「なぜ日本代表はブラジルとネイマールが苦手なのか」

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日本代表は現在、ブラジル代表とネイマールに最も「カモにされる国」だ。

日本とブラジルはこの5年間で4回対戦しているが、0勝4敗2得点18失点(通算は0勝2分10敗)。どこの国ともそれなりに渡り合えるようになった昨今において、他と比較できないほど散々な成績である。

なかでもエースのネイマールには代表通算53得点中8ゴール(PK2つ)も決められている。これは2位アメリカ(4失点)の倍を行く数字である。

なぜ、日本はブラジルに全く歯が立たないのだろうか。なぜ、ネイマールにこれほど決められてしまうのだろうか。

暴論をいえば「5年に4度もブラジル代表と試合を組んだ、日本サッカー協会のマッチメイク能力が高すぎる!」となるが、それは冗談だ。

私は「2つのアナーキー」にその原因があると考えている。

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“ブラジルらしさ”が日本を苦しめる

まずはブラジルを苦手とする原因について論じていきたい。

日本人は真面目な民族と言われる。だからこそ、変則的なものに弱いと言われ続けてきた。おそらくサッカーでもそうなのだろう。

ブラジルは伝統的に「アナーキー」(無秩序)であることを武器にして戦ってきたチームだ。世界中の強豪を苦しめ続けてきたその異質を目の当たりにした時、日本にはひときわ激しい混乱がもたらされるのだ。

ブラジルには、欧州と違って“左右のバランス”を整えようという発想がない。むしろ左右で違いを作ることで、相手を惑わせる方策を取っていると言える。

通常、欧州では「中央で創って中央で決める、サイドは中央で決めるための補佐」という考えの下、組み立てと崩しがデザインされている。

しかし、ブラジルは基本的にサイドで創る。中盤を見れば分かるだろう。「ボランチの司令塔」が存在しないのだ。

司令塔は攻撃的MFか、最近ではサイドバックが担っている。欧州でこれに一番近いのが司令塔化する右サイドバックのダニエウ・アウヴェスと、ネイマールを擁するパリ・サンジェルマン(PSG)だが、それでも中盤はパサーが揃っているので、完全に組み立てがサイドに寄っているわけではない。

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今回のブラジル代表は「左で創って右で決める」形を取っていた。

左サイドバックのマルセロ&ネイマールが組み立てと崩しを担い、センターフォワードのガブリエル・ジェズスや右のウィリアン&ダニーロのコンビが決める。スペースに侵入してくるダニーロのラストパス&フィニッシュの精度がもう少し高ければ、あと2、3点は覚悟しておかなければならなかった。

このサッカーを近年の日本は苦手としてきた。アウヴェスが出てこなかったことを感謝しなければならないだろう。

日本人選手はここ数年、欧州に進出し、欧州のサッカーを学んできた。代表監督もここ3代はアルベルト・ザッケローニ、ハビエル・アギーレ、ヴァイッド・ハリルホジッチと西欧サッカーの薫陶を受けた人物だ。それは、戦術と選手の先端化を進めたが、一方でブラジル相手に限っては弱みとなっているのだ。

これは欧州で、戦術の進化に伴って昔に廃れたはずの戦術が有用になる現象(昨今の3バック再流行やレアル・マドリーの4-3-1-2導入等がその代表例だ)によく似ている。

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日本を惑わしてきたネイマールのハイブリッドさ

ネイマール自体の「アナーキーさ」も日本を苦しめている原因だ。

左のインサイドハーフから崩していくブラジルの伝統的な10番スタイルの継承者である彼は、同時に欧州で仕込まれた献身的なウインガーとしてのプレーも選択肢として持っている。

ブラジルの伝統的10番のプレースタイル自体、現代サッカーでは見慣れないものだが、そこにウインガーとしての要素まで加わっているのだからやりにくいことこの上ない。こちらも、先述のブラジルサッカーのスタイル同様、欧州中の猛者達を苦しめてきた要素である。日本のレベルと傾向になると、それがなおのこと厄介になるのだ。

ちなみに、もう一人「アナーキーさ」を理由に日本を苦しめている選手がいる。ネイマールと入れ替わるようにバルセロナに入団したパウリーニョである。

代表11ゴールのうち2ゴールを日本から奪っている彼は、時にポジションは何処なのか、と揶揄されるほど自由に動く。

その“自由人”過ぎるプレーは、ブラジル人を受け入れる文化を持たないイングランドではうまくいかなかった。しかし、バルサでは最低限守備しながら恐れることなく前線に飛び出すパワフルなプレーがアクセントになっている。中国に渡った彼を獲得した理由は、ネイマールの持つ「アナーキーさ」をバルサに補充するためだったのだ。

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やられっぱなしではない日本だが…

改善点は見られる。

今回は酒井宏樹にネイマールの専属マークを任せ、流れの中から決めさせなかった。読めないならずっと付いておくという古典的な方法ではあるが、サイドバックとしてはフィジカルの資質に恵まれている酒井宏をネイマールのマンマークにするのは有効な策である。

とはいえ、ネイマールと同サイドにはネイマールと同じくらい規格外でアンストッパブルなマルセロが存在する。酒井宏がネイマール専属マーカーとなれば、マルセロは野放しになるというジレンマもある。実際、今回はそのマルセロが自由にゲームメイクし、ミドルシュートまでぶち込んでいるのだから、ネイマール対策の弊害がモロに出ていたのだ。というか、そもそも対策のしようがなかったのかもしれない。

マルセロとネイマールを同サイドに置かれれば、やはり先述の話同様どこの強豪国であろうと手こずってしまうのだ。日本に限った問題ではないし、これは日本との相性云々の問題でもない。

極論を言ってしまえば、ネイマールを止めるにはマルセロの代表引退を待つしかないだろう。ネイマール単体ならマンマークや中央固めで何とか凌げるかもしれない。

しかし、ブラジルに他の強烈な個性がいて、ネイマールがそれを活かす術を知っている以上、ネイマールを止めてもブラジルを止めることはできない。月並みな答えにはなるが、日本選手の更なる個人能力の向上を目指すのみとしか言いようがないだろう。