学生の窓口編集部

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恋人ができると、ひとつは生まれてくるのが「約束ごと」。誕生日には歳の数だけ赤いバラ、毎年クリスマスには〇〇ホテルでディナーなど、ほほえましい約束も耳にしますが、夫婦になったらいつでも取り消し可能なのは知っていますか?

例え口約束でも「契約」は成立し、結婚しよう! と婚約するのも契約のひとつ。ほかに好きなひとができたからなんて理由で破棄すると、慰謝料を請求されても文句が言えません。ところが結婚したあとは「話は別」で、一方的に取り消し可能、ある意味で約束にもなりません……。「先に寝てはいけない」など、奥さんに宣言する歌謡曲がありましたが、いったん承諾した約束ごとを、あとでNoと言ってもまったく問題ないのです。

■夫婦の約束はアテにならない?

ネット通販では「注文する」「受け付けましたメール」など、何段階か踏んでから成立するのに対し、売る/買うの両者が合意すれば契約は成立、口約束でも破れば契約不履行になります。恋人間の約束ごとに当てはめるのは興ざめですが、婚約などの大きなイベントはまさに契約で、一方的に破棄すると慰謝料を求められることもあります。性格的に合わない、家族が許してくれないなども正当な理由として認められなかった例がありますので、ノリと勢いでプロポーズ! はやめておきましょう。

ところが、結婚したあとはフシギなルールが適用されます。約束ごとを一方的に「取り消し」しても、まったく問題ないのです。

これは民法・754条(夫婦間の契約の取消権)とよばれ、いつでも、一方的にナシにできるとされ、たとえ「掃除はボクがやります」と言っても、あとで「やっぱりしません」が通用する、驚きのルールが存在するのです。昔ヒットした歌謡曲では、彼女に山ほど「〜してはいけない」的に「宣言」する歌がありましたが、結婚してから聞いたら全部チャラ… せっかくの弾き語りもムダに終わってしまうのです。

なぜこのようなことまで「法律」になっているのでしょうか? これは法律でしばるよりも夫婦の愛情や道義を重んじた結果で、いちいち法律で解決していては幸せな家庭も成り立たないからふたりで話し合って決めなさい、と受け止めるべきでしょう。

■離婚・秒読み状態は「夫婦」じゃない?

たとえ夫婦でも、この法律が通用しない局面もあります。仲が冷え切っているなど事実上夫婦とは呼ばない状態では効力がないのです。

たとえば、離婚するにあたって「家は奥さんのもの」と決めたのに、あとで夫がやっぱりイヤだと言い出した場合、法律的には夫婦なので民法・754条によって一方的にナシにできるはずですが、離婚すると決めた=夫婦関係が破たんしている、つまりすでに夫婦ではないから通用しない、とした判決があります。これを機に、修復不能なほどモメてからの取り消しは無効、が一般的になっているのです。

一方的に取り消し可能なんて聞くと、かえってモメごとが起きそうですね。さかのぼれば、女性がNoと言いやすくするための法律だったようですが、いまとなっては754条のお世話にならないことが「円満」の秘けつかもしれません。

■まとめ

 ・婚約も一種の契約。一方的に破棄すると、慰謝料を請求される可能性あり

 ・夫婦間の契約は一方的に解消できる、という法律がある

 ・離婚すると決めたあとなど、事実上破たんしている状況では無効

(関口 寿/ガリレオワークス)