″中央構造線″が引き起こす「同時多発! 巨大地震」の危機
更なる巨大地震が迫る
本誌も懸念していたエリアでの大地震が、現実となってしまった--。
4月20日に千島海溝・日本海溝沿いの北海道・三陸沖でマグニチュード(M)7.7の地震が発生。青森県階上(はしかみ)町で震度5強の大きな揺れを観測し、岩手県久慈(くじ)市には高さ80cmの津波が襲来したのだ。本誌「FRIDAY」(4月17・24日号)で千島海溝・日本海溝の地震が切迫していると警鐘を鳴らした、京都大学名誉教授の鎌田浩毅氏が解説する(以下、コメントは鎌田氏)。
「千島海溝と日本海溝は太平洋プレートと北米プレートの境界にあり、約400年前に巨大地震が起きて以降″ひずみ″が溜(た)まっています。両海溝では今後、東日本大震災を上回るM9級の超巨大地震が起き、震度7の強い揺れと最大で30m近い巨大津波が北海道や東北の太平洋沿岸を襲う可能性がある。プレート境界の海溝で巨大地震が起きる前には、内陸でも地震活動が活発化することがわかっています。沿岸部以外も注意が必要です」
確かに北海道や東北では内陸地震が多発している。’03年7月の宮城県北部連続地震(M6.4)、’08年6月の岩手・宮城内陸地震(M7.2)、’18年9月の北海道胆振(いぶり)東部地震(M6.7)……。海側のプレートが陸側のプレートに沈み込み、内陸の断層を刺激していると考えられるのだ。
危機は東日本以外にも迫っている。
「’95年1月の阪神・淡路大震災(M7.3)以降、’16年4月の熊本地震(M7.3)、’18年6月の大阪府北部地震(M6.1)と西日本でも内陸の地震活動が活発化しています(図・上)。とくに注意が必要な超巨大断層がある。九州から関東にかけ1000km以上にわたり伸びる、世界最大級の断層の集合体『中央構造線』です」
影響しあう地震
中央構造線は距離が長い分、頻繁に多くの場所で地震が起きる。いつ、どこで巨大地震が発生してもおかしくないのだ。
「特徴は単発の地震で終わらないことです。例えば1596年9月1日に慶長伊予地震(推定M7.0)が起きてから、数日間で慶長豊後地震(同M7.0)、慶長伏見地震(同M7.5)が立て続けに発生しました。中央構造線やその延長線上の1ヵ所が揺れると他の箇所にも影響し、同時多発的に巨大地震が起きるんです。
政府の地震調査委員会は、特に危険な中央構造線上の地域を指定しています。近畿地方から九州までの全長約440kmにおよぶ、奈良県金剛山や和歌山県五条谷、愛媛県石鎚(いしづち)山、大分県由布(ゆふいん)院周辺などにある断層です。’16年4月の熊本地震も、中央構造線に連続する『大分-熊本構造線』で起きました。これらの断層で、巨大地震が間を置かず連続して発生する危険性がある。中央構造線が『地震の巣』といわれる所以(ゆえん)です」
各自治体は、中央構造線で巨大地震が起きた場合の死者数を想定している。奈良県・4300人以上、愛媛県・最大1万2750人、大分県・最大3万人--。「地震の巣」は、西日本各地に甚大な被害をおよぼしかねないのだ。
「巨大地震の危機が迫る中央構造線をはじめ、多発する内陸地震が暗示していると思われるのが、M9級の南海トラフ巨大地震(以下、南海トラフ地震)です。地震だけでなく九州から関東にかけ巨大な津波が押し寄せ、最大29万人もの死者が出るといわれる南海トラフ地震は、過去の地盤隆起などから2035年前後に起きると想定されます。過去にも南海トラフ地震が起きる40年ほど前から内陸地震が続発。実際、1944年の昭和東南海地震(M7.9)や2年後の昭和南海地震(M8.0)の発生前にも内陸地震が急増していたんです(図・下)」
日本の総人口の約半数にあたる6800万人が被災するという南海トラフ地震。その″前震″ともいえる中央構造線での巨大地震は、同時多発的に起きそうだ。
『FRIDAY』2026年5月15・22日合併号より
