バイデン陣営の集会に参加したレディ・ガガ(写真:AFP/アフロ)

 アメリカ大統領選は両陣営とも最後の集会(キャンペーン)を終え、いよいよ投票日を迎えた。これまでのキャンペーン数を見ると、共和党のトランプ陣営が130カ所近くで、バイデン陣営の90弱を圧倒的に上回っている。

 トランプ大統領は、新型コロナの治療を終えた後、15州で48カ所と精力的にキャンペーンをおこなった。空港など移動のしやすい場所で、従来どおり大人数を招いてのスタイルである。会場周辺に列を作るサポーターや会場を埋め尽くす群衆の映像が各地で見られた。

 一方、バイデン陣営は小規模なホールや車で集まるドライブイン方式を採用し、社会的距離を保てるようにして支持を訴えていた。

 選挙戦が終盤になると、トランプサポーターたちの行動がニュースを賑わすようになってきた。日曜日にはトランプの旗を掲げた車が各地のハイウェイに集まり、交通を一時せき止めた。クラクションやエンジン音を鳴らしながら道路を集団で走るサポーターたちの映像もSNS上に投稿されている。

 共和党の地盤ながらバイデン氏が追い上げているとされるテキサス州のハイウェイでは、バイデン陣営のバスがトランプの旗を掲げたサポーターたちの車に取り囲まれ、走行できなくなる事件があった。バスに乗っていたのはスタッフだが、安全面からバイデン陣営の2つのキャンペーンがキャンセルされた。

 ケガ人はいないが、罵声を浴びせられるなどしており、FBIが捜査中である。トランプ大統領はこのときのビデオをツイッターでシェアし、「I LOVE TEXAS!」とつぶやいた。さらにその後、「彼らはバスを守ろうとしたんだ。彼らはナイスだから」と擁護している。

 事件に関してメディアからコメントを求められたテキサス州共和党事務所は、ウェブサイトに痛烈なステートメントをあげた。

「さまざまな略奪や暴行が起きているのに、それを批判する保守派を過激派に仕立てようとしている。これはフェイクニュースでプロパガンダだ。つまらない邪魔をするな。選挙に負けても民主党にはジョージ・ソロスがいくらでも小切手を切ってくれるだろう」

 最終日の月曜日、トランプ大統領は精力的に5会場を回った。片や、バイデン氏のキャンペーンにはレディ・ガガが加わって盛り上げた。彼女が直前に発表した選挙応援ビデオは、迷彩服を着てピックアップトラックの脇でビールを投げ捨てる内容で、トランプ・サポーターをからかったものだと議論を呼んでいる。

 選挙戦が続くなか、治安に対する不安も増している。コロナ禍で数多くの囚人が解放されているし、政治の分断も極めて大きくなっているからだ。全米で銃の売上は伸び続け、在庫不足と値上げが続く。銃の購入時におこなわれる審査数は史上2番目の多さになった。

 ワシントンやニューヨークなど各地で、万一の暴動に備えてベニヤ板で商店を囲う措置が取られている。ホワイトハウスの周りには頑丈なフェンスが張りめぐらされる予定で、近くにはバリケードの準備がされている。

 すでに開票結果も入り始めてきた。カナダ国境近くにあるディックスビルノッチという小さな村は、全米で最も早く開票される伝統がある。人口は2010年の国勢調査時で12名。開票された5票はすべてバイデン票だったそうだ。しかし、すぐ近くのミルズフィールドでは16対5でトランプ氏が勝利しているという。

 ほとんどの投票所は火曜日朝に開き、昼頃に出口調査の結果が出て、夜遅くに結果が発表される。郵便投票の多い今年は長期戦も想定されている。はたして、勝利の女神はどちらに微笑むのか。(取材・文/白戸京子)