アーティスティックスイミング(AS)の佐藤陽太郎(手前、奥は姉・友花)【写真:Getty Images】

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世界水泳カウントダウン連載」特別編―アーティスティックスイミング・佐藤陽太郎

 水泳界の“世界一決定戦”世界水泳福岡(テレビ朝日系で中継)が7月14日に開幕する。2001年以来22年ぶりの日本開催。「THE ANSWER」では7月23日の競泳開幕30日前から「テレビ朝日×THE ANSWER」としてタッグを組み、様々な企画を実施する。その一つがカウントダウンでお送りする「ウルトラ連載」。出場選手のインタビューに加え、特別企画を織り交ぜながら大会を盛り上げる。

 ここまで競泳を中心としてきたが、14日の第24回は特別編。きょう開幕するアーティスティックスイミング(AS)の佐藤陽太郎(ジョイフルアスレティックク)が登場する。男子ソロのフリールーティン、混合デュエット2種目、女子選手たちと演技するチームのアクロバティックルーティンの計4種目に出場する18歳。昨年大会は混合デュエット2種目で銀メダルを獲得した“ウォーターボーイ”が、日本代表に変化をもたらしていく。

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 マーメイドジャパンに新たなスパイスが加わった。それが佐藤だ。

 世界水泳は今大会から、五輪は24年パリから、8人で行うチーム種目に最大2人まで男子選手が参加可能になった。佐藤は日本代表唯一の男子選手。179センチの長身でダイナミックな演技をもたらしている。

「女子選手よりも体が大きくて筋肉がある分、上の選手を支えられたり、高く上げたりできる。そういうところが自分の長所。女子選手に交ざって試合に出ることは凄く不安というか、緊張で何もわからないので凄く怖い気持ちはあります。僕が入るからには強みを最大限発揮して、アクロバティックルーティンの結果に繋げられればと思います」

 中学1年の2017年に男子として初めて日本選手権に出場。昨年世界水泳では、3学年上の姉・友花との混合デュエット2種目で史上初の銀メダルを獲得した。今年3月に茨城・常総学院高を卒業し、筑波大に進学。日本代表のチーム種目には年下もいるものの、20代の“お姉さん”が多い中で男子一人だ。友花は「何をしても基本的に許されているので、家と比べたら伸び伸びとしている」と笑顔で明かす。

「家では私に何か少し気に障ることをすればすぐに怒られるし、『あれやれ、これやれ』ばっかり言われているんですけど、こっち(チーム)に来れば後輩の子たちが『陽太郎さん、それ変わりますよ』ってどんどん仕事を変わってくれる。ルーティンで少し違うことをしても、『腕が長いからね』『何かこれもいいよね』って厳しく言われていない。そういうところが、伸び伸びとしているところかなと思いますね」

 そんな恵まれた環境にも、佐藤は気を緩めることはない。さらに喝を入れてくれる存在もいる。厳しい指導で有名な井村雅代・前日本代表ヘッドコーチだ。6月のチャレンジカップでは、ソロのエキシビション前に佐藤をバシッと激励。「日本男児か弱くて困ってるんですよ(笑)」と喝を入れた経緯を明かす。

「乾(友紀子)選手は堂々と頭を整理しているのに、陽太郎くんはウロウロ、ウロウロしているから『行けるか? 行け!』って言ったんです。彼はソロとして場を踏んでいない。場を踏むごとに自分で心の整理の仕方を覚えていくんです。ソロでたくさんの人の前で泳ぐんですからね。だから、『大丈夫やから行け』って。ちょっと気合を入れときましたけど、それでもモソモソしてましたね(笑)」

佐藤「喝でパワーをいただけたので、演技に出せたと思います」

 佐藤は「僕自身が3種目めでした。混合デュエットのフリーが終わってすぐの出番だったので、ヘトヘトになっていたら、『乾選手を見て頑張りなさい』と喝を入れていただきました。パワーをいただけたので、演技に出せたと思います」と感謝する。叱咤激励は大きな期待の裏返し。長年競技を見てきた井村コーチは、男子選手が与える影響について口にした。

「日本の男子に期待します。男性が入って『チーム』という時代になりました。やっぱり男性は体つきも、力も違いますし、一発の力が強いからスピンもくるっと回るんですね。男性にとって女性の中で泳ぎ切ることは凄く良い練習になるんです。男性は肩が強いのでリフトの安定感が違います。

 だから、日本で安部篤史くんが頑張ってくれて、それに憧れた陽太郎くんがやってくれて、『チームの中でやり切れる』という男子選手が生まれることを期待しています。今は男性が入って当然。8人とも女性の方が段々と違和感になるんじゃないかなと。だから、今までのものと比べることが間違っていて、また新しいチームという感覚でご覧なった方がいいと思います」

 ソロのフリールーティンのテーマは「エイリアン」だ。佐藤は「力強いエイリアンというより、卵から孵化した気持ち悪い未確認生物系のエイリアンを頑張って演じているつもりです」と説明。技の高さを見どころに置く。

 今回も混合デュエットで姉と組む佐藤が目指すのは金メダル。周囲からの期待も高まっているが、不安を滲ませながらもその胸には強い決意がこもる。

「昨年の世界水泳は初出場で2種目銀メダルという結果で終わることができたので、今年はさらにパワーアップした2人を見ていただいて、去年より良い色のメダルを持ち帰れるように最後まで頑張っていきたいと思います。ソロには昔から苦手意識があって、本当に自分が世界水泳に出られるレベルのソロの演技ができるのか凄く不安。

 言ってしまえば、演技に対して心から楽しめないという気持ちが少しあります。でも、周りの皆様から凄く期待されているというのを感じる。皆様の期待に応えられるように頑張っていきたいと思います。世界水泳という凄く大きな舞台で、新種目に自分が出られる機会はなかなかない。不安な気持ちはあるけど、自分らしく最後まで明るくやり抜いていこうと思います」

 移り変わるアーティスティックスイミングの歴史。その中でウォーターボーイの輝く姿は必見だ。

(15日の第25回は競泳16歳の世界記録保持者サマー・マッキントッシュが登場)

世界水泳 7月14日にアーティスティックスイミング(AS)、飛込から開幕。水球、オープンウォーター、ハイダイビングも行われる。同23日に開幕する競泳は、決勝をテレビ朝日系地上波にて最終日まで8夜連続生放送。ASはBS朝日、飛込はCSテレ朝チャンネルで生放送。

(THE ANSWER編集部)