月収100万円超えの高給取りは、何にお金を使っているのか?

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日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回は、「月収100万円を超える高給取りの支出」に焦点をあてていきます。

日本の会社員…1,000万円プレイヤーは何人いる?

総務省統計局「労働力調査」によると、日本で働いている人=就業者は6,670万人いて、そのうち5,929万人が雇用者という立場です。さらに国税庁「統計年報」で、所得税納税者を対象に給与所得で1,000万円以上と申告している人は、91万人弱となっています。つまり毎月、給料を手にしている人のうち、1.3%と限られた人だけが1,000万円プレイヤーになれるということです。

さらに、その1,000万円プレイヤーがどこに住んでいるか、都道府県別にみていくと23.6万人の「東京都」が圧倒的に多く、1,000万円プレイヤーの実に4人に1人が東京在住という結果になっています。「東京都」に続くのが、「神奈川県」「大阪」「愛知」と、日本を代表する大都市を有する地域が上位にきます(図表1)。

[図表1]「給与所得1,000万円以上が多い」都道府県トップ10 出所:国税庁「統計年報」より作成

これは単純に人口に準じたものになっているので、給与所得を申告した人のなかで、1,000万円プレイヤーがどれくらいいるのか、その割合でみてみると、そこでもトップは「東京都」で15.2%。道行く会社員の6人に1人は1,000万円プレイヤーという結果に。続いて「神奈川県」11.2%、「兵庫県」9.8%、「京都府」9.6%、「大阪府」9.5%と続きます。関西の街中でも、道行く会社員の10人に1人は1,000万円プレイヤーという状況です。

さらに給与所得1億円を超えるスーパープレイヤーは、全国で5万人強。都道府県別にみていくと、やはりトップは「東京都」で3,312人、続いて「愛知県」622人、「神奈川県」557人、「大阪府」477人と続きます。給与所得者に占める割合でみていくと、ベスト5は、「東京都」0.21%。「愛知県」0.1%、「兵庫県」0.08%、「京都府」0.075%、「大阪府」0.071%となります(関連記事:『都道府県ランキング「給与1,000万円超」の高給取りはどこに?』)。

高給取りは「持ち家派」か、それとも「賃貸派」か

大都市に住んでいれば、意外と近くにいそうな1,000万円プレイヤー。当然、地域に偏りがあるので、「そんなに稼いでいるやつ、近くにいないぞ!」という人も多いでしょう。

そんな会社員の憧れ、1,000万円プレイヤーはどのような暮らしをしているのでしょうか。総務省の「家計調査」(2019年)から、高給取りの暮らしを紐解いていきましょう。

家計調査では、10万円未満、10万〜15万円未満……110万円以上と、世帯主の定期収入(手取り額)を18区分に分けて、1ヵ月間の収入と支出の傾向を示しています。給与所得1,000万円というと、同調査では定期収入「90万〜100万円未満」「100万〜110万円未満」「110万円以上」あたりを特に注目していきます。

■「平均年齢」と「専業主婦率」

まずそれぞれの定期収入区分別に「平均年齢」をみていきます。定期収入20万円未満の人たちの平均年齢が56〜59歳ということから、再雇用、または定年退職後に再就職をした人も多いと考えられます。そこで以降は月収20万円〜に焦点をあててみていきます(図表1)。

[図表2]「家計調査」より月収別世帯主の平均年齢 出所:総務省「家計調査」(2019)より作成

「世帯主の配偶者のうち女の有業率」つまり専業主婦の割合は、月収25〜50万円で共働き世帯が最も多く、以降は収入が上がるに従い、専業主婦率も上昇する傾向にあります。「高収入の夫を支える妻」という画がみえてきます(図表3)

[図表3]「世帯主の配偶者のうち女の有業率」年収別推移 出所:総務省「家計調査」(2019)より作成

■「持ち家」か「賃貸」か

「持ち家率」は月収20万〜25未満で72.5%から、徐々に上昇。月収70万〜75万未満で87.8%をピークに80%前半で推移し、「高収入でも賃貸派」が一定数いることがわかります(図表4)

また「持ち家派」の平均畳数は、どの月収区分でも40畳前後で推移。持ち家の場合、「高収入=広い家」とはならい、意外な事情がみえてきました。一方で「賃貸派」の平均畳数は30万〜35万円の23畳をボトムとして、収入が上がるにつ入れて広くなっていく傾向がみられます。賃貸派の場合、「収入が上がる→広い家に引越しをする」という流れがみえてきます(図表5)(図表6)

[図表4]月収別「持ち家率」の推移 出所:総務省「家計調査」(2019)より作成

[図表5]月収別「持ち家の畳数」の推移 出所:総務省「家計調査」(2019)より作成

[図表6]月収別「賃貸の畳数」の推移 出所:総務省「家計調査」(2019)より作成

収入が増えるに従い、「旅」や「車」に興味津々

■消費の傾向

「高収入であれば支出も増える」というのは想像できますが、実際にそうなのでしょうか。「消費支出」は月収20万〜25万円未満で26万3321円、収入が上がるにつ入れて支出は増えていき、月収110万円以上で63万7785円と右肩上がりに推移していきます(図表7)。

