企業の生産性は利益創出力に直結する。現代の企業経営において調達が困難な人的リソースを補うのも、生産性である。もっとも、いくら生産性を高めたとしても、企業が立脚する業界によってはトップラインの拡大が難しい場合もある。リターンが見込めそうな投資先がなく、過剰な資本を抱えているのであれば、企業は株主還元に迫られることとなる。

 東証の低PBR(株価純資産倍率)改善活動の効果もあって、昨年の上場企業の自社株買いは約17兆円と過去最高の水準となった。企業の内部留保の状況を踏まえると、今年の自社株買いの規模はこれを上回る可能性が高い。海外勢にとって日本株は、業績とは別に需給面で妙味のある投資対象となっており、世界経済に対する悲観的な見方が広がった場合、海外市場からの逃避資金が流入するシナリオも横たわっている。特に、利益創出力や成長への強い意志を持つ企業の株式は、日本経済の国際的なプレゼンスを再び向上させるための原動力になるとの観点でも、注目度が一段と高まることになるに違いない。その候補になり得る7銘柄を今回の新春特別企画では厳選して紹介していく。

●激動の2025年で躍進期待の「ニッポン再興7銘柄」

◎東映アニメーション <4816> [東証S]~「ドラゴンボール」の成長力に評価余地

 アニメ 制作を展開。「ドラゴンボール」や「ワンピース」など数々の有力IP(知的財産)コンテンツを抱え、前期の映画「スラムダンク」の大ヒットの反動を受けながらも25年3月期第2四半期累計(4-9月)の営業利益は約50%増と好調を維持している。IPコンテンツはヒットすればキャッシュ創出力が大きく、今後の日本経済においても成長のエンジン役とみなされている。サウジアラビアでは「ドラゴンボール」のテーマパークの建設構想があり、新たな情報発信があれば多くの投資家の関心を集めることとなりそうだ。好調な版権事業を支えに業績の上振れも期待される。

◎GENDA <9166> [東証G]~攻める日本企業の代表格へ急浮上

 アミューズメント施設「GiGO」や、カラオケチェーン「カラオケBanBan」、映画配給会社「GAGA」などを展開。申真衣社長はゴールドマン・サックス証券出身。同社に出資した投資ファンド、ミダスキャピタル代表の吉村英毅氏とは東京大学経済学部において、ゼミの先輩・後輩の間柄という。M&Aを駆使した非連続的な成長への意志と実行力は目を見張るものがあり、長期投資家で知られる米キャピタル・リサーチ・アンド・マネージメントも株主に名を連ねる。40年に世界一のエンターテインメント企業を目指す同社は昨年、米国での無人ゲームコーナー事業の運営会社を買収するなど、海外展開も加速中。プライム市場への区分変更を巡る思惑も広がった状況にある。

◎テラスカイ <3915> [東証P]~DX化追い風に量子コンピューターで成長機運

 米セールスフォース やアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)などのクラウドを活用したシステム開発やソリューションを展開。日本企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化を後押ししている。25年2月期の営業利益は7割増で過去最高益の更新を計画。昨年4月にはNTTデータグループ <9613> [東証P]傘下のNTTデータとの資本・業務提携を発表した。生成AIを活用した新たなサービス企画などで協業を加速させる方針。更に、テラスカイの子会社はSCSK <9719> [東証P]とも資本・業務提携を行い、量子コンピューター分野での研究開発の加速も図る姿勢を示している。大手システムインテグレーターとの成長領域での協業効果発揮により、株価の上昇機運が一段と強まる可能性がある。

◎アイビス <9343> [東証G]~お絵描きアプリで驚異の成長力

 同社が主力とするモバイルペイントアプリ「ibisPaint(アイビスペイント)」は昨年、世界累計でダウンロード数が4億を突破した。同アプリは200以上の国と地域で利用されている。日本企業発のモバイルアプリとして驚異的な成長を遂げており、海外で稼ぐアプリ開発企業として特異な存在感を併せ持つ。24年12月期の売上高は2ケタの伸びで、営業利益は2.7倍と急増の見通し。アクティブユーザーはZ世代が中心で、ペイントアプリ市場そのものも成長の余地が大きく、長期にわたる事業拡大が期待できる。

◎村田製作所 <6981> [東証P]~MLCC最大手の安定感で評価余地大

 積層セラミックコンデンサー(MLCC)の世界最大手で、好財務体質のブルーチップ(国際優良株)。25年3月期営業利益率は約18%と収益性は高水準を維持する見通しだ。MLCCの技術の源泉にあるのは清水焼。良質な素材と繊細な温度管理が必要な日本の陶磁器技術は、その歴史の長さゆえ、容易に他国の追従を許さない強みを持ち、村田製も世界最小のMLCCを開発するなど、技術力で市場を席巻している。生成AI 向けサーバーに使われるMLCCは従来比で8倍を超えるとの見方があり、同社の部品についても今後は着実に採用が拡大しそうだ。株価は割安感を強めており、海外勢からバーゲンハント的な資金が流入する余地もあるだろう。

◎日東紡績 <3110> [東証P]~AI・半導体向けスペシャルガラスで躍進続く

 同社が長年、研究開発を進めてきたスペシャルガラスは、半導体パッケージ基板やAIサーバーなどでの採用拡大が見込まれており、実際に足もとでもデータセンター向けの旺盛な需要を支えに好調に推移している。繊維企業の多くが苦境に立たされてきた歴史を持つが、同社の25年3月期営業利益は前期比8割近く増加し過去最高益の更新を見込むなど、変貌を遂げた。スペシャルガラスの生産能力拡張に迫られている同社ではあるが、顧客の需要に対応した投資活動は中期的なトップラインの伸びと競争力の強化に直結するだけに、今年も多くの投資家の注目を集めそうだ。

◎ヤマハ発動機 <7272> [東証P]~ブランド力高くEV事業に期待膨らむ

 インドやインドネシアなど「グローバルサウス」諸国の経済成長を背景に、主力の二輪 事業が堅調に拡大している。二輪だけでなく、ボートなどでも強いブランド力を持つ同社はF1用のエンジンを供給した実績を持ち、日本企業が失いかけている「チャレンジ精神」を成長の原動力としてきた企業だ。トランプ次期政権下における関税強化策が自動車などの生産に悪影響を及ぼすとの懸念が強まる環境において、新興国での底堅い二輪需要が見込める同社株が、セクター内での逃避資金の受け皿となるシナリオも想定できるだろう。電気自動車(EV)のF1とされるフォーミュラEへの参戦による技術的な蓄積をもとに、小型低速EVを野心的に発展させ、ヤマハ発ブランドの自動車が普及する将来を描きたい。



株探ニュース