色の選択肢も、この車の個性を大きく左右する。テーラーメイドファブリック4色とテクニカルファブリック2色が用意され、新色の「テクニコ・オッタニオ」も設定された。テクニカルファブリック特有の織り目は光の当たり方によって表情を変え、ルーフそのものをスタイリングの主役のひとつとして見せる。さらにルーフを開けた際には、その素材感がトノーカバーや後方の面構成とも連続するよう考えられており、単なる”幌を畳んだ状態”にとどまらない、完成度の高い見せ方が追求されている。
ボディカラーでは、新色「ロッソ・トラモント」が導入された。アマルフィ海岸に着想を得た色彩テーマを発展させた専用色で、夕暮れ時の海と空の境界を思わせる陰影を表現したものだという。オレンジのアンダートーンを帯びた赤は、フェラーリの伝統的なロッソとはまた異なる艶やかさを持ち、アマルフィ・スパイダーの彫刻的な面をいっそう際立たせる。
インテリアは、見た目の新しさと同時に、使い勝手と質感にも目が行く。デュアル・コクピット構造を採用し、ドライバーとパッセンジャーを視覚的に分けながらも、一体感のある空間にまとめている。ダッシュボードからドア、センターコンソールまでの流れは明快で、2+レイアウトの後席も、もちろん緊急用ではなく実用性の拡張としてきちんと意味を持たせている。子どもを乗せる、荷物を置く、フェラーリでありながらも2シーターでは不可能な用途に対応していることはやはり嬉しい。
