『日本が格差社会になった「原因」はコイツ。あなたの給料が上がらない残酷な理由【マイキー佐野 経済学】』では、実業家のマイキー佐野氏が、格差拡大の本質を「感情」ではなく「構造」から読み解く。弱者救済を掲げる議論そのものを否定するのではなく、その背後で進行してきた資本と労働の力関係の変化に焦点を当てる点が本質である。

佐野氏が提示するのは、企業利益が上昇する一方で労働分配率が低下しているというデータだ。本来、企業が成長すれば賃金も連動して上がると考えられがちである。しかし現実には、増えた利益は給与ではなく資本側へと配分される比率が高まっている。ここに、給料が伸び悩む構造的背景があるという。

象徴的な比較として挙げられるのがIBMとNVIDIAである。かつてのIBMは垂直統合型の労働集約モデルで、多数の従業員を抱えながら価値を生み出していた。一方、現在のNVIDIAはファブレスかつアセットライト型で、設計やエコシステムに集中し、製造は外部に委ねる。従業員数は大幅に少ないにもかかわらず、高い純利益率を確保している。価値創造のメカニズムが「人手」から「資本効率」へ移行した結果、利益の帰属先も変わったという分析だ。

さらに、生産性と実質賃金のデカップリングも示される。戦後から1970年代前半まで、生産性の向上は賃金上昇とほぼ連動していた。しかしIT革命以降、その関係は弱まり、企業の革新が必ずしも中央値の賃金上昇に結びつかなくなった。利益率は伸びても、給与への波及は限定的なのである。

背景として挙げられるのが、資本分配率の上昇とトップ層報酬の拡大である。企業は株主価値を優先し、配当や内部留保、再投資へ資金を振り向ける。ストックオプションのように、報酬を株式で受け取る仕組みも一般化した。トマ・ピケティが示したr>gの議論、すなわち資本収益率が経済成長率を上回るという現象は、こうした現実と重なる。

佐野氏は、日本の場合はさらに複雑だと指摘する。米国のように資本分配率が上昇しているのではなく、成長そのものが弱く、賃金も資本収益も伸びきらない企業が多い。分配以前に拡大が不足しているという構図である。

生産性の高い企業ほど労働分配率が低いという逆説、そして利益が増えても給料が比例して増えない事実。感覚的な不公平感と、データが示す構造との間には隔たりがある。本動画は、その隔たりを一つひとつ検証していく。なぜ企業は資本を優先するのか。なぜ賃金は取り残されるのか。数字の裏側にある論理を追うことで、格差の輪郭が立体的に浮かび上がる。

表面的な賃上げ議論では見えにくい資本主義の力学を理解するうえで、本編の議論は示唆に富む。結論だけでなく、その過程にこそ重要な視点が含まれている。

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マイキー佐野です経済・金融・投資・経営・最新の研究やニュースなど様々なテーマについて、ズバズバ切り込んで話していきます〜2021年より最新の学術理論、経営学、経済学、社会学を紹介するYouTube「マイキーの非道徳な社会学」を開始現在はアカデミズム関係者・経営者・投資家・学生が参加するビジネススクールも運営