最悪の場合は失明、そうでなくても視力大幅低下…眼科医がコンタクトをつけたままの入浴は絶対NGと話すワケ
※本稿は、栗原大智『眼科専門医が教える最新知識 スマホ時代の「眼」のメンテナンス』(高橋書店)の一部を再編集したものです。

■目薬を「1回に3滴以上」は逆効果
外来ではよく「目薬は多く使ったほうが効くんですか?」と聞かれます。たしかに、感覚的にはよく効きそうな気がしますよね。
でも、それは間違い。「効果があるどころか、逆にドライアイが強くなったり、副作用が強く出たりするため良くないですよ」と患者さんには伝えています。
実際に、目薬を1回に何滴も使っている人の中には、目の表面に傷ができたり、目の周りが荒れたりしている人が多いのです。そういう方に正しい目薬の量を伝えると「目薬を何滴も使ったほうが良いと思っていた」「目薬が何滴も出てしまう」という答えが返ってきます。
目薬は1回に1滴で十分な有効成分が含まれ、添付の文章にも1回1〜2滴と書かれていますし、容器を軽く押せば適量が出るように設計されています。
では、目薬を1回3滴以上使うとどのような症状が出てくるのでしょうか。まず起こりやすいのが「ドライアイ」です。目薬を1回に何滴も使うと、もともと目の表面にある涙のバランスが崩れ、ドライアイの症状が強く出ることがあります。
特に塩化ベンザルコニウム(BAK)という成分が含まれるものは、目の表面をザラザラにする「角膜上皮障害」の恐れがあります。
■むしろ副作用が強く出る
ドライアイも角膜上皮障害も、目のかすみやゴロゴロ感、痛みなどの原因になります。そして、もう一つのトラブルが「副作用」です。目薬を何滴も使うと、効果が強くなるどころかむしろ副作用が強く出ることがあるのです。
特に緑内障の目薬には、目だけでなく全身に影響する成分を含むものがあり注意が必要です。それ以外の目薬でも、目からあふれた成分が目の周りの皮膚に残ってしまい、かゆみや黒ずみなどの皮膚トラブルの原因になることがあります。
そのため、目薬の使用は1回1〜2滴が適量です。これと似た理由で、目を洗う習慣も実は目にはよくありません。
通常の点眼ボトルから出る1滴は約0.04〜0.05mlですが、目に溜められる量は約0.02ml。つまり目薬の半分以上は目の外にあふれます。1回の点眼量は1滴で十分です。
■水道水で目を洗うのは危険
学生時代、プールの後に上向きの蛇口で目を洗った記憶がある方は多いでしょう。今も、目に違和感があるときや洗顔ついでに目を洗っていませんか?
実は水道水で目を洗うことは、目にとって良くない生活習慣です。さっぱりするのは、目の周りについた目やにが取れたり、一時的に目がうるおったりするためで、それ以外のメリットはほとんどありません。
目を洗うと、たしかに目の表面のゴミが取れることもあります。実際に、目の中に砂やゴミ、得体の知れない液体が入ってしまった場合は、緊急事態なので水道水で目を洗うようにしてください。
しかし、毎日のように目を水道水で洗うと、目の表面の涙を洗い流してしまいます。その結果、目薬の使いすぎと同じように涙のバランスが崩れてしまい、ドライアイの原因になる恐れがあるのです。ドライアイになると、目が乾いたり、ゴロゴロしたりするなどの症状が出てきます。
また、水道水に含まれる塩素が、目の表面に傷をつけることもありますし、シャワーや蛇口の水を直接当てると、水の勢いによって目に大きな負担がかかります。
■目を洗うなら「点眼型洗顔薬」
このように、毎日のように目を水道水で洗うことは悪い習慣です。
そもそも、頻繁に目を洗いたくなる時点で、ドライアイなどが原因になっている恐れもあります。症状があればまず眼科を受診するのが良いでしょう。とはいえ、どうしても目を洗いたくなるときがありますよね。
そんなときは、目を洗う専用の市販の点眼型洗眼薬を使いましょう。

