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ニュースのその先を考える記者解説。13日のテーマは「AI動画が子どもの脳に悪影響?」。ニューヨーク支局・櫻茜理記者の解説です。

YouTube毎日利用 2歳未満35%、2歳〜4歳で51% 問題点も指摘

ニューヨーク市内ではここ数年、子どもたちがスマートフォンなどで動画を見ている光景をよく目にします。

――日本でも、電車の中などでよく見かけます。

シンクタンクアメリカの保護者を対象に行った調査によると、中でもYouTubeを毎日利用しているという子どもの割合は、2歳未満で35%、2歳から4歳だと51%にのぼるということなんです。

子どもが落ち着く、教育的なコンテンツが多いとされ、学習の一環にもなるなどの理由で広く利用されていますが、問題点も指摘されています。

■「粗悪なAI動画」見続けると…現実世界との区別などに悪影響?

先月、子どもの権利を守る活動に取り組んでいる団体は、230以上の教育団体や専門家の署名を集め、YouTubeやGoogleに書簡を送りました。

子ども向けのYouTube KidsからAI生成コンテンツを排除することや、YouTubeで、AIによって生成された子ども向け動画を禁止することなどを求めたのです。

――生成AI動画のどんな点が懸念されているのでしょうか?

例えば、「エレファント」と歌ったポップな音楽とともに、ピンク色の象が綱の上で逆立ちを披露する動画や、「Giraffe(ジラフ)」の文字とともにキリンが勢いよくプールに飛び込む動画などがあります。

こうした一見、教育的に見えて現実にはあり得ない描写である「粗悪なAI動画」を脳が発達段階で影響を受けやすい子どもが見続けると、現実世界との区別や学習能力、メンタルヘルスなどに悪影響を及ぼす可能性があると指摘されているのです。

■“質より再生回数” 「粗悪なAI動画」が急増

――こうした「粗悪なAI動画」というのは増えているのでしょうか?

はい。近年、AI技術の発展によって誰でも簡単に短時間で動画を作れるようになり、粗悪なAI動画は増え続けています。

さらに、質の良さよりも再生回数の獲得を優先し、広告収入を得ようとする動きも増加に拍車をかけていると指摘されています。

テンポが速く、鮮やかな色合いなどを意識した動画は子どもの注意を引きやすく、また、子どもは連続で視聴する傾向があるといわれています。

そして、視聴履歴や興味に基づいておすすめ動画を表示するYouTubeのシステムと結びついて、AI動画が急増しているということなんです。

■Google側は対策も…団体“不十分”と指摘 専門家は…

――YouTubeを手がけるGoogle側は、どのような対策を講じているのでしょうか。

Google側は、クリエーターにAI動画を投稿する場合は、それを明示するラベルを画面上に出すことを義務付けていますが、団体は、ラベルがほとんど使用されておらず、また、子どもはラベルを見ても理解が難しく、対策が不十分だと指摘しています。

こうした状況を踏まえ、子どもの発達に詳しい専門家はこのように呼びかけています。

ミシガン大学医学部・ラデスキー准教授
「意識的に人間が自らの手で生み出した映像などを子どもに見せるよう努めることが、AIの波に流されない『AI耐性』のある子どもを育てるための一つの方法だ」

また、YouTubeでは、保護者がチャンネルをブロックする機能があるため、少しでも違和感を覚えるものがあれば、そうした機能を活用することを推奨しています。

■社会全体で「AI耐性」を高める

――櫻さんがこのニュースで一番伝えたいことはなんでしょうか。

「社会全体で『AI耐性』を高める」ことです。AI技術は非常に便利ですが、使い方次第で悪い影響を与える可能性があります。

子どもたちが安全にデジタル空間と向き合える環境を整えるために、みんなで問題意識を持つことが重要だと感じます。