Image: Apple

「Apple(アップル)はAI競争で遅れをとっている」

ここ数年、そう言われ続けてきました。実際、生成AIの波を牽引しているのはOpenAIやMicrosoft、Googleで、Appleの存在感は薄めです。

でもそれってネガティブなこと?

ウォール街ではむしろ逆の見方が出てきているんですって。理由は、他のテックカンパニーと違って、Appleの株価はAIによって左右されないから。

今回は興味深い株とAIとAppleのお話です。

AI株と“連動しない”Apple

Bloombergによると、Appleの株価は現在、他の主要テック・AI銘柄とあまり連動していません。

それを示すのが「相関係数」です。これは、ある株が他の株とどれくらい同じタイミングで上がったり下がったりしているのかを示す指標です。ざっくり解説しましょう。相関関数の数字は、1に近いほどほぼ同じ動き、0に近づくほどあまり関係ない動き、-1なら違う動きをしていると考えます。

これをAppleとナスダック100指数で見比べます。あ、ナスダック100というのは、アメリカの株式市場「ナスダック」に上場している企業のうち、特に規模の大きい100社の株価をまとめたもので、この中にはマイクロソフトやアルファベット(Google)、Amazon 、メタ、エヌビディアいった名だたるテック企業が含まれています。

で、ナスダック100とAppleの株価の動きを見比べると、5月は0.92だったのが、今は0.21まで下がっています。つまり、5月くらいまではAppleとナスダック100は同じような動きをしていたけれど、今は連動していない、と見ることができるんです。

それがなんでいいのかって? AIバブルが弾けたとしても影響を受けにくいと解釈できるから。つまり、分散投資先として魅力的ってことなんです。

直近の30日間をみると、Apple株は約7%上昇している一方で、マイクロソフトとアルファベットはそれぞれ約12%、6%下落しています。

AppleはAIに頼らなくてもAIの恩恵を受けられる

今、多くのビックテック企業がAIに巨額投資をしています。CNBCによると、マイクロソフトやアルファベット、Amazon 、メタらによるAI関連の投資額は、今年だけで約7,000億ドルに達する見込みです。巨大データセンターの建設は、AIブームが続いている限りは武器になりますが、バブルが弾ければ負債になりかねません。

その点、Appleは中核がハードウェア企業です。

Phoenix Financial Servicesのチーフ・マーケット・アナリストであるウェイン・カウフマン氏はBloombergに対し、「ソフトウェアよりもハードウェアのほうがリスクははるかに小さい。それに、AIを使っても新しいiPhoneは作れない」と話しています。

確かに、生成AIが進化してもiPhoneやMacの需要は消えるわけではないでしょう。さいきん、Mac miniはローカルAI用途で人気を集めています。

それに、AppleのiPhoneの売上は引き続き好調です。先月、12月末までの3カ月間で1,438億ドルの売上高を計上し、前年同期比16%増だったと発表しました。

とはいえ、Appleが自社ブランドのAI戦略から完全に距離を置いているわけではありません。Bloombergは、同社がAI搭載ウェアラブル製品を3種類開発中だと報じています。スマートグラス、新型AirPods、そしてペンダント型デバイス。どれもiPhoneと連携し、カメラを活用する設計になるようです。なので、今後のAppleの動きはわかりません。でも今に限っていえば、Appleの弱点は強みと捉えられているみたい。

こういう見方もなかなか面白いですよね。