暗黒銀河「CDG-2」、質量の99%が見ることはできないダークマターか
見えないダークマター…でもないとはいえない。その特異な存在とは?
光を出すことも、吸収することも、そして反射もしないダークマター(暗黒物質)。目には見えませんが、実は宇宙の質量の85%を占めていると考えられています。
ダークマターはこれだけ大量に宇宙に存在するものなので、天文学者たちは宇宙の謎を説明する鍵になるはずだと考えています。数多い宇宙の謎の中には、身近な宇宙空間に存在していながら、暗すぎて認識されてこなかった銀河もあります。
暗黒銀河とは?
昨年の夏、ある天文学チームが、いわゆる「暗黒銀河」かもしれないといわれている銀河を精査しました。暗黒銀河とは、表面輝度が極めて低い珍しいタイプの銀河のこと。この研究をまとめた論文は『The Astrophysical Journal Letters』に掲載されていますが、暗黒銀河は「既知のあらゆる銀河の中でも最も極端な性質を持つはずだ」と結論づけています。
そして今回、NASAは極端に暗くダークマターを大量に含むと考えられている銀河のひとつ「CDG-2」の高解像度画像を公開しました。もし天文学者たちの仮説が正しければ、CDG-2はこれまでに確認された中でも特に多くダークマターを多く含む銀河の1つということになります。
見えないものを「見る」
繰り返しになりますが、ダークマターは光と相互作用しないものです。しかし天文学者たちは、周囲の天体に及ぼす重力の影響からその存在を推測しているのです。目に見えない質量が、銀河や惑星、恒星、超新星などに影響しているということです。
簡単にいえば、もしダークマターが存在しなければ、科学者たちが宇宙を理解するために使用している多くの理論モデルは成り立たなくなってしまいます。これまでダークマターは直接観測されたことはないですし、宇宙で観測されている現象をダークマターなしで説明できるいい理論も存在しないのです。なので現時点では、ダークマターは存在するという見方が広く受け入れられています。
見えない銀河の手がかり
CDG-2は、ペルセウス銀河団の中に位置しています。ここは、数百万個の恒星が密集した球状星団が数多く存在する領域です。
そんなペルセウス銀河団で、4つの球状星団同士が近接していることをハッブル宇宙望遠鏡が発見したのです。さらにハッブル宇宙望遠鏡、欧州宇宙機関のユークリッド宇宙望遠鏡、そしてハワイのすばる望遠鏡が詳しく観測したところ、その周囲にかすかな光が広がっていることがわかりました。そこで天文学者たちは、この光が実は1つの銀河なのではないかと考えるようになりました。
研究チームは統計解析を行ない、この4つの星団は単一の銀河に属している可能性が高く、暗黒銀河である可能性が高いと結論づけました。
「これは球状星団の集団だけから検出された初めての銀河です」と、この研究の筆頭著者でトロント大学の天文学者David Li氏はNASAの発表で述べています。
密集した環境の中で
研究チームによると、CDG-2の明るさは太陽に似た恒星約600万個分に相当し、そのうち約16%は球状星団によるものだとのこと。しかし、質量で見ると、その銀河のほとんど、約99%はダークマターが占めていると考えられています。
CDG-2に含まれる通常の物質、主に星の形成に必要な水素ガスは、ペルセウス銀河団の中で密集している他の銀河との相互作用によってはぎ取られた可能性が高いと研究チームは述べています。
仮にCDG-2が典型的な暗黒銀河ではなかったとしても、非常に特異な銀河であることに変わりないようです。論文によるとこの銀河は、星団形成の理論やその影響を検証するための理想的な対象になると考えられているとのことです。

