東京五輪を終えたU-24日本代表、評価を上げた3人と評価を下げた3人

写真拡大 (全7枚)

東京オリンピックで優勝を目指したU-24日本代表。メキシコとの3位決定戦に敗れた後、選手たちは沈痛な面持ちで失意に暮れていた。

今大会で評価を上げた選手、逆に評価を下げた選手をまとめてみる。

評価アップ:GK谷 晃生

6試合出場、計5失点、クリーンシート3試合

今大会で最も評価を高めたのは間違いなく谷であろう。

ガンバ大阪の育成組織が輩出した大型GKは、もともとU-17ワールドカップで守護神を務めるほどの逸材だったが、ケガやトップチームで出場機会を得られなかったこともあり、一歳年上の大迫敬介に後塵を拝していた。

しかし昨年湘南ベルマーレへの期限付き移籍が大きな転機となる。ここで出場機会を獲得すると直前で五輪代表のポジションも奪取。本大会では全試合でGKを務めた。

メキシコ戦でのスーパーセーブやニュージーランド戦でのPKは、彼の名を一躍全国区にした。A代表でもポジション争いに加わってくるはずだ。

評価アップ:DF中山 雄太

6試合出場、0ゴール

1997年の早生まれということもあり、この東京五輪世代では最も早く頭角を現していた中山。

U-20日本代表では冨安健洋とセンターバックのコンビを組んで活躍し、五輪に向けたチームでも発足当初から主将を任された。

以前はボランチでの出場も多く、2019年に行われたブラジルとの強化試合では弾丸シュートも叩き込んでいる。しかしこの東京五輪では左サイドバックで起用され、ニュージーランド戦以外は全て先発出場した。

1対1に非常に強く、足元も上手い。守備型ではあるものの左利きであるために、駆け上がってから直接クロスを上げられるところもこれから大きな武器となりそうだ。

評価アップ:FW林 大地

5試合出場、0ゴール

「最も評価を上げた」のが谷なら、「最大の発見」となったのが林であろう。

大卒2年目の24歳。1年目の活躍により今年に入ってU-24日本代表に初招集されたものの、東京五輪はバックアップメンバーに過ぎなかった。

しかしコロナ禍で登録人数が拡大されたために急遽メンバー入りすると、ベンチ外になったフランス戦以外は全試合で先発。結果0ゴールながら前線での豊富な運動量によって攻守両面でチームを活性化させた。

その働きぶりが評価され、大会直後にシント=トロイデンへの移籍が電撃決定している。

評価ダウン:MF三笘 薫

3試合出場、1ゴール

三笘にとっては、ほろ苦い大会となった。

Jリーグの絶対王者・川崎フロンターレで活躍し、国内最高の選手の一人として評価される彼は、この世代別の大会では主役にならなければならなかった。

しかし大会前からのコンディション不良もあり、大一番のスペイン戦を含め2試合でベンチ外に。相馬、旗手、前田大然より序列の低い4番手のような扱いを受ける屈辱を味わった。

3位決定戦のメキシコ戦では途中出場から個人技でゴールを記録し“格の違い”を見せつけたが、大会としては焼け石に水であった。

評価ダウン:FW上田 綺世

6試合出場、0ゴール

上田綺世には、「エースFW」としての期待がかけられていた。

唯一の大学生として参戦した2年前のコパ・アメリカでは何度も決定機を外したが、その後すぐにプロ入りし、鹿島アントラーズで結果を残していたからである。

今大会は、その成長した姿を見せる舞台だったはずだ。しかし大会前に負傷したことが響き、1トップのポジションを林大地に明け渡すことに。

先発はフランス戦だけで、他は全て後半途中からの出場。地元カシマスタジアムで行われたニュージーランド戦では1番目のPKキッカーに志願し見事に決めたものの、大会ではノーゴールに終わっている。

評価ダウン:MF堂安 律

6試合出場、1ゴール

数ある選手たちのなかから、栄光の「10番」を手に入れたのは堂安だった。しかしながら彼にとって、この東京五輪は大きな失望となったに違いない。

グループステージではこれまで全く噛み合わなかった久保建英とのコンビネーションも成熟をみせ、PKによる1ゴールを決めている。

【写真】日本五輪代表の「歴代ベストイレブン」

しかし3ゴールを決めた久保の存在感が増したことが、かえって彼をやり難くしてしまったのだろうか。決勝トーナメントでは終始空回りしほぼ見せ場を作れなかった。

大一番でのスペイン戦では明らかに疲労が目立ち、延長戦を前に途中交代。その采配には疑問の声もあがったが、試合後に自ら「体がボロボロだったので代わって正解」と話している。