『ヴェノム:ザ・ラストダンス』

写真拡大

 こんにちは、杉山すぴ豊です。ここ最近のマーベル、DCのアメコミヒーロー映画およびジャンル映画まわりのニュースや気になった噂をセレクト、解説付きでお届けします! 今回は日本でも初登場1位となった『ヴェノム:ザ・ラストダンス』のネタバレ解説です。

参考:トム・ホランド主演 『スパイダーマン』第4弾、2026年夏日本公開決定 宿敵ヴェノムも参戦?

 『ヴェノム:ザ・ラストダンス』はマーベルの人気キャラ、ヴェノムを主人公とした人気映画シリーズの3作目で、宇宙からの寄生体シンビオートと融合した記者のエディ・ブロック(トム・ハーディ)が怪人ヴェノムとなり活躍。エディがヴェノムに変身するというよりは、このシンビオートとエディの2人(?)でヴェノムになります。なので名乗るときの人称は“俺たち”です。副題に“ラスト”とうたわれているようにシリーズの最終作ですが、これからのマーベル映画につながる伏線も残されています。それを中心にお話しましょう。

ヴェノムはMCUとSSUの2つの世界に生き残っている

 まず前提としてトム・ハーディ出演の一連のヴェノム映画は、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)とは別世界の話です。ソニーピクチャーズが先導して、スパイダーマン系のキャラを使った、MCUではないこうした映画をSSU(ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース)と呼称することがあります。しかし、SSUの『ヴェノム:レット・ゼア・ビーカーネイジ』とMCUの『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』のポストクレジットシーンなどで、MCUとSSUはマルチバースの関係であることがはっきりしています。トム・ハーディ演じるエディとヴェノムはSSUからMCUの世界に引きずりこまれています。しかし、またすぐSSUの世界に戻りました。そのキーとなるのがあのバーテンダーです。

 まず『ヴェノム:ザ・ラストダンス』の冒頭でエディ/ヴェノムが飲んでいるバーは、MCUの世界です。で、バーテンダーからこの世界=MCUでの出来事を聞いています。サノスによって5年間、地球上の人々の半分が消えた話。

 会話に出てくる紫色のエイリアンはサノス、石はインフィニティ・ストーンです。『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』のポストクレジットシーンの再現です。で、そこからSSUに引き戻されると今度はSSUにおけるそのバーに転送される。同じバーテンダーがいますが見分けがつきやすいようにこっちは長髪。この2人のバーテンダーはMCUとSSUにまたがるヴァリアント(変異体)同士ということになります。

 そして、ここが重要なのですが、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』のポストクレジットシーンでは、MCUのバーテンダーの前からエディたちが消えた後、さらに続きがあってバーのカウンターにヴェノムの一部が残されたことが示唆されているのです(なお『ヴェノム:ザ・ラストダンス』ではここのくだりは割愛されています)。

 一方、『ヴェノム:ザ・ラストダンス』のポストクレジットシーンでは、エディたちが払った代金のコインにヴェノムの一部が付着。それをストリックランド将軍が回収します。しかし、本作のポストクレジットシーンで回収されたヴェノムの断片がゴキブリに寄生したと思われる演出がなされました。おそらくヴェノムのような生物は一部が残っていれば再生できるし、またハイブ・マインドというバースをこえてそれぞれの個体が意思や知識を共有できるという設定もあるので、この断片からヴェノムが蘇ることは可能でしょう。ということは、MCUとSSUの両方にヴェノムが蘇る可能性があるのです。

あのタキシードの男を演じているのは? 本作はひねった配役が多いのも特徴。レックス・ストリックランド役のキウェテル・イジョフォーは『ドクター・ストレンジ』映画のモルドー、ちょっと変わった家族の父マーティン役のリス・エヴァンスは『アメイジング・スパイダーマン』『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』のリザードことカート・コナーズです。このキャスティングが発表されたとき、MCUやアメスパとのリンクがなにかあるのかなとざわついたファンも多かったですが(僕もその1人……笑)、ただの匂わせでしたね。そしてエディとヴェノムにタキシードを奪われる男を演じているのはジェイコブ・トムリ。彼は『ヴェノム』全3作でトム・ハーディのスタントマンを務めていました。なおトム・ハーディは一時期、次の『007』ジェームズ・ボンド役の候補とも言われたことがありました。彼がボンドだったら、こういうタキシード姿だったかも。

ヌルはマーベルの中でもすごいヴィラン 本作に登場する黒の王ヌルは、コミックではノーウェアという星の誕生に関わり、魔剣ネクロソードを造りました。ノーウェアはMCU映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズに登場、映画『ソー:ラブ&サンダー』でクリスチャン・ベール演じるゴアが手にする神殺しの剣がネクロソードです。MCU版のこれらについてヌルとの関係を示す言及はないですが、ファンとしてはこのヌルがMCUのほうでも暴れるのではないかと期待してしまいます。

 なお本作でヌルを演じているのはアンディ・サーキスです。モーションキャプチャー俳優として『ロード・オブ・ザ・リング』のゴラム、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』などのスノーク、俳優としてMCUのユリシーズ・クロウ、『THE BATMAN-ザ・バットマン-』のアルフレッドが有名ですが、彼は『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』の監督も務めています。前作の監督が、本作のメインヴィランを演じるというのも面白いですね。

エージェント・ヴェノムへの布石 ゼノファージとヴェノム、シンビオート軍団、ストリックランド将軍たちとの大バトルの中、ヘリコプターから攻撃していた軍人がゼノファージに襲われ両足を失います。この時、将軍が「トンプソンがやられた!」と叫ぶので、この兵士の名がトンプソンということがわかります。コミックにおいてスパイダーマンことピーター・パーカーの友人で、高校時代彼をいじめていたフラッシュ・トンプソンというキャラがいます。映画のスパイダーマンにも出てきますね。

 コミックではフラッシュは軍人となりますが、戦争で両足を失う。しかしその後、シンビオートと時間制限付きで合体し、超人兵士エージェント・ヴェノムになるという設定があるのです。したがって、映画に登場した両足を失った軍人トンプソンは明らかにエージェント・ヴェノムへの布石でしょう。実際、ソニーはエージェント・ヴェノムの映画も検討中と発表しており、スクリーンでその活躍がみられる日も近い?

 これ以外にもまだまだ隠しネタが多そうな『ヴェノム ザ・ラストダンス』。エディとヴェノムという、アメコミ映画史に残る最高のカップルの最後の冒険を楽しみつつ、細かいところもチェックしてみてください。(文=杉山すぴ豊)