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20年前に偶然出会った男性から購入

英国在住のマイク・ハーストさんは、自身の1992年式『レンジローバー3.5 V8ヴォーグSE』(アーデンズ・グリーン)のフロントガラスに貼られたチェルシー&ケンジントンの駐車許可証を指さしながら、「これぞ正真正銘のチェルシー・トラクターですよ」と言う。

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チェルシー・トラクターとは、高級住宅街(チェルシーなど)で見かける大型SUVを揶揄する英国のスラングだ。お金持ちが街中で乗る、取り回しや燃費の悪いクルマを農業用トラクターやトラックに例えた皮肉である。


マイク・ハーストさんのレンジローバー3.5 V8ヴォーグSE    AUTOCAR

ただし、このレンジローバーに貼られた駐車許可証はマイクさんのものではない。19年前、信じられないことに道端で出会った男性からこのクルマを購入したときには、すでに貼られていたのだ。

マイクさんは当時のことをこう振り返る。

「彼(前オーナー)は『どこからか異音がして気に入らない』と言っていました。試しに近所を一周走ってみたら、ショックアブソーバーを交換するだけで済みそうだったので、『それなら何とかなる』と思ったんです。車両代として1350ポンド(約29万円)を支払いました。お買い得でしたが、主に錆の処理に2000ポンド(約43万円)以上費やしてしまいました」

高速道路でエンジンが故障したことも

とはいえ、約20年で2000ポンドなら悪くない金額だ。年間およそ100ポンド(約2万1000円)で済む計算になる。直近の出費は新しいラジエーター(中国製、185ポンド=約4万円)と、エンジンを降ろす必要のある深刻な修理だった。

「M25高速道路で故障したんです」とマイクさんは説明する。「エンジンの後ろにあるコアプラグのせいだろうと疑っていました。親しい友人にエンジンを降ろしてもらったところ、原因はウォーターパイプの水漏れだったことが判明したんです! そのとき、バルクヘッドとシャシーの接合部がひどく腐食しているのも見つかったので、それも直しました」


マイク・ハーストさんのレンジローバー3.5 V8ヴォーグSE    AUTOCAR

「この修理は別として、わたしにとってこうした初期のレンジローバーの魅力は、あまり信頼性が高くない(34年経った個体なので電気系統の問題などがある)ものの、比較的簡単に直せるところです」

「新品も中古部品も安くて豊富にありますしね。例えば、ヘッドライトはたったの20ポンド(約4300円)ですよ。一度ホイールを交換する必要がありましたが、意外と簡単に見つかりました。ただ、わたしが探し出したのは、少し色合いの違う緑色のものでした」

「ですが、パワーウィンドウのスイッチについては、自作のスイッチブロックに交換せざるを得ませんでしたね」

50年前からレンジローバーの大ファンに

マイクさんは1970年のロンドン・モーターショーで新型車を見て以来、レンジローバーの虜になったと語る。

「いつか必ず手に入れると心に誓ったんです。結果として、今では7台も所有しています。サウジアラビアで2台所有し、砂漠を走りましたが、残念ながらそのうちの1台はトランスミッションを壊してしまいました」


マイク・ハーストさんのレンジローバー3.5 V8ヴォーグSE    AUTOCAR

「あれは2ドアモデルでした。今でも、本物のレンジローバーは初期の2ドアモデルだけだと言う人がいますね」

「この1台は3年後に孫に譲るつもりです。実は、あなた(筆者)とのインタビューが終わったら、孫娘がこのクルマでブルックランズのオフロードコースを走ることになっているんです。彼女は運転免許を取得してまだ1年しか経っていませんが、大丈夫だと信じています」

マイクさんはミドルセックス・カウンティ・オートモービル・クラブの会長を務めている。彼は誇らしげに、同クラブがAUTOCAR誌の創刊からわずか10年後の1905年に設立されたと教えてくれた。過去の会員には、ブリティッシュ・レーシング・ドライバーズ・クラブの共同創設者である第5代ハウ伯爵や、速度記録保持者のサー・マルコム・キャンベルなどが名を連ねている。

元会長には第1代ブラバゾン男爵がおり、彼はチャールズ・ロールズと共に英国製ガス気球による初飛行を成し遂げた。

「イベントのときには、マーシャルなど諸々の作業にレンジローバーを使っています。数多くのオフロードコースを走ってきましたし、時には横転しそうになったこともありますが、それでもまた走り続けてくれます。見た目は少し古びて錆びついているかもしれませんが、その本質はやはりレンジローバーです」