これを5〜6滴使えば十分です。ただし、この点眼型洗眼薬を1日に何回も使うのは控えてください。水道水と同じように目を洗いすぎると、ドライアイなどの原因になるので注意しましょう。
得体の知れない液体が目に入ったら、水道水でもいいので10〜15分程度洗い、必ず眼科を受診してください。特にアルカリ性の液体では角膜深くまで障害し、視力低下の恐れがあります。
■タバコは目にも毒
タバコはさまざまな目の病気の原因になることが知られています。白内障や緑内障はもちろん、失明原因上位の加齢黄斑変性症(かれいおうはんへんせいしょう)のリスクも高めます。
タバコは健康に良くないと知っているし、自分はタバコを吸わないから大丈夫だと思っていませんか?
しかし、タバコはその煙(副流煙)にもさまざまな有害物質が含まれています。そのため、身近にタバコを吸っている人がいれば、本人だけでなく、周囲の方にも同じように目の病気のリスクが上がってしまうのです。
また、最近の報告では、タバコが子どもの目にも影響することが分かってきました。タバコの副流煙を浴びている子どもは、近視の発症が早く、中等度あるいは強度近視になりやすくなると報告されています。
つまり、周囲に喫煙者がいて、副流煙に接して育つお子さんは、目が悪くなりやすく、メガネが必要になる恐れがあります。また、程度の強い近視は緑内障などさまざまな目の病気のリスクになることも知られています。
■副流煙が家族の視力を奪う
このようにタバコは、大人の目の病気の原因になるだけでなく、周囲の方や、子どもの近視進行にまでも影響します。喫煙者の方は、周りの方のために禁煙をしたほうが良いです。
禁煙が難しい場合は、禁煙外来を受診して自分に合った禁煙方法を探すのが良いでしょう。どうしても難しい場合は、別室や屋外でタバコを吸える場所を探してください。
タバコを吸う人が家にいる場合は、禁煙に協力して、やめてもらうのが理想です。それが難しい場合は、別室に移動したり、副流煙がこないところに避難したりすると良いでしょう。

ちなみに、副流煙は喫煙者を中心に半径14mまで届くそうです。同じ部屋でいくら距離を取っても無理なので、部屋を変えたり、屋外に出たりするしかなさそうです。
■「コンタクト×水」で失明リスク
コンタクトレンズをしたままお風呂に入っている人もいるでしょう。しかし、実はコンタクトレンズをしたままシャワーを浴びたり、プールに入ったりすることは、目にとても危険な行為です。

日本コンタクトレンズ協会のホームページでも、「こんな使い方をしたらダメ」という項目で、コンタクトレンズをつけたまま水泳や入浴をしたり、シャワーを浴びたりしないように呼びかけています。
それでは、コンタクトレンズをつけたままの水泳や入浴、シャワーはなぜいけないのでしょうか?
これらに共通しているのはいずれも「水を使う」ということです。水回りにはさまざまな微生物がいますが、特に「アカントアメーバ」という微生物には注意が必要です。アカントアメーバによる感染症(角膜炎)は、治療が難しい目の病気の一つです。最悪の場合は失明してしまいますし、そうでなくても大きく視力が下がる原因になりえます。
コンタクトレンズをつけて水泳や入浴をしたり、シャワーを浴びると、コンタクトレンズと水が接触する機会が増えます。そして、アカントアメーバや他の微生物による感染症のリスクが高まるというわけです。
■風呂用メガネは必需品
中には「今まで起きていないし大丈夫だろう」と考える方もいると思いますが、それは運が良かっただけです。
僕もこの事実を知るまでは、コンタクトレンズをつけて風呂に入っていましたが、今は風呂用のメガネを使っています。「度数が入っていないと不便」「わざわざこのためにメガネを買うのは難しい」という方もご安心ください。最近は度が入っているお風呂用メガネが売っています。
もし持っていなくても2000〜3000円程度で買えますので、目を守るために1本購入してみてください。もちろん、古くなったメガネをお風呂用にしても良いです。僕はそうしています。
アカントアメーバ角膜炎の患者さんには、コンタクトレンズ使用者が多く、重症になる方は、レンズのこすり洗いを毎日していない、ケースを3カ月ごとに替えていないなど管理が甘いようです。
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栗原 大智(くりはら・だいち)
眼科医
2017年、横浜市立大学医学部卒業。済生会横浜市南部病院にて初期研修修了。2019年、横浜市立大学眼科学教室に入局。日々の診察の傍らライターとしても活動しており、m3や日経メディカルなどでも連載中。「視界の質=Quality of vision(QOV)」を下げないため、診察はもちろん、SNSなどを通じて眼科関連の情報発信の重要性を感じ、日々情報発信にも努めている。資格:日本眼科学会専門医
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(眼科医 栗原 大智)
