冷凍食品 がいま「クール」な理由 Z世代が変えた食卓の常識

記事のポイント
米国の冷凍食品市場はインフレを背景に拡大し、Z世代が主要な購買層となっている。
新興ブランドのエバーグリーンやジェシー&ベンズが高品質・健康志向商品で市場を刷新している。
冷凍食品は「備蓄品」から「日常食」へと認識が変化し、信頼と品質が成長の鍵となっている。
米国の冷凍食品市場はインフレを背景に拡大し、Z世代が主要な購買層となっている。
新興ブランドのエバーグリーンやジェシー&ベンズが高品質・健康志向商品で市場を刷新している。
冷凍食品は「備蓄品」から「日常食」へと認識が変化し、信頼と品質が成長の鍵となっている。
買い物客が創意工夫を凝らすなか、冷凍食品売場が熱を帯びている。
消費者の認識の変化、製品の革新性、利便性、価値によって、最近の冷凍食品の人気は非常に高まっている。米国の冷凍食品協会(Frozen Food Institute)は2025年1月、冷凍食品の小売売上高が83億ドル(約1兆2680億円)に達し、好調なスタートを切ったことを報告した。この報告によると、冷凍の食事とデザートが最大の売上を占めているが、この成長の最大の原動力となったのは動物および鳥類を含む食肉だったという。
Z世代がけん引する冷凍食品ブーム
しかし、最近の冷凍食品人気の最大の原動力は、おそらくインフレだろう。現在の経済状況によって、米国人は食料品の買い控えを余儀なくされている。そのため、多くの人が解決策として冷凍食品に目を向けている。分析・追跡サービスを提供するスマートセンス(SmartSense)が2025年9月に実施した調査では、回答者の39%が、冷凍食品は日持ちがするので多く買うと答え、63%がセール中や先行きが不確実な時期に買いだめすると答えている。スマートセンスによると、特にZ世代はこのカテゴリーへの関心が強く、彼らの51%が冷凍食品の備蓄を「インフレに対抗するためのライフハック」と考えている。
スマートセンス・バイ・デジ(SmartSense by Digi)のプレジデント、ガイ・イェヒアブ氏は、冷凍食品は常にコストパフォーマンスの視点で考えられてきたが、最近の買い物客は節約だけを求めているわけではないと述べる。
特にミレニアル世代とZ世代のあいだでは、「インフレが進むにつれて、日常の買い物に占める冷凍食品の割合が大きくなる可能性がある」とイェヒアブ氏は話す。「若い買い物客にとって、冷凍食品はもはや単なる備えのための選択肢ではなく、将来頼りになる、手頃で実用的な選択肢だ」。
それでも、冷凍食品ブランドは特定の分野ではまだ道半ばだ、とイェヒアブ氏は言う。一部の消費者を冷凍食品ブランドから遠ざける要因のひとつに、食品の安全性に関する懸念の高まりがある。たとえば、イェヒアブ氏によれば、調査回答者の30%が、食品リコールが原因で冷凍食品ブランドの購入を止めたことがあると答えている。
冷凍庫をリフレッシュしたい小売業者は、健康志向のブランド、特にフライドポテトやピザロールのような懐かしの人気商品を刷新しようとするブランドにますます注目している。
そんな新興企業のひとつが、冷凍ワッフル・ブランドのエバーグリーン(Evergreen)だ。2020年に設立されたエバーグリーンは現在、スプラウツ(Sprouts)、ホールフーズ・マーケット(Whole Foods Market)、クローガー(Kroger)など、全国約8500店舗で販売されている。2024年、エバーグリーンの売上高は930万ドル(約14億2100万円)に達し、2025年はその2倍以上になる見込みだ。
エバーグリーンの創設者で最高経営責任者(CEO)のエミリー・グローデン氏は、同社の急成長は冷凍食品売場がルネッサンスを迎えていることの証だと語る。
「冷凍食品売場は、灰色で形の崩れた野菜や、10年前に作られたような味がするワッフルを隠す、霜で覆われた扉の国だった」とグローデン氏は言う。これらの商品の多くは、冷蔵庫が空になったときの「万一のため」の備蓄品として購入されるものだった。「いまの冷凍食品売場は妥協の産物ではなく、目的地になった」。
信頼と品質で広がる冷凍食品ブーム
冷凍食品の最大の価値提案のひとつは、無駄を出すことを恐れず買いだめできることだ、とグローデン氏は続ける。「買い物客は、冷凍食品が傷んでしまい、お金が無駄になることはないとわかっているので、我々の商品は家庭の真の主食になれる」とグローデン氏は言う。
グローデン氏は、買い物客の期待が高まるなか、ブランドは期待に沿える味と品質を提供しなければならないと言う。「何よりもまず、我々の製品はおいしくなければならない」と同氏は語る。「そして、冷凍食品売場は、いまやレストラン並みの品質を誇り、同時に、依然としてコストパフォーマンスを提供する場でもある」。9月、エバーグリーンはホールフーズ・マーケットで「シック+フラッフィー(Thick + Fluffy)」と呼ばれる新ラインの展開を開始した。より大きなサイズの家庭用ワッフルがほしいという顧客の声に応えてのことだ。
アボカドオイルや牧草飼育牛脂を使用した冷凍フライドポテトのブランド、ジェシー・アンド・ベンズ(Jesse and Ben’s)もまた、大規模な小売店展開の真っただ中にある。「我が社は最近、ホールフーズ・マーケットでの全国展開のため、ベンチャーキャピタルから資金調達(金額は非公開)した。
ジェシー・アンド・ベンズの店舗数は、2024年6月にわずかな店舗でスタートしたあと、2025年8月に始まったホールフーズへの進出により、1500店舗を超えることになる。
ジェシー・アンド・ベンズ共同創設者のジェシー・コーニグ氏は、小売企業や投資家からの関心は、冷凍食品売場の改革に対する意欲の高まりを示していると語る。
コーニグ氏によれば、同社が投資家と話を始めた当初は、その複雑なロジスティックスを理由に冷凍食品カテゴリーへの支援をためらう投資家もいたという。「しかし、徐々に、冷凍食品というカテゴリーが食料品店の興味深い一部となりつつあり、意見も変わってきている」とコーニグ氏は言う。現在、同社にとっての最大の課題は、小売店の店頭で商品在庫を維持し続けることであり、コーニグ氏は、サプライチェーンのインフラを強化し、従業員を増員することでそれを改善したいと考えている。
食料品を買いにくる若い世代の冷凍食品に対するオープンな姿勢は、今後数年間の冷凍食品の成長を促進すると予想される。「冷凍食品ブランドは、悪いPRイメージを克服する必要がある」とスマートセンスのイェヒアブ氏は言う。「小売企業にとっては、価格だけがチャンスではなく、信頼性を提供し、長期的なブランドロイヤルティを構築するチャンスにもなる」。
[原文:Frozen food is having a moment as consumers seek value and convenience]
Gabriela Barkho(翻訳:藤原聡美/ガリレオ、編集:坂本凪沙)
