見えてきた次のクルーズトレイン 豪華列車「四季島」の工夫
日本が「クルーズトレイン時代」を迎えようとするなか、次のそれが少しずつ、姿を見せてきました。そのひとつがJR東日本の「TRAIN SUITE 四季島」。「日本の美しさ、伝統、文化」を凝縮したといいますが、「和」の表現には難しいこともあったそうです。
見えてきた“次のクルーズトレイン”
2013年10月にデビューしたJR九州「ななつ星in九州」の好調を受け、日本の鉄道に「クルーズトレイン時代」がやってこようとしています。
来年、2017年5月1日(月)の運行開始を予定しているJR東日本の豪華クルーズトレイン「TRAIN SUITE 四季島(トランスイートしきしま)」。そのデビューまで1年を切った2016年6月16日(木)、最上級客室のモックアップ(原寸大模型)が報道陣に公開され、“次のクルーズトレイン”の姿が、少しずつ明らかになってきました。
この「四季島」は、「日本を楽しむあなただけの上質な体験」という方向性で運行される予定で、車両デザインのテーマも「日本の美しさ、伝統、文化」。その最上級客室「四季島スイート」とそれに次ぐ「デラックススイート」のモックアップへ入った筆者(恵 知仁:鉄道ライター)の率直な印象は、「これは走る高級旅館だ」というものでした。

畳と掘りごたつ、壁面には和紙や漆のパネルが貼られた「四季島スイート」(2016年6月、恵 知仁撮影)。
ひのき風呂、畳と掘りごたつ、そして室内を彩る彫金、壁一面に貼られた和紙。日本らしい格子のデザインが取り入れられた壁面には明るく光っている部分がありますが、薄い木材の後ろに照明を入れているとのこと。赤、黒のパネル状に見える部分は漆だといいます。

「四季島スイート」の浴室。トイレは温水洗浄便座(2016年6月、恵 知仁撮影)。
デザインを担当したのは、高級スポーツカー「フェラーリ」のデザインなどで知られる奥山清行さんが代表の「KEN OKUYAMA DESIGN」。山手線の新型車両E235系や秋田新幹線E6系なども手がけている同社の担当者によると、内装はモダンななかに長らく日本人が使ってきたものを取り入れており、「日本」を列車「四季島」の旅先のみならず、この車両そのものにも感じてほしいといいます。

「TRAIN SUITE 四季島」の外観デザイン(画像出典:JR東日本)。
ちなみに先頭車両の窓が複雑な形状をしていますが、これは日本の木々の美しさ、木漏れ日を感じてもらうデザインになっているそうです。
このモックアップを見て、昭和30年代、東京〜博多間に完全冷房の寝台特急「あさかぜ」が登場した際、当時の人はそれを「走るホテル」と表現したことを思い出しました。それから半世紀、「走る高級旅館」が登場します。
鉄道では簡単ではない「和」の表現
ただそうした「日本の美しさ、伝統、文化」を濃縮したという「四季島」の内装デザインには、難しいところもあったといいます。
鉄道車両は安全性を考え、素材には難燃性のものを使用せねばなりません。しかし難燃性の高い「鉄道用の和紙」などがあるわけではないため、難燃処理をし、鉄道車両に使えるよう工夫する必要があり、「和」の素材を使うのは簡単ではなかったそうです。

「デラックススイート」の、水蒸気を使うものの、暖房の機能がある暖炉(2016年6月、恵 知仁撮影)。
また「デラックススイート」の客室内には暖炉がありますが、これはもちろん本物の炎ではなく、水蒸気を使ったものです。しかし、本当に暖房機器を設置し、見た目通りの機能を持たせているとのこと。
ちなみに、料金は3泊4日で「四季島スイート」が1人95万円、「デラックススイート」が1人90万円です(びゅうトラベルサービス、2017年5・6月販売分。2名1室)。
なお2017年春には、JR西日本の豪華クルーズトレイン「Twilight Express 瑞風」もデビューする予定です。
