民泊投資で「物件紹介業者」の餌食にならないためには?即決を煽られ“外れクジ”を引かされる前に知るべき「ぼったくり物件」回避術

写真拡大

民泊旅館投資を行うには、地域ごとの様々な制約や物件所有者からの許可など、クリアすべき問題が複数あります。そのため、一般的な賃貸・売買情報だけで民泊旅館物件を探すのは難しく、専門の物件紹介業者から情報を得る必要があります。しかし、なかには家賃相場を知らない情報弱者をターゲットに、「ぼったくり物件」を紹介する悪質な業者が潜んでいて、その選択には注意が必要です。本記事では、生稲崇氏の著書『民泊旅館投資サバイバル大全』(扶桑社)より一部を抜粋・再編集して、わずか3年で年間CF1000を達成し、見事FIREを実現した民泊旅館投資のプロである著者が、物件紹介業者の注意点について解説します。

民泊運営に不可欠な「物件紹介業者」に要注意

民泊旅館投資を行うにおいて、用途地域、接道、上乗せ条例、保健所や消防署の要件などを満たしているかどうかは非常に大切です。特に転貸物件(借りた物件で民泊旅館を行う)では、物件所有者の許可を得ていることも必須条件となります。そのため、一般的な賃貸情報や売買情報だけで民泊旅館の物件を探すのは難しく、専門の物件紹介業者から情報を得る必要があります。

ここでもトラブルになっているのは、転貸と売買の両方に「売りやすいから」「借りてもらいやすいから」というだけで流通されている物件です。その場合に多いのは「ぼったくり物件」です。

売買であれば、単純に価格が跳ね上がっているケースが見られます。賃貸であれば通常家賃よりも遥かに割高だったり、敷金・礼金が倍以上に設定されていたり、また、何の名目なのか不明なコンサルティング費用が発生するなどがあります。基礎知識がないと騙されて契約していまいます。

レインズ(業者間の不動産情報ネットワーク)で見たら家賃15万円で貸し出されている部屋を、その業者を介すと30万円になるなど、倍の価格になることもよくあります。しかも、民泊可能物件の数が少ないので、喜んで皆が申込するということがあります。

要するに家賃相場が分かっていない情報弱者は、不動産業者の紹介する物件が適正なのか否かの判断がつきません。それで相場よりもだいぶ高い金額で購入していたり、または賃貸するケースが後を絶ちません。いくつか悪質で有名な業者がいます。

ノールック申込&契約はトラブルの元

トラブルになりやすいパターンとしては、ノールック申込&契約の両方があります。

基本前提として、民泊可能物件が少ない中、求めている人が多いので競争が激しくなり、物件を見ることなく申込みせざるを得ないという状況があります。特に沖縄など遠方の観光地で、物件の見学もせず契約してしまうケースが散見されます。

実際に私もノールック申込&契約は経験があります。ただ、ノールックといっても現地を見ていないというだけの話で、事前にネットや提供資料から、最低限の抑えるべき情報を確認し、「この物件なら80%以上は問題ない」と決断できる場合に限ります。

それでは初心者の情報弱者ノールックと私のノールックは何が違うのかというと、必要な情報を押さえられない、判断できないまま、業者から「即決断しないと押さえられませんよ」と煽られて、何も調べずに申込してしまう点です。くれぐれも事前知識がないまま、ノールックでの申込や契約は絶対にやめてください。現地に足を運ばなくても、必要なところは調べた上で申込に進みましょう。

確認すべきは、まず旅館業の許可が取れるのか。想定した収支で運営できるか否か。それから接道や前面道路の状況です。文教地区ではないか、用途地域と地区計画の確認、条例がないか。

要するに、その物件に影響を及ぼす規制があるのか、それともないのかです。想定どおりの運営ができるのか、できないのかは重要です。

竪穴区画(火災が発生した際に、煙や炎が建物の上階や下階へ垂直方向に拡大するのを防ぐために設けられる)であれば、工事をすれば対応できますが、そもそも地域自体に営業制限があると悲惨です。私自身が経験したのは、民泊新法で上乗せ条例があり、「民泊可」の物件であるにも関わらず、確認したら土日のみ営業可能だったこともありました。

「ヤバい物件」だと知ってて紹介する業者も…

物件情報を見ても判別がつかないリスクで、賃貸契約に嫌がらせレベルの特約が付けられていることがあります。私が経験したのは大田区で好立地、100平米くらいの物件です。家賃も20万円と適正だったので、マイソク(物件情報チラシ)を見て判断し、申込みをしたところ、5ページ以上びっしりと記載された特約を送り付けられました。

特約の内容は想像しうる限りのリスクが羅列してあり、1回でも警察を呼ばれたら退居し、設備投資分は放棄という厳しいものです。とにかく、何かしら少しでもトラブルが起これば契約解除です。

しかし物件はかなりボロボロで、最低でも500万円くらいのリフォーム費用がかかりそうです。それは全部こちらが全責任を負ってリフォームする契約内容になっていました。

私の前に8人も手をあげていたにも関わらず、「生稲さん、何とか私のほうでねじこんで一番にしました!」と勧められ、いざ契約となったら、借手ばかりが圧倒的に不利となる契約内容だったのです(本来、こういった一方的に不利なものは法的に無効になりますが、気分的に嫌なので最終的には流しました)。

これまで申込みした中では、こうした「実は物件所有者がヤバい物件」の割合は1割ないくらいでしょうか。程度の問題はありますが、物件所有者が厄介なケースに加えて、隣人に問題のあるケースもあります。

物件所有者からすれば、高い家賃を払って貸したいのでしょうが、自分たちの利益に寄りすぎています。「家賃は欲しいし、リフォーム費用も出して欲しい。でも、問題を起こしたらすぐに出ていけ!」という強欲系です。

私のケースでは最初の交渉で業者から、「これ何とか押さえるから、先にお金を入れてくれ!」と頼まれました。しかし、お金を先に払うのは絶対にありえないので、「契約の内容が見えてからでないと先には進めません!」と突っぱねました。

しかし、これが初心者であれば業者に強く言われると、つい支払ってしまうかもしれません。多くの場合、不利なことは契約段階になってから発覚します。契約内容を見て辞退した場合、おそらく返金されないだろうと思います。つまり、泣き寝入りです。そうならないためにも、払う前に気づかなければいけません。

このように契約のリスクだけでなく、お金のリスクを背負うことも知っておいてください。時には賃貸契約と同時に、リフォームの手配も進めていることがあります。

特に民泊旅館系はリードタイム(所要期間)が長いため、契約の間にいろいろ手配を進めていこうとしがちです。そういったところで、この前払いのリスクを負ってしまうイメージです。

生稲 崇

不動産投資家・事業家