日本代表の前田遼一コーチが19日、報道陣の取材に応じ、ジュビロ磐田U-18指導者時代の教え子だった20歳FW後藤啓介のW杯メンバー入りに感慨を語った。

 前田コーチは現役引退後の2021年、磐田U-18コーチで指導者キャリアをスタートし、翌22年には監督を担当。当時、高校1〜2年生だった後藤は本職だったボランチだけでなく、現在のストライカーにも挑戦しながら高円宮杯プレミアリーグで得点を量産し、のちのキャリアにつながる土台を築いていた。

 前田コーチが23年から日本代表コーチに就任したことで、師弟関係は2年間でいったん幕を閉じた。しかし、後藤も同年にトップチーム昇格を果たすと、初年度からJ2リーグ37試合7得点を記録。24年からのベルギー挑戦を経て、昨年11月からA代表の舞台で再会を果たした。

 後藤にとっても前田コーチとの出会いは大きな転機だった。高校時代の後藤は今よりもボランチへの思いを強く持っていたが、前田コーチは自身と同じストライカーとして我慢強く起用。難しいマネジメントであったことは想像に難くないが、結果的にはこの采配が「20歳でのW杯メンバー入り」という快挙を大きく助ける形となった。

 前田コーチ自身は当時の後藤について「練習に取り組む姿勢だったり、サッカー好きで休みの日もクラブに来てサッカーを練習したりということで、当時から向上心がとてつもないなというのを感じていた」と振り返りつつも、当時の起用については今も葛藤もにじませる。

「ボランチをやりたいとか、当時はセンターバックでもいいくらいだと言っていたし、技術的にもそういうことができる選手だというのは見ていて感じた。チーム状況もあっていろんなところで行ければいいなという思いで起用させてもらっていたが、ストレスを感じることもたぶんあったでしょうし、そういう意味では僕以外の人が見ていたらもっとすごい選手になっていた可能性もあるので、自分自身どうだったのかなというのは今でも思います」

 ただ、日本サッカーにおいて大型ストライカーの育成は永遠の課題。これほど早くヨーロッパで台頭した例は他におらず、異例の成功例とも言える。後藤はプロ入り当時、「(前田コーチから)相手の最終ラインと駆け引きして、ゴール前にいろというのはずっと言われてきた」と明かしていたが、同じポジションで豊富な経験を持つ恩師から受けた薫陶が現在のキャリアにつながっているのも間違いなさそうだ。

 そんな師弟関係で臨む初のW杯。自身が届かなかった夢舞台に送り出す前田コーチは「しっかりと他の選手とフラットに見ることは心がけて考えている」という点を強調しつつも、「高校時代から見させてもらった選手とA代表で仕事ができたこと自体が嬉しいことだったし、最終的にメンバーに入ったということはすごく嬉しいことだなと思う」と感慨を口にした。

(取材・文 竹内達也)