【私の雑記帳】『財界』主幹・村田博文
デジタル領域は本来、国境を越えて展開される。そこへ、国がどう関わるかという新たな課題。
欧米各国もGAFAに警戒
中国共産党が統治する中国で、中国政府が〝規制〟に走るのは容易に想像がつくが、一方で、欧米各国でもGAFAやマイクロソフトを加えた巨大プラットフォーマーに独占禁止法やデジタル課税をかけようとする動きが強まる。
ネット企業だけではなく、電気自動車で先頭を走るテスラ創業者、イーロン・マスク氏などの言動にも米国政府は神経を尖らせる。
有力な資産家にのし上がったマスク氏に対しては、「税金を払っていないのではないか、これはなぜだ? 」といった疑問も出たりしてメディアをにぎわす。
新興企業が、本来国家が担う〝規制〟や課税、雇用といった機能に大きな影響を与えるようになった。フェイスブックが2年ほど前に打ち上げた仮想通貨『リブラ』は、国家の通貨発行、管理機能に影響を与えかねないとして反発にあい、構想は宙に浮いたままだ。
国と企業の関係はどうあるべきか。この命題は永遠に続きそうだ。
南鳥島に〝夢の資源〟
太平洋に浮かぶ南鳥島は日本の領土。その南鳥島付近の海底には、ハイテク製品づくりに欠かせないレアアースが眠っている。
無資源国日本といわれてきたが、10年ほど前、南鳥島の海底に良質のレアアース泥が眠っていることを突きとめたのが、加藤泰浩・東京大学教授などのチーム。
10年前、レアアースの生産は中国が世界全体の97%を占め、世界中が中国に依存していた。
それが、2011年、尖閣列島付近で中国漁船が日本の海上保安庁の船に体当たりを加えてきたことで、中国漁船関係者を拘束する出来事が起きた。
このことへの〝報復〟として、中国政府は日本への輸出をストップ。日本の産業界の心胆を寒からしめた事件でありこうした有事がいつ何時起きるか分からない。米国や豪州でも急ぎ、レアアース鉱山の開発を進めるが、現在でも中国は63%の世界シェアを握る。
電気自動車のモーターには強力な磁石が必要だが、この磁石に使われるのがネオジムやジスプロシウムなどのレアアース。
加藤さんらは、南鳥島付近の公海で採取したレアアース泥を用いて、『選鉱・製錬、分離精製、残泥処理、製品作成』についても実証実験を行ってきた。その結果、良質な〝重レアアース〟を多く含むことも分かったという。
「国産レアアースの確保は、日本のモノづくり産業の未来をひらくことになります」と加藤さん。
中国など他国に基幹産業の命運を握られることのない資源安全保障の確立が急務。
唯一の課題は、海底5000㍍から、どうやってレアアース泥を引きあげるかだが、これも「技術的なメドはついている」という。
深海での操業技術に定評のある仏テクニップ社などとの提携も含め、解決への道筋はある。経済外交の手腕も問われるところだ。
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