悔しさを成長のエネルギーに変えて。守護神・荒木琉偉が2つのPKストップでヒーローに! さらなる進化を誓う【現地発】
先攻の日本は1人目が成功し、荒木も1人目のキックを完璧に読んでストップ。日本は2人目から4人目まで成功させたなかで、止めれば決着がつくヨルダンのキック。仲間の奮戦に呼応するように荒木は驚異的な集中力で再び止め、歓喜の輪ができた。
「中学時代はPK戦で負けてきた経験のほうが多くて。クラブユース選手権、U-15高円宮杯もそうですし、代表で行かせてもらったスペイン遠征とモンテギューの大会でも、失点はしていないのにPK戦で負けた。負ける経験が多くて、自分の中で嫌な感情があって、武器にしたいと思っていた」
その流れに終止符を打ったのが、2023年夏のU-18クラブユース選手権決勝だった。FC東京U-18との決勝は3-3で延長戦を経てPK戦へ。見事に5人目を止め、MVPも受賞した。
成功体験からPKに対する苦手意識は払拭され、昨年2月のU-20アジアカップでも準々決勝で躍動。イランに勝てばワールドカップ行きが決まる大事な一戦でも、PK戦で相手の失敗を誘って出場権獲得に貢献した(スコアは1-1/4PK3)。
昨年9月のU-20W杯ではPK戦のストッパーを託され、ラウンド16のフランス戦(0-1)は延長後半終了間際に投入。直後に失点をして敗れたが、PKに対する自信は右肩上がりで高まっていた。
そして、迎えた今回のヨルダン戦。PK戦では「キッカーの特徴を見て、判断をしながら途中で変えたりしていた」と柔軟に対応し、2本を阻止して主役となった。
「成功体験が増えている。(ここ最近は)負けていないのでその流れがあって、PK戦になったら勝てるというメンタリティがある」(荒木)
充実感を漂わせる荒木だが、現状に満足はしていない。予選を兼ねたU-20アジア杯では主軸だったものの、U-20W杯ではセカンドGKという立場になったからだ。
自分の代わりにゴールマウスを預かったのは、Jリーグの舞台で出場機会を得ていたGKピサノ・アレクサンドレ幸冬堀尾(名古屋)。昨年7月のE-1選手権でA代表デビューを飾った新鋭にポジションを譲り、自身の出番は前述のフランス戦を除くと1試合だけだった。「いろんな感情があった」と振り返るように悔しさが今でもあり、ライバルの存在が刺激となっている。
