フランス料理を肩肘張らず、ワイン片手に粋に楽しむ。そんな時間を存分に過ごせるのが〈ビストロ〉だ。ビストロといえば、大迫力のステックフリットやパテ、冬の名物・カスレにオニオンスープなど飾り気なしの真っ向直球メニューがひとつの顔です。そんな定番最高!な料理を、ワインとともに楽しみたい。

直球勝負ながらも洒脱な気骨あるビストロ『DIALOGUE(ディアログ)』@下北沢

クラシカルなフレンチを気軽に楽しめると評判の店。老舗フランス料理店『カストール』の同僚だったシェフとソムリエがタッグを組み、2013年にオープン。

おすすめの「グリル野菜のテリーヌ」は野菜の食感や甘みを活かした彩りも豊かな一品。鹿肉のロティは、しっとりとしていてコク深い。小麦粉と卵を練って作る付け合わせのパスタ・シュペッツレにもこだわる。日本ではなかなか食べられないフランスの味を楽しんでもらうため、手作りしているのだそう。

グリル野菜のテリーヌ1200円、オレンジワイン1400円

『DIALOGUE(ディアログ)』(料理)グリル野菜のテリーヌ 1200円 (ドリンク)オレンジワイン 1400円 10種類以上の野菜が使われて、なんとも鮮やか。それぞれの食感の違いが刺激的だ

シェフ・好井祐輔さんは本場の味を学ぶため、あえてフランス郊外に留学した経験もある人。今でもそのつながりを大切にしながら「本当にフレンチを作れているか」と常に自問自答するという。

ソムリエ・下川亮平さんはテンポよく、柔軟な対応で居心地の良さを生んでいる。ワインに迷ったときにも、お任せすれば間違いない。

そんなふたりのぶれないフランスへのリスペクトを感じさせる、これぞ“真っ当な”ビストロだ。

『DIALOGUE(ディアログ)』(右)シェフ 好井祐輔さん、(左)ソムリエ・マスター 下川亮平さん

シェフ:好井祐輔さん、ソムリエ・マスター:下川亮平さん「友人の家に来たような感覚で楽しんでほしいです」

『DIALOGUE(ディアログ)』欧州のアンティークチェアが並ぶ店内。フランスにあるような明るいテラス席のお店をイメージした

[住所]東京都世田谷区北沢3-23-21・1階
[電話]03-6804-8820
[営業時間]12時〜15時(14時LO)、18時〜23時(22時LO)
[休日]火(不定休あり)
[交通]小田急線ほか下北沢駅中央口より徒歩7分、小田急線東北沢駅西口より徒歩6分

クスクスはもちろん、多彩なアラカルトも魅力『couscous Rougir(クスクスルージール)』@下北沢

下北沢の路地裏に、こんなに居心地よく、かつ個性的なメニューの“クスクス”をメインに掲げるビストロがあったとは。加えて、肉・魚・野菜を使ったアラカルトメニューも常時20種ほど用意があり、それら料理に寄り添うワインもビオを中心に豊富に揃える。

元は北アフリカ料理のクスクス。フランスでは家庭料理としても親しまれる、仔羊や鶏、野菜などを煮込んだスープをクスクス(粒状のパスタ)にかけて食べるメニューだ。これをオーナーシェフの金子さんが開店当初からメインに据えようと決めたのは、自身の大好きな仔羊料理を堪能させる店をと思い立ったから。

クスクスロワイヤル(仔羊、メルゲース、ひな鶏が揃った贅沢クスクス)M5860円

『couscous Rougir(クスクス ルージール)』クスクスロワイヤル(仔羊、メルゲース、ひな鶏が揃った贅沢クスクス)M 5860円 仔羊と鶏、自家製メルゲーズや野菜をコトコト煮込んだスープをクスクス(写真奥)にかけていただく

名物の「クスクスロワイヤル」に入れる仔羊は、スープで煮込む前に一度炭火焼にしてあり、すこぶる香りがいい。

おまけにサイズもメニューによりSS〜Lまであって、お腹の空き具合に合わせて注文できるというありがたさ。これならワイン片手にアラカルトからスタートし、締めのクスクスまで自由に堪能できる!

