25歳のときDVエリート夫と離婚した54歳シンママが、30歳の娘の「結婚相手」に抱いた疑惑
2026年4月27日、動画配信サービス・Netflixのオリジナルシリーズ『地獄に堕ちるわよ』の配信がスタートした。これは、昭和・平成時代に活躍した占い師・細木数子さんの波乱の半生を描いた映像作品だ。戦後の貧困から生き抜いた細木さんの壮絶な人生や、10代から60代までの細木さんを演じた戸田恵梨香さんの見事な演技力も話題となっている。そして細木かおりさんが、数子さんの若かりし頃の写真をXにアップし、その美しさも注目された。
同時に、本作は「占いとはなにか」を考えさせるエンターテインメントでもある。占いには占星術、四柱推命、算命学、タロット、易学など多岐にわたる。その星の位置関係を読んで分析するやり方もあるし、統計学的な一面もある。いずれにせよ、未來は絶対決まっているものではないし、自分で変えられるはず。占いを参考にして自分の背中をどのように押すのかということなのではないだろうか。
キャリア10年以上、3000件以上の調査実績がある私立探偵・山村佳子さんは、メンタル心理アドバイザー、夫婦カウンセラーの資格を持つ。「占い師への依存が家族の関係に影を落とすことがあります。追い込まれた人が占い師のところに行き『この人だけが私を救ってくれる』と言いなりになってしまうこともあります。自分の判断に自信が持てず、相手に引きずられてしまう、依存性パーソナリティ障害のような状態になってしまうこともあるのです」という。
学生時代は警察官を希望していたが、当時は身長制限があり、受験資格はなかった。一般企業に勤務するが、目の前の人を助けたいという思いは強く、探偵の修業に入る。探偵は調査に入る前に、依頼者が抱えている困難やその背景を詳しく聞く。山村さんは相談から調査後に至るまで、依頼人が安心して生活し、救われるようにサポートをしている。
「探偵が見た家族の肖像」に続く連載「探偵はカウンセラー」(毎週月曜日更新)は、山村さんが心のケアをどのようにして行ったのかも含め、様々な事例から、多くの人が抱える困難や悩みをあぶりだしていく。個人が特定されないように配慮しながら、家族、そして個人の心のあり方が、多くの人のヒントとなる事例を紹介していく。
今回山村さんのところに相談に来たのは、54歳の会社員・信恵さん(仮名)。「娘が占い師と結婚すると言っているのですが、相手に問題があるんです」と連絡をしてきた。
山村佳子(やまむら・よしこ)私立探偵、夫婦カウンセラー。JADP認定 メンタル心理アドバイザー JADP認定 夫婦カウンセラー。神奈川県横浜市で生まれ育つ。フェリス女学院大学在学中から、探偵の仕事を開始。卒業後は化粧品メーカーなどに勤務。2013年に5年間の修行を経て、リッツ横浜探偵社を設立。豊富な調査とカウンセリング経験を持つ探偵として注目を集める。テレビやWeb連載など様々なメディアで活躍している。
「娘のピンチなんです」
信恵さんから連絡があったのは、朝9時でした。「娘のピンチなんです。すぐに調査をしてください」と焦っているようなので、まずは、お会いすることにしました。30分後にカウンセリングルームに来た信恵さんは、小顔で目が大きく容姿端麗な女性でした。細身のパンツスーツがよく似合い、顔も体もしっかりメンテナンスしていることがわかりました。
「お恥ずかしい話なのですが、娘の同居人というか、婚約者を調べて欲しいのです。不甲斐ない母親で、本人には強いことが言えないのです。あの男だけは許せない」と憤っています。まず、背景から伺うことにしました。
「今、娘は男と3年ほど同棲しています。反対したのですが、『どうしても彼がいい』と聞かない。先日、結婚すると言ってきて、『それだけはやめなさい』と反対しましたが、娘は強情で……」
現在、30歳の娘は、4年前に26歳の時に脱毛のエステサロンに正社員として就職します。しかし、低賃金かつ長時間労働で、売上のノルマもきつかった。また、店長がものを投げつけたり、罵声を浴びせたりするほど職場環境が悪かったのです。
「娘は高卒で、正規の仕事に就くのに苦労しました。娘にとって初めての正社員雇用で、なんとしてでもしがみつきたかったんでしょうね。1年は頑張ったのですが、占いに駆け込み、占い師である今の彼と出会って会社を辞め、彼の仕事を手伝うようになったのです」
身内のことは謙遜のレベルを超えて悪く言う。そういう方に多く出会ってきました。照れもあるのかもしれませんが、信恵さんの言い方にはかなりトゲがあります。そこでまずは親子関係について伺うことにしました。
夫のDVで娘が1歳のときに離婚
話を聞いていくと、娘との関係の前に信恵さん自身が深く傷ついてきたのだなということを感じました。
