AI活用と緊急搬送ルート 中越国境の住民支える医療協力

【新華社南寧5月3日】中国広西チワン族自治区南寧市の広西医科大学第一付属医院。泌尿科病棟を訪れると、博士課程で学ぶベトナム人のファム・チュン・ヒエウさんが、母国語でAI(人工知能)ドクターと複雑な症状について話し合っていた。AIドクターには、ASEAN(東南アジア諸国連合)の少数言語に世界で初めて対応した対話型医療AI「ウロロジスト・トーク」(ウロロジスト=泌尿器科医)が搭載されている。
システムは、広西医科大学第一付属医院が中国AI新興企業DeepSeek(ディープシーク)の汎用大規模モデルをベースにソースコードを開発。120万字の臨床症例を知識ベースとして387種類の典型的な症例を網羅し、泌尿器科の診療判断のロジックを組み込んでいる。

ウロロジスト・トークの実用化にはファンさんも貢献した。ベトナム人留学生としてベトナム語データの校正を担当。日常的な言葉による症状説明をシステムに組み込み、専門用語と日常表現のずれを解消した。
中越間の医療協力には長い歴史がある。ベトナムと国境を接する広西チワン族自治区は両国の医療協力の最前線であり、国境をまたぐ医療サービスが両国住民の健康を長きにわたり支えてきた。
同自治区東興市とベトナムのモンカイ市を結ぶ北侖河一橋の傍らに「1369」の番号が振られた境界碑が立つ。中越初の国境緊急医療搬送ルートとして両市間に設けられた「1369生命直通車」は2016年の運用開始以来、国内外の患者約700人に迅速な救命措置や治療を提供している。

崇左市竜州県では4月10日、対ベトナム国境からわずか200メートルの場所に、国境付近の住民に医療を提供する中越辺民友好(水口)医療サービスステーションが開設された。県衛生健康局の林瑩(りん・えい)局長によると、同ステーションは、公立の衛生院(基層医療衛生機関)が持つ総合診療所としての実力と民間の歯科医療機関の専門性を組み合わせ、両国の国境住民に便利で効率的な越境診療を提供していく。
同県水口鎮の中心衛生院では、23年に342人だったベトナム人患者の外来受診数が25年に717人にまで増えた。25年9月には水口鎮とベトナムのタ・ルン間の通関地が国際通関地に格上げされた。越境貿易や親族訪問、出稼ぎなど人的往来は一段と増え、質が高く利用しやすい医療へのニーズが国境住民の間で高まっている。
