カンボジアの首都プノンペンで摘発された国際詐欺拠点。当局はカンボジア人女性3人を逮捕した

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「韓国人です。日本で新しい友達を作りたいと思っています。もしよければ、ぜひ友達になりましょう!」──6月12日、カンボジアで摘発された詐欺拠点。日本をターゲットに活動していたとみられ、パソコンのモニターにはこのような日本語の文言が並んでいた。

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 日本に限らず、世界各国でカンボジアに潜伏する詐欺組織による事件が多く発生している。事態を重くみたカンボジア当局は連日のように詐欺拠点を摘発。首都プノンペンで起きた今回の事件では、カンボジア人女性3人が逮捕された。

 国際詐欺グループの現状を取材。いま、何が起きているのか──最新情報をお伝えする。【前後編の前編】

  当局発表によると、今回の事件では、パソコン5台、詐欺行為に使われていたスマートフォン34台、そのほかにもPCモニターなどが押収されたという。多くの事件では、「かけ子」として日本人や中国人、インドネシア人、タイ人といった外国人が摘発されている。

 大手紙国際部記者が解説する。

「カンボジア当局は、詐欺拠点の根絶を掲げ連日のように100人単位で摘発を進めています。ただ、カンボジアに詐欺拠点が乱立している実態はこれまで問題視され続けており、これまでに何度もフン・セン前首相らが"根絶発言"をしています。しかし、問題はいまだ解決せず、むしろ深刻化している。

 カンボジアでは、オンライン詐欺やオンラインギャンブルの違法拠点を中心とした地下経済が国のGDPの30〜60%を占めているとの報告もあり、発見されていない組織も多数存在しているとみられます。同国の詐欺組織の実態を正確に把握している人は、世界中どこにもいないと思います」

 カンボジア発の詐欺のターゲットは日本などアジアだけでなく、世界各国に広がっている。欧米などで「ピッグ・ブッチャリング」と呼ばれる詐欺は深刻な社会問題だ。SNSなどを"狩り場"としており、恋愛感情などを利用して長期間にわたって信用を築き、最終的に暗号資産投資へ誘導して全財産をだまし取る手口。家畜のように肥えさせられて最後は全て奪い取る、といった卑劣な犯行からこの名がついた。

「テキサス大学の教授らが2020年1月から2024年2月までの4年間を調査し、被害額が推計750億ドル(約11兆円)にのぼると発表しています」(同前)

 現地報道などによると、フン・セン前首相の息子、フン・マネット現首相は2025年7月、大掛かりな摘発を指示し、政府によると今年4月までに250以上の拠点を閉鎖し、1万3000人以上の外国人を強制送還してきたという。

 そんな中、詐欺の実行犯としての役割が、外国人から現地カンボジア人に移ってきている傾向があると、現地在住の日本人が明かす。

「元々、カンボジア人も長く詐欺拠点に加担してはいました。拠点の掃除や運転手、弁当の調達など、組織が詐欺を行う上でのインフラ整備の手助けをしていた。詐欺拠点ができて求人が生まれると、近くの住民らがそこに転職するんです。カンボジア人にとって、それまでの月給の2倍、3倍の報酬をもらえるわけですから。

 彼らとしては『外国人が外国人を騙して金を取っている。しかもお金を持っている人から取って何が悪いの?』といった感覚です。しかし摘発が続いて外国人が減ってきたからか、彼ら彼女らを組織が実行役として使うケースが目立ってきたんです」

 冒頭の事件も、カンボジア人の女3人が実行役として直接日本人を騙していた事件だ。その手口は一体どういったものなのか。後編ではこの事件の詳細に迫る。

(後編につづく)