「娘はたった一人の家族です。私は25歳の時に、1歳の娘を連れて離婚しました。原因は元夫のDVです。私には毎日のようだったのですが、とうとう娘にも手を上げそうになったので、そのまま出てきたんです。当時は、世の中全体が、女の我慢と努力が足りないから、離婚するという認識で、養育費を踏み倒されても泣き寝入りするしかなかった。元夫はエリートで、玉の輿だとうらやましがられていました。でも玉の輿どころか、このままでは殺されるとまで思ったのです。それでも離婚した時は、親から『出戻りなんて世間様に恥ずかしい』と叱られたものです」
幸い、信恵さんは結婚前に勤務していた会社の関連会社に就職することができました。
「貨物関係の会社では、上司から『夜さみしいだろうから家に行こうか?』とセクハラを受けながら、歯を食いしばって頑張ったのです。やっと生活にゆとりが出て、中学受験を考えると、学校の先生から『母子家庭の子は合格しません』と言われました。偏見を跳ね返すほど、非の打ち所がない女性に育て上げようと頑張ってきたのです」
礼儀作法も厳しく教え、ピアノや水泳も習わせていたそうです。娘は中堅の中高一貫校に合格します。
「学校は金持ちばかりで、娘は『アパートはうちだけで恥ずかしい』と言う。そして、いつも小遣いをせびってくる。中学生で月2万円、高校で5万円あげていましたからね。当時、私は『あんたの学費と遊ぶ金で、我が家のお金はすっからかん』が口癖だったのです。親子関係が変わったのは、大学受験の時。出願が始まる1月ごろ、娘は『大学に行かない』と宣言しました。私は娘を大学に行かせるために、頑張ってきたのですが、聞く耳を持たない。土下座して頼むと、娘は『もうお金のことで恩に着せられたくない』って。娘が私の言葉に傷ついていたことを知りました」
私の育て方が間違っていたんです
その後、娘はアルバイトをしながら自立しようとしましたが、稼げるお金は少ない。信恵さんと同居を続けていましたが、生活費を出さないどころか、信恵さんにお金を借りることも多く、その度に「だから私が言ったとおりでしょ」と文句を言ってきたようです。
「今思うと、私の育て方が間違っていたんです。何回か娘は家を出ましたが、男の家に転がり込み、別れて帰ってくる。大学に行かない時点で、まともな一生にならないことはわかっていましたが、あまりにもひどい。そして、今回のバカ男でしょ。私がやめろと言っても聞かないから、証拠を突きつけてやりたいのです」
信恵さんはかなり偏った考え方をしているようです。それは、離婚したのちに金銭的にもゆとりがなかったことから、劣等感を抱いてしまっているように感じました。実際、周囲から離婚についてネガティブに言われ続けたようです。
「親や友達から『我慢して結婚していれば、いい生活ができていたのにね』と言われましたが、後悔はありません。問題は娘のことです。今、娘は結婚したいという占い師の言いなり。おそらく支配されているんですよ。私も会いましたが、口ばかり達者で変な奴。見た目はいいし、背も高いからモテるんでしょうけれど、全然ダメ。娘は潔癖な性格なので、浮気の証拠を見せれば、別れると思うのです」
「来週指輪を買いに行く」
相手の男性は紹介制の占い師をしており、かなり人気のようです。中国語と英語に堪能で顧客に外国人もいるとか。年齢は35歳で、住んでいるのは、都心にある築30年くらいのオフィスビル。その程度のことしかわかっていません。
「金持ちだと言っているのに、ボロいビルに住んでいることがおかしい。今、娘は夜の仕事をしている様子なのですが、多分それは男の勧めなんです。あと、昔から娘は結婚願望がないのに、『結婚する』と言うことにも違和感があります」
信恵さんは、『結婚はあまりいいものではない』と娘に教えてきました。
「結婚生活は今も昔も、女が我慢しないと回らない部分が多い。可愛い娘にそんな苦労をさせるなら、経済的に自立して自由に生きてほしいのです。今日相談したのは、さっき娘からLINEで『来週、指輪を買いに行くから、その後ご飯食べよう』と連絡が来たから。指輪を買ってしまえば、引き返すことができなくなる。今のうちに目を覚させたいのです」
信恵さんは、他にも違和感を抱えているようでした。そして、「結婚するのはいい。でもその前に白黒はっきりつけてから、娘を送り出したい」と言い、調査に入ることにしたのです。
◇信恵さんは「子育てに失敗したんです」と語るが、暴力から逃れ、必死で育ててきたのは敬意に値する。むしろ、信恵さんはご自身が必死に歯を食いしばって頑張ってきたからこそ、そして結婚を信じていないからこそ、疑い深くなっているのだろう。
子どもには子どもの人生があるが、もし誰かに騙されているのであれば、それは由々しき問題だ。現実を認識して、結婚するなら心から祝福したい。そういう思いなのではないだろうか。騙されたりしていないことを心から祈りたい。
調査の結果は後編「多目的トイレで…DVエリート夫と離婚した54歳シンママが驚愕、30歳娘の婚約者の素顔とさせられていた「仕事」」にて詳しくお伝えする。
