体力を使う家事は、年齢とともにしんどくなってしまうもの。そこで無理をせず、ラクにする工夫が必要になります。『50代はやめどき、捨てどき、楽しみどき』(扶桑社刊)を上梓した整理収納アドバイザーの原田さよさんに、罪悪感なく手放すコツについて教えてもらいました。

50代のやめどき。しんどい家事は手放す

丁寧な暮らしや丁寧な家事は、私にはできません。ただ、まじめにやってきたことはあります。それは寝具を洗ったり、布団を干したりすること。面倒なかけカバーはたまにでしたが、敷きパッドはしょっちゅう洗濯していましたし、布団干しは、天気が悪い日を除けば毎日していました。自分が気持ちよくいられるからです。でも年齢を重ねるにつれ、それがしんどくなり、どんどんサボるようになりました。

●「まあまあ」にやって、自分をラクにする

50代に入ってからは、シーツやカバーを洗う頻度をぐっと減らしました。夏場はさすがに気になるので増やしますが、「○日に1回は必ず」というルールは終了。布団干しは月に2、3回に。布団乾燥機を買おうかと毎年のように考えるのですが、手入れや置き場所を考えるとなんだかおっくうで、まあいいかと様子見です。
以前、私のブログの読者さんから洗濯頻度の目安についてご質問をいただいたことがありました。「今ちょっと心がしんどいです…」という状況とのことでしたので、「がんばりすぎず、どうぞ自分をラクにしてあげてください」とお返事しました。

よそはよそ、うちはうち、「まあまあ」でいいと思います。この「まあまあ」は、あいまいですが、自分がどうしたいか、どのくらいならラクで納得できるかと考えれば答えは出ます。気になったときが洗濯どき。私はこれくらいでもいいと思っています。「まあまあ」は自分で決めるのがいちばん。

●意外とまじめにやらなくてもよかったことも

洗濯については、私にも、1つ聞いていただきたいことがあります。
夫はごくたまに、裏返したままの靴下を洗濯機に入れてしまうことがありました。私はそれに気づかず洗濯機を回し、干すときにはじめてわかり「ああ、面倒くさい〜」と思いながら靴下を表に返していました。めったにないことだし、夫は足が少し悪いのでうまく脱げないこともあるのでしょうね。黙っていたのですが、ある日とうとう言いました。「靴下は表にしたまま脱いで洗濯機に入れて」と。
夫はなんと答えたと思います? 涼しい顔で「裏返っているものは、そのまま干して返してくれたらいいよ。履くときに表に返すし」ですって。
そうか、本人がそう言うならいいかと、裏返ったままのときは、そのまま洗って干し、乾いたらそのまま夫に渡すようにしています。はい、とてもラクです。靴下は裏返しのまま洗ったほうが内側の汚れも落ちるそうですしね!

それまで当たり前にやってきた家事を、年齢を理由にやめるのは寂しいと思う人がいらっしゃるかもしれません。あるいは、なにかに「負けた」と感じる人もいるでしょうか。でも、そろそろラクなほうを取っていいと思うのです。目標をゆるめて、そのやり方を続ける。このほうが体力も気力ももつので、ほどほどに気持ちいい状態を長く保てると思います。