U-15日本代表、強豪フランス戦で見えた課題と収穫とは?【写真:Tomoko Yasuda】

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フランスのプレスに屈して前半10分に失点 後半システム変更で盛り返して一時同点に

 フランス遠征中のU-15日本代表は、現地時間1日にパリ郊外ヴィリエール・シュール・セーヌで「バル・ド・マルヌU-16国際親善トーナメント2018」第2戦のU-15フランス代表(40分ハーフ)と対戦。

 1-2で敗れ、大会初黒星を喫した。

 初戦のU-15オーストリア代表戦から中1日のタイトな日程で、森山佳郎監督はフィールドプレーヤーの半分にあたる5人を入れ替えてフランス戦に臨んだ。前半の途中から雨が降り出し、晴天でも凹凸が目立つピッチの状態がさらに悪化する厳しいコンディションのなか、激しいプレッシングで中盤を制したフランスに前半10分に先制を許してしまう。

 後半日本は、MF遠山悠希(京都サンガF.C. U-15)をアンカーに入れて、4-4-2から4-1-4-1にシステム変更。遠山が展開の起点になることで、初スタメンを飾ったMF中井卓大(レアル・マドリード カデーテA)ら中盤4人がより流動的になり、プレーのテンポが上がった。後半8分には敵陣ゴール近くでFKを得ると、オーストリア戦の得点者で後半から出場したFW勝島新之助(京都サンガF.C. U-15)のショートパスをFW下川陽輝(セレッソ大阪ジュニアユース)が的確に仕留めて、同点に追いついた。

 しかし、日本はわずか3分後にフランスに再びリードを許してしまう。森山監督が「上げろ! 上げろ!」と檄を飛ばすなか、その後もポスト右に逸れた勝島のシュートや終盤のGK彼島優(FC東京U-15深川)の連続セーブなど、攻守両面で粘りを見せたが、大会ホスト国に1-2で敗れた。


劣悪なピッチコンディションや天候への「対応力」は今後の課題

 凹凸の激しいピッチではテクニックの正確さが出にくく、また雨で滑る芝では、敏捷性も生かしにくい。日本の持ち味を発揮しづらい状況下だったが、同点弾を決めた下川は、「僕たちは日本で良い環境でサッカーをしていて、海外に来たらでこぼこなグラウンドで、しかも今日は雨も降っていた。滑ったり、緩かったりして、ボールを保持したいところでそれができなかった。こういうピッチでの対応力がまだまだなかった」と反省した。

 また、10番のMF山根陸(横浜F・マリノスJrユース)も、キャプテンらしく冷静に課題を挙げる。

「ボールを奪いにくる迫力や技術、こういうグラウンドでのプレー、全ての面においてフランスのほうが自分たちよりも一枚上手でした。ピッチコンディションとか、雨が降っていて芝の状態もアップだけで分からない。そういった状況はアジア予選でもありましたし、言い訳にはできない。『自分たちのやるべきことをやる』という意思統一といったものを、自分が中心となってみんなに伝えていくべきだと思う」

 ぬかるんで滑る芝は両チームにとって同じ条件。日本の選手たちもアジリティーや直線スピードでは負けていない。差が見えたのは、デュエルになった時の一歩目の加速だ。この一瞬の瞬発力においては、フランスの選手たちには段違いスピードがあった。

 しかし大会初戦のオーストリア戦に続き、フランス戦でも相手のプレッシャーやピッチコンディションに時間の経過とともに順応し、徐々に自分たちのゲームを出す対応力は見せた。


主将の山根は2019年のU-17W杯に出場して国際経験を積むことを目標に掲げる

 下川は、後半のシステム変更について、「まだ完璧ではないですけど、(システム変更への瞬時の対応が)できるようになっていかないといけない。みんなでコミュニケーションをとってやっていきたい」と話す。

「(同点弾のショートパスからのセットプレーは)特に練習はしていないです。そのままの“閃き”的な。相手が飛ぶかな、と思ってとりあえず足元のほうに速いシュートを打てば何か起こるだろうと信じて打ちました。自分はFWなので、ああいうチャンスが来たら絶対に蹴ろうと思っていたので、その自分の思いがゴールにつながって良かったです」

 フランスの監督が「非常に良い選手」と名指しした山根も、冷静に自己分析をする。

「前半20分間は、自分たちが相手のコートでプレーするということを意識していたので、多少ボールが空中に浮いているということが多かった。でも、20分くらい経ってから、自分とピピ(中井卓大)でコミュニケーションをとりながら上手くボールを動かせたんじゃないかと思います。展開力とミドルシュートは他の人より得意かな、と思っています。逆に守備、ボディーバランス、フィジカルは課題がありますけど、今日の試合でも出せたところは少なくはなかったと思うし、出せなかったところはしっかり持ち帰ってまた努力していきたい」

 一世代上の代表に混ざって来年ペルーで開催されるU-17ワールドカップに出場し、国際経験を積むことを目標に掲げる。

 中井ら新メンバーも加わり、「僕らの年はかなり元気が良い」(下川)U-15日本代表。主将の山根が「ピッチ外でも本当に雰囲気が良くて、バスでも音楽をかけて歌を歌いながら移動している。ホテルでも映像を振り返るミーティングでみんながしっかりと意見を言えていますし、そういった部分ではみんなが自分を出しやすい環境」と話すように、今回の遠征でチームの輪も深まっている様子だ。フランス戦当日はDF田中隼人(柏レイソルU-15)の15歳の誕生日だったが、みんなでサプライズのお祝いを企画しているという。


「イングランドには絶対に勝って2位か優勝。点を取ってチームを勝たせたい」(下川)

 フランス遠征も残るは3日のイングランド戦のみ。下川と山根の二人は、強豪との一戦に向けて抱負を語った。

「日本は世界でも対等に戦えるレベルになっていかないといけないと思います。フランス戦の経験を生かして、イングランドには絶対に勝って、2位か優勝。個人的には、FWなので点を取ってチームを勝たせたい」(下川)

「(試合の)最初から自分たちがやりたいサッカーをやるというのは、オーストリア戦から課題だった。イングランド戦では、最初から自分たちがボールを握って、自分たちのサッカーをしたい」(山根)

 来年のU-17W杯に出場する一世代上の代表チームに「昇格可能なメンバーを発掘する」というフランス遠征の目的は、良い雰囲気のなかで進んでいるようだ。


(小川由紀子/Yukiko Ogawa)