若隆景の父・大波政志さんが25場所ぶり優勝の喜びを語った
福島市出身の小結・若隆景(31)が22年春場所以来、2度目の優勝を果たした。25場所ぶりとなる史上3番目の長期ブランクから賜杯を手にした。福島市内で料理店「ちゃんこ若葉山」を営む父親で元幕下・若信夫の大波政志さん(59)が場所中と優勝の翌日に取材に応じ、喜びを語った。
福島に元気を届けた優勝から一夜明けた25日、政志さんは「素晴らしかったですね。うれしかった」と笑顔で振り返った。
大関・霧島との優勝決定戦については「気合と気力が充実していて、今まで見た相撲の中で一番素晴らしかった」と絶賛。優勝する瞬間に今回初めて実際に立ち会えた。「優勝する一番を見られたのもうれしいけど、それよりも優勝決定戦でああいう充実した相撲を取れるっていうのが、驚きとともに感動した。喜ばしい」と目を細めた。「強い意志を持って、相撲を取れるんだ。ブレがない」と成長に驚いていた。
今場所は右肘を痛めながらの戦い。場所前には患部を見せてもらった。「真っ黒だった。今場所出られるのかなと思った」と政志さんが言う状態だったが「早い相撲を取ろうとしているのが、いい方向につながっている。頭を上げず、顎を引いている」と好調を分析していた。以前は左右の押っつけを生かして攻める相撲だったが、「今は右を差して左前みつを取り、頭をつけて前に出る相撲に変わってきた」と進化を説明。「勝つべくして勝っている感じ」と評価した。
22年春場所以来の優勝。右膝の大ケガ、幕下転落を乗り越えての賜杯。「ケガに負けて終わるような性格じゃない。いつか戻ってきて、大関やその上を狙うと分かっていた」と父は復活を信じ続けていた。
初優勝時とは違った感情もある。当時は新関脇で「あれよあれよという間に優勝した感じだった」が、今回は「全部乗り越えて実績をつくっての優勝。前回より一回りも二回りも大きくなった。精神的にも成長して、相撲も安定感が増した」と成長を実感した。
優勝後には「今日はありがとうございました」と若隆景本人から声を掛けられ「よく頑張ったね」とねぎらったという。ただ、優勝セレモニー、支度部屋の万歳三唱、パレード、部屋打ち上げ、取材対応、後援会のあいさつと続き、「(本人と)しゃべってる暇なんかない」と笑った。
両国場所だったこともあり、若隆景の子供たちも会場で優勝を見届けた。政志さんは「輝かしい姿を子供たちに見せることができて、本人も満足だったと思う」と父親としての顔ものぞかせた。
今後は大関獲りへ再スタート。「自分の信じた通りにやっていければ」と期待を寄せた。
福島のファンへは「皆さんの応援が力になる。本人の誇りや勇気になる。これからも応援よろしくお願いします」と感謝を口にした。(高橋 佳寿)
≪世界でも相撲人気≫ちゃんこ若葉山には全国からだけではなくカナダ、シンガポール、英国、オーストラリアなど世界中からファンが訪れる。「(相撲が)衛星放送で世界中で流れている。カナダの人は夜中の1時から3時まで生放送を見ているみたい」と話し「ファンはここで一生懸命パネルの写真を撮る」と世界の相撲人気も大波さんは実感していた。
≪県民の応援に感謝≫テレビ企画の「県民スポーツ栄誉賞」で「我が地元代表アスリート」として若隆景は3位に選ばれた。政志さんは「凄いですね。県民の方が応援してくださっているから」と感謝した。「施設とかに行くとおじいちゃん、おばあちゃんから一生懸命応援して毎日楽しみに見ている」とお礼を言われる。「だいぶ貢献もしてるな」と息子の地元の存在感に目を細めた。
≪駅には400人のファン≫24日の千秋楽の取組を映した福島駅西口の大型ビジョンには約400人のファンが勝敗の行方を固唾(かたず)をのんで見守った。決定戦で勝利した際には「バンザイ」の声が湧き起こった。60代の後援会女性は「良かったです。ケガを乗り越えた2回目の優勝で」と感慨深げ。家族で応援しているという40代の女性は「本当に胸がいっぱい。絶対大関になると信じています」と涙ぐんでいた。

