錆びやすい過剰設計ボディ ホーク・エステートとスーパースナイプ(1) 戦前が香るハンバー
過剰設計の水準にあった錆びやすいボディ
ザ・ビートルズが世界を湧かせる前、英国の自動車ブランドは上級サルーンでしのぎを削っていた。ジャガーやベントレーに劣らない華やかさを、フォードやヴォグゾール(英国オペル)は市民へ提供した。今回取り上げる、今はなきハンバーも。
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4気筒エンジン版はホークで、格上の6気筒版はスーパースナイプを名乗った。3.0Lエンジンのローバーほど高級ではなくても、広々としたキャビンが快適なファミリー・ドライブを叶えた。ボディは錆びやすかったが、過剰設計といえる水準にあった。

ハンバー・スーパースナイプ・シリーズV(1958〜1967年/英国仕様) ジャック・ハリソン(Jack Harrison)
ルーツ・グループのブランドとして、ホークとスーパースナイプは初のモノコック構造を採用。ロンドンでプレスされたボディシェルは、北西へ150kmほど離れたウォリックシャー州へ運ばれ、組立作業が進められた。
ちなみに、オーストラリアとニュージーランドでノックダウン生産されてもいる。
ワゴンボディを担当したカーボディーズ
他方、その頃目新しかったステーションワゴンを組み立てたのは、ロンドンタクシーで有名なカーボディーズ社。最大積載量385kgの秀でた利便性と引き換えに、価格は200ポンド上乗せされた。
トランスミッションは、追ってオートマティックも登場するが、コラム・マニュアルが標準。スーパースナイプは、1800rpmから得られた充分なトルクを武器に、3速のみ。ホークには4速が組まれ、オーバードライブで回転数を抑えることもできた。

ライト・グリーンのハンバー・ホーク・エステート・シリーズIVと、ダーク・グリーンのハンバー・スーパースナイプ・シリーズV ジャック・ハリソン(Jack Harrison)
スーパースナイプには、オプションでパワーステアリングを設定。3Lエンジン以下の英国車としては、初めてだった。
スタイリングは、アメリカ車への影響を隠さないもの。ささやかなテールフィンとクロームメッキ・トリムで飾られたボディは上品と呼べたが、1950年代風で、流行の先端ではなかった。長いホイールベースが、広い車内空間を実現していても。
戦前の香りが否めないシャシー
エンジンは鋳鉄製。後輪駆動ながら、搭載位置はフロントアクスルの前寄りで、リジッドのリアアクスルはリーフスプリングで支えられた。東アフリカ・サファリラリーなどで一定の活躍を残すものの、エキサイティングな操縦性は期待させなかった。
1957年発売の、ホーク・シリーズ1に積まれた4気筒は2267cc。1948年登場の先代譲りだったが、点火を制御するディストリビューターの位置が変更され、ボンネットの高さを低くすることができた。

ハンバー・スーパースナイプ・シリーズV(1958〜1967年/英国仕様) ジャック・ハリソン(Jack Harrison)
サスペンションは、フロントがウィッシュボーン式。ゴムマウントを挟んだサブフレームで支持され、ノイズが抑えられた。タイヤはホワイトウォールが標準。シャシーの注油ポイントが20か所もあり、戦前の香りは否めなかった。
翌1958年に登場したのが、106psで過不足のない動力性能を備えた、6気筒のスーパースナイプ。ボディはホークと共有しつつ、上級モデルとしてクロームメッキの数を増やし、ヒーターが標準装備された。
160km/hの最高速度を叶えたシリーズV
6気筒ユニットはアームストロング・シドレー社による設計で、燃焼室は半球形。排気量は2.6Lで始まったが、1959年にはシリーズ2へ更新され、3.0Lへ拡大している。
1960年にはスーパースナイプ・シリーズ3へ進化。ヘッドライトが強力になり、フロントグリルとフェンダーのラインを変更。1964年にはシリーズVへ改められ、ルーフ形状がスクエアになり、給排気系の改良で最高速度は160km/hに届いている。

ハンバー・スーパースナイプ・シリーズV(1958〜1967年/英国仕様) ジャック・ハリソン(Jack Harrison)
またシリーズVでは、パワーステアリングが標準に。発電機は、直流のダイナモから交流のオルタネーターへ置換された。並行してホークも改良は続けられ、フロントにディスクブレーキを獲得。ヒーターも標準になった。
ただし、ステーションワゴンのルーフラインに限っては、当初から変更はなかった。具体的な数は曖昧なものの注文は多くなく、金型の用意が難しかったのだろう。
この続きは、ホーク・エステートとスーパースナイプ(2)にて。
