逸材16歳の本音「契約しただけ」 史上最年少プロも…見つめる足元「何も成し遂げていない」
横浜FMの三井寺眞「プロ契約したということは、当然大きな責任が伴います」
4月4日に開幕したプリンスリーグ。
ここではリーグ戦で躍動を見せた選手を紹介していきたい。今回は関東2部の第5節、日体大柏vs横浜F・マリノスユースの試合から。16歳の誕生日を迎えた4月2日にプロ契約を締結して横浜FMの最年少プロ契約選手となったMF三井寺眞は、この試合に右インサイドハーフとしてスタメン出場。前半37分には決勝ゴールをマークして首位キープに貢献した。
ゴールシーンは圧巻だった。中盤でプレスを仕掛けてインターセプトをすると、こぼれたボールが左サイドのスペースに流れていった。
「(FW田中)陽瑛くんが左に流れてくれて、その瞬間に中を見たら、相手CBが陽瑛くんに釣り出されていたし、もう1枚のCBもボールを見ていて、自分が浮いている状態だったので、パスを呼び込むために走り込みました」
瞬時に状況を把握すると、ニアサイドのゴール前のスペースを見つけて、斜めのスプリント。そこに田中からマイナスの折り返しが届くと、右足のファーストタッチで前を向いて、遅れて飛び込んできたCBより早く右足を振り抜いた。冷静かつ正確なシュートがニアサイドを射抜き、前節の西武台戦に次ぐ、2戦連発弾でチームを勝利に導いた。
ゴール後も鋭いドリブル突破と果敢なプレスバックで、攻守において強度の高いプレーを見せたが、疲れが見えた後半20分に交代を告げられた。それゆえに試合後は反省のコメントが多かった。
「適応力の足りなさを感じました。トップとユースの行き来をするなかで、天然芝と人工芝の違いや、ボールの滑る、滑らないなどの違いがあるなかで、きょうはトラップの際に足元にボールが詰まってしまって、相手にかっさらわれてしまうシーンが何回かあった。これからトップとユースを行き来する回数はより増えるので、適応力をもっと上げていかないといけないと思っています」
もちろんこの春にまだ高校生になったばかりで、横浜FM自体にもこのタイミングで仙台からやってきたばかり。プロ契約も含め、あまりにも大きな環境の変化に戸惑うことも多かった。だが、三井寺は冷静に自分の未来を見つめていた。
「16歳になってマリノスというクラブでプロ契約したということは、当然大きな責任が伴いますし、覚悟が必要ということは理解しています。まだまだやるべきことは多いですし、トップのスタッフの人たちからも、僕はまだフィジカルなどが全然できていないと指摘されていますし、自分でも実感もしています。
ユースで高校3年生の選手たちと一緒にプレーや試合をすることで、身に付けられることはたくさんあると思っていますし、現にきょうの試合でもフル出場できていませんし、ボールを奪われるシーンも多かった。この場所でしっかりと成長を掴まないといけないし、ここで圧倒的な結果を残せたら、自然とトップのメンバーに関われる回数も増えていくと思うので、どちらでも全力で臨むことを大事にしていきたいです」
話題性ばかりが先行するが、「まだ自分は契約しただけで何も成し遂げていない」としっかりと足元も見つめている姿に、三井寺が数あるJクラブユースのオファーから横浜FMに決めた時点で強固な覚悟を持っていたことを垣間見ることができた。
そしてプレーを見るなかで成長を感じたのが、守備の部分だった。もともと攻撃のドリブルはステップが細かく、ボールを足元に置いた状態でスピードアップできる能力を持っており、相手からすると直前で判断やコースを変えてきたり、ボールを隠したまま運ばれたりする厄介な武器だった。その一方で守備は一発で足を伸ばして食いついてしまったり、奪いきれなかったりする課題があった。
日体大柏戦では細かいステップで相手の動きを予測しながら鋭く寄せたり、プレスバックしたりしてボールを奪い切るプレーが多く見られた。
「もともと守備がめちゃくちゃ下手くそで、ユースやトップで前線のポジションにつくことが多くなったときに、富樫(剛一、ユース)監督や(トップの)大島(秀夫)監督に守備の角度やアプローチの仕方をたくさん教わりました。
以前、僕は大股でプレスに行ってしまっていたんです。それだと簡単に抜かれてしまったり、ボールに触れてもそのまま力で持って行かれてしまったり、奪えないことが一気に増えました。そこでいろんな選手やスタッフの人たちにもアドバイスをもらって、ステップの部分は意識するようになりました。フィジカルトレーナーさんもメニューを組んでくれて、そういう成果が出ているのかなと思います」
華々しい話題からのスタートにも一切動じず、周りの言葉に耳を傾けながら自分の道を真摯に一歩ずつ進んでいく。このメンタリティーもプロ契約につながった要因の1つであることを確信して、試合会場を後にした。(安藤隆人 / Takahito Ando)
