気象庁は、今年の夏までに「エルニーニョ現象」が発生する可能性が90%と、非常に高まっていると発表しました。エルニーニョ現象が発生した年は、日本でも異常気象による大規模な災害やコメ不足などが起きています。

「エルニーニョ現象」で長雨、大型台風、極端な風水害リスク?

エルニーニョ現象は、南米ペルー沖から中部太平洋の赤道域にかけて、海面の水温が平年に比べて高い状態が1年程度続く現象です。発生すると日本では夏の気温が低くなり、冬の気温は高くなりやすくなります。

長雨やゲリラ豪雨、そして進路を変えた大型台風の接近など、極端な風水害のリスクが高まる恐れがあります。

エルニーニョ現象が発生する可能性は90%

現在はエルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態と見られています。しかし、太平洋赤道域では海面水温が平年より高い状態となっており、徐々にエルニーニョ現象の特徴に近づきつつあるということです。

気象庁によると、夏までにエルニーニョ現象が発生する可能性は「90%」と予測されています。

エルニーニョ現象が日本にもたらす影響と過去の災害

エルニーニョ現象が発生すると、日本付近では太平洋高気圧の張り出しが弱まる傾向があり、「梅雨の長期化」「大雨・水害」「日照不足による冷夏」などが発生しやすくなります。

しかし近年は、地球温暖化や他の気象条件も重なり、これまでのセオリーが通用しない極端な現象が起きています。

2023年は「梅雨期の記録的大雨」と「災害級の猛暑」

直近でエルニーニョ現象が発生した2023年は、6月から7月にかけて梅雨前線の活動が非常に活発化しました。

九州から東北地方にかけての各地で「線状降水帯」が多発し、大規模な河川の氾濫や土砂災害が相次ぎました。

本来エルニーニョの夏は「冷夏」になりやすい傾向がありますが、この年は他の要因も重なって、逆に観測史上最高となる「災害級の猛暑」となりました。続く冬も記録的な暖冬になるなど、極端な異常気象をもたらしました。

2015年には関東・東北豪雨

強いエルニーニョ現象が発生していた2015年は、日照時間の低下により2年連続の冷夏となりました。

9月には、台風の影響から活発化した秋雨前線により「関東・東北豪雨」が発生しました。鬼怒川の堤防が決壊するなどし20人が死亡し、広範囲で深刻な浸水被害がおきました。

1993年には平成の米騒動と8・6豪雨災害

1993年は、エルニーニョ現象の影響で記録的な冷夏と長雨となり、深刻な米不足「平成の米騒動」に陥りました。また、8月に鹿児島県を襲った「8・6豪雨災害」では、大規模な土砂災害や河川の洪水・氾濫が発生し、死者・行方不明者は49人にのぼりました。

本格的な雨のシーズンに向けて

今後、秋にかけてエルニーニョ現象が続いた場合、長雨やゲリラ豪雨、そして進路を変えた大型台風の接近など、極端な風水害のリスクが高まる恐れがあります。

本格的な梅雨や台風のシーズンを迎える前に、地域のハザードマップの確認、非常用持ち出し袋の点検、避難経路の共有など、早めの対策が大切です。

なお、冷夏になりやすいエルニーニョ現象ですが、気象庁は「今年の夏は全国的に平年よりも気温が高くなる」と予想しています。予想は現在の気象動向を踏まえたもので、「変更はない」としています。