[図表7]月収別「消費支出」の推移 出所:総務省「家計調査」(2019)より作成

では高収入の人々は、何にお金を使っているのでしょうか。

まず食費。月収20万〜25万円未満で6万7258円に対して、月収110万円以上では12万3371円と約2倍。世帯構成はどの月収区分でも3.0〜3.5人なので、単純に高収入の人々は「良いものと食べている」といえます。一方で収入に対する食費の割合である「エンゲル係数」をみていくと右肩下がり。収入が上がるにつれて食費以外にお金を使う」という傾向が如実にあらわれています(図表8)(図表9)

[図表8]月収別「食費」の推移 出所:総務省「家計調査」(2019)より作成

[図表9]月収別「エンゲル係数」の推移 出所:総務省「家計調査」(2019)より作成

特に収入が上がるにつれて金額も大きくなるものをみていきます。

「外食費」:月収20万〜25万円未満で1万2025円。その後、月収が上がるつれて緩やかに上昇。月収90万〜100万円未満で2万4770円が、月収100万円を超えると一気に8千円近く上昇し、3万2435円に(図表10)

[図表10]月収別「外食費」の推移 出所:総務省「家計調査」(2019)より作成

「交際費」:月収30万〜35万円の1万4469円をボトムに徐々に上昇。月収80万〜90万円未満で一気に7000円近くも上昇し、3万3246円に(図表11)

[図表11]月収別「交際費」の推移 出所:総務省「家計調査」(2019)より作成

「教育娯楽関係費」:旅行に伴う宿泊料等含む。月収20万〜25万未満で2万3816円から徐々に上昇。月収100万〜110万円で9万1284円と、1ヵ月に10万円近いお金を使っています(図表12)

[図表12]月収別「教育娯楽関係費」の推移 出所:総務省「家計調査」(2019)より作成

「自動車等県経費」:月収20万〜25万未満で2万2808円。月収80万〜90万未満と月収90万〜100万円未満で3万円近い上昇がみられます(図表13)

[図表13]月収別「自動車関連費」の推移 出所:総務省「家計調査」(2019)より作成

「洋服費」:月収20万〜25万未満で4030円。月収100万〜110万円未満1万2792円と、3倍近くの差が生まれています(図表14)

[図表14]月収別「洋服費」の推移 出所:総務省「家計調査」(2019)より作成

ラグジュアリーな雑誌をみたことがあるでしょうか。そこで取り上げらえているのは、女性向けであれば「旅」や「(ブランドの)服飾」、男性向けであれば「車」や「食」にまつわるものが多くみられます。消費傾向からも、高給取りの人々の趣味趣向を読み取ることができるでしょう。

月収100万円超…分割払いで何を買っている?

■「分割払い」か「一括払い」か

毎月の支出は、ローンの返済もあります。住居関係のローンの返済である「土地家屋借金返済」は、月収20万〜25万円で1万9798円。月収50万円を超えると上昇幅はゆるかやになり、月収100万〜110万円未満で最高の8万3552円に。高収入になるほど、高価格の物件に居住していることの表れだといえます(図表15)

[図表15]月収別「土地家屋借金返済額」の推移 出所:総務省「家計調査」(2019)より作成

一方、「住居関係以外の返済」をみていくと、月収が上がるに従い上昇するという傾向はみられず、上下はあるものの、月収40万〜45万未満で4336円をピークにした山を描くように推移していきます。月収45万円を境に、住居以外にローンを組まなくなる傾向にあるといえそうです(図表16)

[図表16]月収別「土地家屋借金以外の返済額」の推移 出所:総務省「家計調査」(2019)より作成

ではローンの返済はどのようにしているのでしょうか。「分割払購入借入金返済額」をみていくと、月収55万〜60万円未満の1万1014円をピークにした山型を描いているのに加え、月収100万円を超えたところで跳ね上がりがみられます。一方「一括払購入借入金返済額」は、月収の上昇に伴い増えていく傾向にあります(図表17)(図表18)

[図表17]月収別「分割払購入借入金返済額」の推移 出所:総務省「家計調査」(2019)より作成

[図表18]月収別「一括払購入借入金返済額」の推移 出所:総務省「家計調査」(2019)より作成

月収60万円を境に分割ではなく、一括購入を選択する傾向にあることに加え、月収100万円を超えると、分割でないとハードルが高い“何か”を購入している形跡が読み取れます。その“何か”は家計調査からはなかなか見えてきません。

高給取りはどのような支出の傾向にあるのかみてきましたが、あればあるだけ使っているわけではありません。黒字額(実収入−実支出)は、月収上昇に従い増加し、月収110万円以上で61万9812円。金融資産だけに絞った純増額も56万7217円と、稼いだら稼いだ分だけ、しっかりと貯蓄もしていることがわかります(図表19)

[図表19]月収別「黒字額」の推移 出所:総務省「家計調査」(2019)より作成