大手バス会社も注目する埼玉工業大学の自動運転バス「AI人材育成の教材として、企業の事業化にむけたテスト車両としてさらに進化させる」
埼玉工業大学が手がけるレベル3自動運転バスが、いよいよ各地で走リ出す―――。
埼玉工業大学は、パシフィコ横浜で開催中の VACUUM2019真空展(9月4〜6日)に、実証実験中の自動運転バス(日野 リエッセII)と自動運転車(トヨタ プリウス)を展示。9月4・5日は来場者の体験試乗会も開き、同大学ブースには試乗を待つ人たちで行列ができた。
この日野 リエッセ II ベースの自動運転バスは、埼玉工業大学がマイクロバスむけに新たに設計・開発した接続マイコン、自動運転AI(AI Pilot / Autoware)と、身障者用自動車運転装置などを製造・販売するミクニ ライフ&オート(埼玉県加須市)のジョイスティック運転システムを実装したモデル。
ジョイスティックで操作できる制御機構と、自動運転AI(AI Pilot / Autoware)の間は、新たに開発した接続マイコンが結び、センサー情報と自動運転AIのディープラーニングでマイクロバスが自動で走る。自動運転中のドライバーは両手・両足なにもせず、なにも触れず。
複数の地方大手バス会社からも協業の引き合い
「この埼玉工業大学が手がけるレベル3自動運転バスは、複数の地方大手バス会社からも引き合いがある」と話すのは、埼玉工業大学 工学部 情報システム学科 渡部大志教授(埼玉工業大学 自動運転技術開発センター長)。
「『自動運転バスの実用化・事業化にむけて、実証実験のパートナーとして手を組みたい』『この埼玉工業大学レベル3自動運転バスで、自社ドライバーでまず実証実験を始めたい』という声が寄せられている」(渡部教授)
渡部教授は、大学発の自動運転バスについて「こうした自動運転車両は、埼玉工業大学が推進するAIプロフェッショナル人材育成に役立つ『生きた教材』。この自動運転バスが各地で実証実験を繰り返すことで、AI人材育成の教材としても進化させていきたい」とも話す。
「オンデマンド型乗り合いタクシーなどにも派生させたい」
埼玉工業大学は、この自動運転バスのアップデートを重ね、マイクロバス実験車両の実用化をめざす。
ターゲットは、自動運転バスの事業化・実用化をめざす企業や、自動運転車両を用いた研究をめざす大学など。
また、安全運転支援機能後付けバスは「より多くの運転手確保をめざすバス事業者」、安全運転支援機能付きジョイ・カーは、電動車いすに乗っている障がい者など。
「市場規模は、自動運転バス実験車両が年間3億円。現在の工期から算定し、年間出荷台数6台で想定している」という渡部教授は、VACUUM2019真空展の会場でこんなことも話していた。
「この自動運転バスのノウハウは、トヨタ ハイエース のようなサイズのオンデマンド型乗り合いタクシーなどにも活かせる。今後も、埼玉工業大学のAIプロフェッショナル人材育成の教材としても、各地の自動運転バス事業化にむけたテスト車両としても、さらにアップデートさせていきたい」(渡部教授)
tokyochips編集部