ロンドンオリンピック、前半戦を終えて

ロンドンオリンピックにおける中国勢の戦績は当初の大方の予想どおり、北京オリンピック時の金メダル総数トップを維持することはできず、8月3日あたりからアメリカが総合得点でトップとなり、陸上競技種目が始まってからはアメリカ勢はさらに記録を伸ばすものと見られている。しかし、中国もスポーツ大国として、ランキング2位は保つであろう。
今大会の始まる前から、中国スポーツ界のかなりの人が、自国開催の時のような好条件はもはやなく、おそらく少しはランクダウンすると見ていた。これはこの4年間のさまざまな競技大会での強豪諸国の動きや中国スポーツ界におけるベテラン選手の引退などをあわせて総合的に分析した結果とみてよい。それでも中国勢のロンドンオリンピックにおける全般的なパフォーマンスはかなりよく、とくに水泳種目では孫揚選手や葉詩文選手ら世界レベルの選手が現れ、フェンシングのエペ種目でも金メダルを取得し、全般的には中国はスポーツ大国としての面目を一応保っていると言える。また、卓球、バドミントン、男子体操でもかなりよい戦績を残しているので、国内のスポーツファンも一応納得できるものと思われる。しかし、最終的にアメリカと中国の順位はどうなるか、まだ分からない。
今回は中央テレビ(CCTV)も700名ものスタッフを送り込んで、毎日実況放送、ベテラン選手を交えての対談、解説をくり返し流しているので、「オリンピック漬け」の日々が続いており、中国がスポーツをいかに重視しているかがうかがえる。
今回、中国の女子水泳選手が好成績を示したことでドーピング疑惑が持ち上がったが、これもオリンピック主催者側によって疑惑は解かれた。また、ごく少数の選手がスポーツマンシップにふさわしくない行為があったことで、中国の主管部門の人が国民に反省の意を示している。こうしたことは、スポーツ大国の道を歩む中国としては、これから気をつけるべきであろう。
中国スポーツ界の成長ぶりは新中国建国以来の先人たちや、少年スポーツ学校の指導者たちの努力のたまものであり、私見ではあるが、これから持続可能な発展をとげるためには、いろいろ新しい時代環境にふさわしいやり方を考えねばならない時期にさしかかっている。中国のシステムではいったん決断すれば必ずなしとげられるので、これはそれほど心配することはないだろうが、国民の選択肢の増加、受験勉強の負担などで、幼い頃からスポーツを楽しむ環境が以前より少なくなっている状況のもとで、いかにして建国以来のスポーツの発展を保ちつづけるか、そして引退した選手たちの再就職など、新しい課題の解決に取り組まなくてはならない。とくに世界のスポーツ界における競争が日ましに激化している昨今のこと、これはおろそかにできない。(執筆者:林国本・元駐日特派員 編集担当:水野陽子)