なぜホーバス氏の後任に国内の兼任HC選んだ? JBAが考える、Bリーグと“掛け持ち”するメリット
Bリーグ琉球の桶谷大氏が就任
日本バスケットボール協会(JBA)は3日、男子代表ヘッドコーチ(HC)を務めたトム・ホーバス氏との契約終了に関する緊急記者会見を開催した。島田慎二会長と伊藤拓摩強化委員長が登壇。後任には、Bリーグ琉球の桶谷大HCが就任することも発表した。なぜBリーグクラブの指揮官に代表HCを兼任させる道を選んだのか。強化委員長が“掛け持ち”のメリットを説明した。
ホーバス氏との契約終了という電撃発表から1日。JBAは後任として桶谷氏の起用を発表した。京都出身の48歳。2021-22シーズンから琉球を4年連続のBリーグファイナルに導き、2022-23シーズンにはBリーグ初優勝、2025年には沖縄県勢で初の天皇杯制覇も達成した。伊藤強化委員長は「おそらく日本で最も勝率が高い、最も勝ち数を挙げているコーチ」とその実績を評価する。
アシスタントコーチ(AC)にはNBAでの経験も豊富な2人のコーチを抜擢した。1人目は現在ナゲッツ傘下のグランドラピッズ・ゴールドでACを務める吉本泰輔氏。2020〜2024年はニックスに在籍し、NBAレギュラーシーズン日本人初のACにもなった人材だ。もう1人はBリーグ三河のライアン・リッチマンHC。ウィザーズのACや戦術・分析担当コーチなどを担った豊富な経験の持ち主だ。
島田会長は具体的な契約年数の開示は避けたものの、桶谷新体制は2028年のロサンゼルス五輪を視野に入れたものであり、暫定的な人事ではないと明言した。ここで2つの疑問が上がる。なぜホーバス氏のように代表専任のHCではなく、Bリーグクラブとの兼任HCを選択したのか。そしてなぜ海外ではなく、国内の指導者を選んだのか、という点だ。
伊藤強化委員長「NBAの有名なコーチが来ても勝たせるチームを作れるかは難しい」
昨年10月に強化委員長と代表ダイレクターに就任した伊藤氏は「日本のバスケットの方針を考える上で、やはり世界を学ばなければいけなかった。世界の国はどうなのかリサーチしたところ、FIBAランキングのトップ20位のだいたい8割が兼任だった」と説明。パリ五輪でも、金メダルを獲得した米国を筆頭に、スペイン、豪州、ドイツなどが普段クラブを率いているHCに指揮を任せていたという。
さらにその理由を深掘り。「バスケットは本当に今すごいスピードで進化している。戦術・戦略の高速のアップデートを現場で実施し、PDCAを回し、コーチングに反映できる。あとは実際に(代表候補選手と)対戦したり、自チームにいるということもあるが、その選手に今どういう強み、弱みがあるかをより熟知できる。それは対戦するからこそ分かること」というメリットが判明した。
男子日本代表は2017年から2021年東京五輪まで、元アルゼンチン代表HCのフリオ・ラマス氏が指揮。その後を米国出身のホーバス氏が継いだ。2人続いた外国人HC体制からの脱却となる。伊藤氏はまずBリーグの急速な発展を1つの要因に挙げた。世界中から優秀な選手、コーチが集まるようになったことで、それに刺激を受けた国内の指導者のレベルも上がってきているという指摘だ。
もう1つ、HCにとって大切なのが「どれだけ自国の、自チームの選手を知っているか」と伊藤氏。「NBAのすごく有名なコーチが日本に来てHCをしたからといって、勝たせるチームを作れるかといったらなかなか難しい。なぜならば、まず選手を知ること、日本のバスケットカルチャーを知ることから始めないといけない」。スピード感が求められる中、海外から招聘するのは現実的ではなかった。
その結果、選んだのが世界最高峰のNBAを知る2人のACと、それを束ねるリーダーシップを持つ桶谷HCだった。伊藤氏はHC選定の決め手として「シンプルに言うと、本当にいろんな人と一緒に仕事ができて、その人たちの力を最大限に引っ張ってチームを作り上げる、そして勝っている、というところ」と説明。選手やコーチ、スタッフをマネジメントする能力の高さを評価していた。
(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)
