米が再び「ウクライナ」に意欲…「蚊帳の外」だった欧州、「仕切り直し」で関与強化期待
対イラン「終結」 和平へ本腰
【エビアン=上地洋実、ジュネーブ=阿部真司】先進7か国(G7)の首脳は16日、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領を交え、ロシアによるウクライナ侵略について協議した。
米国のトランプ大統領はイランとの戦闘終結に合意し、ウクライナとロシアとの仲介に再び意欲を見せている。欧州としては仕切り直しの好機と捉え、関与を強めたい考えだ。
ゼレンスキー氏は16日、G7サミットでの会合後、「重要な焦点は外交を前進させ、ロシアに戦争を終えさせることだ」とX(旧ツイッター)に投稿した。これに先立ち、ゼレンスキー氏は、14日に行ったトランプ氏との電話会談で、米国でプーチン露大統領と直接会談することを提案したと明らかにした。
トランプ氏は15日、フランスのマクロン大統領との会談で、米イランの戦闘終結に向けた「覚書」の合意を念頭に、「これが終わった今、我々はそれ(ロシアとウクライナの和平交渉)に集中するつもりだ」と述べ、仲介に再び本腰を入れて取り組む意向を示した。
米国が主導してきたロシアとウクライナの高官協議は2月を最後に途絶えている。ウクライナ東部の領土の扱いなどを巡る双方の溝が埋まらなかったことに加え、トランプ政権が2月末に始めた対イラン軍事作戦に追われ、和平交渉に注力する余裕がなくなった。
一方で、欧州はこれまでの協議で蚊帳の外に置かれてきた。米国の和平案では、北大西洋条約機構(NATO)や欧州連合(EU)へのウクライナ加盟など、欧州の主権に関わる事項が含まれていたにもかかわらず、ロシアが参加する協議の場に同席できずにいた。
危機感を強める欧州は、独自に外交を活性化させる道を探ってきた。今月7日には、英仏独の首脳がゼレンスキー氏とロンドンで会談し、欧州が関与してロシアとの協議に臨んでいくことを確認した。交渉にあたり、ロシアに即時の完全停戦を求めるほか、現在の戦線を協議のベースとし、停戦後はウクライナに多国籍部隊を展開させることなど、五つの条件を打ち出した。
英仏独の駐露大使は11日、モスクワでミハイル・ガルージン露外務次官と会談し、こうした方針を伝えた。ただ、ロシアはこれまでのところ米国が仲介する協議を重視する構えだ。
前線では露軍の進軍が鈍り、ウクライナ軍が占領地を徐々に奪還しつつある。米露から東部の割譲を求められていた2月までと比べ、ウクライナの交渉上の立場は強まっているとの見方もある。欧州諸国とウクライナはG7サミットの機会を通じて、トランプ氏に理解を求め、協調姿勢を打ち出したい考えだ。