『couscous Rougir(クスクス ルージール)』オーナーシェフ 金子浩二さん

オーナーシェフ:金子浩二さん「おひとりでもお気軽に。量の調整などいたします」

『couscous Rougir(クスクス ルージール)』なんとも寛げる店内

[住所]東京都世田谷区北沢3-21-5ユーワハイツ北沢1階
[電話]03-6407-1988
[営業時間]18時〜23時(22時LO)
[休日]水、臨時休業あり
[交通]小田急線・京王井の頭線下北沢駅中央口から徒歩5分

豚肉と内臓への愛を叫ぶ黒板メニュー『ワイン食堂SAjiYA』@代々木公園

メニューはほぼ定番で、オープン当時から変えていないそう。その大半に豚肉や内臓が使われていて、そこに少し季節の料理を差し込んでいくのがこの店のスタンダード。

「内臓好きということもありますが、フレンチで内臓料理があったらうれしいかなと思うんです」と田中篤シェフ。

豚ヒレ肉のロティ2400円、ロゼワイン1300円

『ワイン食堂SAjiYA』(料理)豚ヒレ肉のロティ 2400円 (ドリンク)ロゼワイン 1300円 柔らかいヒレ肉に、とうもろこしの粉で作ったクッキー状のものを砕いて粒マスタードと一緒にまとわせ、ジューシーに焼き上げている

確かに。フランスの食文化に内臓や豚肉は欠かせないもの。かの地の文化を感じられるのもビストロの醍醐味だ。そこにとっつきやすい“親しみやすさ”を加えるのが田中篤シェフのスタイルでもある。

例えば「豚アバのポテトサラダ」は、豚の内臓を刻んで腸に詰めるアンドゥイエットからの発想で、じゃがいもと合わせて親しみやすく。“贅沢春巻き”と田中篤シェフがいうのはパータブリック包み。豚足のとろんとしたゼラチンが春巻きの具のとろみを思わせる。

そう聞くとなんだかフレンチが身近に感じられてくる。どの料理もクセがなくて食べやすく、やさしいナチュラルワインともぴったり合う。

『ワイン食堂SAjiYA』(左)シェフ 田中篤さん、(右)マダム 池上ひさかさん

シェフ:田中篤さん、マダム:池上ひさかさん「料理に合うワインもおまかせください」

『ワイン食堂SAjiYA』古いビルの1階という空間がパリの街角のビストロを思わせる

[住所]東京都渋谷区神山町9-17神山ビル101
[電話]03-3481-9560
[営業時間]18時〜23時(レストランメニュー21時LO)
[休日]月、第3火
[交通]地下鉄千代田線代々木公園駅2番出口から徒歩9分、小田急線代々木八幡駅から徒歩12分

フランス郷土料理と旬の野菜で編み出す素朴な手料理『刻ノ音製作所(ときのおとせいさくじょ)』@西永福

料理人になるきっかけは、「遠い憧れ」だったフレンチをカジュアルに提供するレストランに出合い、感動したからという東太一郎さん。修業を経て一昨年前、念願の独立。こちらではフランスの郷土料理を日本人に親しみやすい味わいに仕上げている。

例えば、ローズマリーがさりげなく香る、柔らかくジューシーな豚のオーブン焼き。コクのあるフォン・ド・ヴォーソースと合わせれば一層味わい深い。白ナスや万願寺唐辛子を大きくカットし、シンプルに塩で焼いた付け合わせも魅力的だ。

ハーブ豚のオーブン焼き300g2550円、グラスワイン赤1300円

『刻ノ音製作所(ときのおとせいさくじょ)』(料理)ハーブ豚のオーブン焼き 300g 2550円 (ドリンク)グラスワイン 赤 1300円 フォン・ド・ヴォーソースの隠し味はマスタード。ピリリと味を引き締めている

また契約農家から土付きのまま届く旬野菜を、たっぷり詰めて焼き揚げたキッシュもおすすめ。甘い金時芋のホクホク感はどこか懐かしく、ほっとする味わい。

ひとりで訪れ、小皿メニューをつまむお客さんも多いこちら。店名には、食事を通じて笑い声や会話の「音」を生む場でありたい、という思いが込められているそう。確かに、静かな住宅街の西永福を盛り上げる、暖かな居場所となっている。

『刻ノ音製作所(ときのおとせいさくじょ)』店主 東太一郎さん

店主:東太一郎さん「おひとり様にはハーフでのご提供も可能です」

『刻ノ音製作所(ときのおとせいさくじょ)』

[住所]東京都杉並区永福3-37-6岸岡ビル1階
[電話]03-6379-2898
[営業時間]17時〜23時(22時LO)※金〜日:11時半〜15時(14時LO)
[休日]月(不定休あり)
[交通]京王井の頭線西永福駅南口から徒歩1分

撮影/浅沼ノア(DIALOGUE)、貝塚隆(couscous Rougir、SAjiYA)西崎進也(刻ノ音製作所)、取材/芦谷日菜乃(DIALOGUE、刻ノ音製作所)、白鳥紀久子(couscous Rougir)、岡本ジュン(SAjiYA)

2025年2月号

■おとなの週末2025年4月号は「おいしい空港」

『おとなの週末』2025年4月号
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※2025年2月号発売時点の情報です。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

…つづく「都心の最強ビストロ5選」でも実食レポートしています。