消費減税「0%」か「1%」か……首相の決断は? タイミングはGW明け 家計への恩恵はどう違う?【イチから確認 高市政策】
高市政権が進める政策や法案で何が議論され、日本がどう変わる可能性があるのか。そのポイントをイチから確認します。今回は、飲食料品の消費減税の行方を解説。公約通り0%にするのか、スピードを優先して1%にするのか。政治決断が求められそうです。
■0%だと…レジ改修に「1年程度」

鈴江奈々アナウンサー
「every.では今何が議論され、日本がどう変わる可能性があるのか、継続的にお伝えしています。防衛装備品の輸出や憲法改正など、高市首相が意欲を示す注目の政策や法案の議論が進んでいます。今回は、消費減税に向けた議論についてです」
日本テレビ政治部・渡邊翔記者(官邸担当)
「高市首相は、今年度中つまり遅くとも来年3月までに、2年間限定で飲食料品の消費税ゼロをスタートすることを目指しています。その実現に向けた議論をしている超党派の社会保障国民会議では28日、消費減税に向けた論点が取りまとめられました」
「その中でも大きな課題として指摘されているのが、レジの改修にかかる時間の長さです」
鈴江アナウンサー
「レジの改修の長さは以前からも度々議論になっていました。結局どれくらい時間がかかるとみられているんでしょうか?」
渡邊記者
「国民会議の実務者会議でシステムメーカーに確認したところ、消費税率0%だと1年程度かかるということが分かりました」
■複雑な仕組みに対応するPOSレジ

鈴江アナウンサー
「目標としている今年度中の実現は難しいということですか?」
渡邊記者
「計算すると1年は間に合いませんが、そもそもなぜ、レジの改修にこんなに時間がかかるのでしょうか」
「1年と言われているのは、スーパーや大手チェーン店で使われるタイプのPOSレジというシステムのことです。リアルタイムで売り上げや在庫を管理できるほか、例えばタイムセールやポイントサービスなど、複雑な販売の仕組みにも対応できます」
■レジシステム、税率ゼロを想定せず

渡邊記者
「逆に言うと、その分改修には時間が必要になってしまうということです。もう1つ理由があり、ゼロという数字そのものです。今のレジシステムは、税率ゼロを想定していないんです」
「ゼロというのは、システムにとってはかなり要注意の特殊な数字と言われています。ゼロが入ることで予期せぬエラーを起こしやすく、『2000年問題』を覚えてらっしゃる方がいるかもしれませんが、曲者の数字でプログラムを新たに作り直す必要が出てきます」
「(導入には)時間がかかるということで、今政府内で浮上してきているのが、消費税率をゼロではなく1%にするという案です」
■税率1%なら約5〜6か月で改修

鈴江アナウンサー
「1%案だと、時間的にはどれぐらい短くできるものなんでしょうか?」
渡邊記者
「食料品はもともと軽減税率が適用され、今は8%です。例えば5%・3%・1%などゼロ以外の数字であれば、特殊な数字を使わない分、POSレジで比較的素早く対応できます」
「大手システムメーカーに聞き取ったところ、税率1%であれば5〜6か月ほどで対応が可能という見通しが会議の中で示されました」
鈴江アナウンサー
「(0%の)半分くらいの期間ということですね」
渡邊記者
「ただ、これはあくまで大手メーカーに聞き取った話です。中小のシステムメーカーもあるので、全てのレジが必ずしも改修完了まで5〜6か月と言えるかはまだ見通せないという部分もあります」
■0%と1%で…家計への影響は?

桐谷美玲キャスター
「0%と1%で、(各家庭が)払う額の差はどれくらい影響があるのでしょうか?」
渡邊記者
「具体的な家計への減税の効果については、試算があります。野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英さんによると、4人家族の想定で食料品の消費税率が8%から0%になると、年間で約6万7000円の負担軽減になるとされています」
「これに対し1%だと、負担軽減額は年間で約5万9000円。年間で単純計算すると、8000円ほど恩恵に差が出るという計算になります」
森圭介アナウンサー
「レジの改修費用はコストとして乗ってきます。これぐらい純粋に負担が減るのかというのは甚だ疑問なところですが、それを差し置いても、ゼロと1というのは、心理的にも大きい差がありますよね」
■高市政権はジレンマ…どう判断?

渡邊記者
「消費者心理としてもゼロと1は違うところがありますね。高市首相、そして政権にとってもある種、ジレンマになる数字となっています。選挙での公約というのは(飲食料品に限って)消費税が2年間ゼロということでした」
「公約を実現するためにゼロにこだわると、対応が遅くなってしまうかもしれない。一方、1%だと早く実現できるけれども、公約からはズレてしまう。どっちを取るかというのは、政治的にはかなり難しい判断になってきます」
桐谷キャスター
「目の前の物価高にスピーディーに対応するなら1%でもいいのかなとは思うんですけど、同時発進で0%のシステムを作って、できたら0%にするみたいなことはできないんですか?」
渡邊記者
「システム改修にはそれなりの手間がかかってくるというのが、まさに議論の中で問題になっています」
「(仮に)1%にして0%にして、2年経った後にまた8%にするとなると、都合3回システム改修が行われることになります。事業者にとっては負担が大きいという声が出てくるかな、とは思いますね」
鈴江アナウンサー
「政府・与党内にも色んな声が上がっているんですね」
渡邊記者
「取材してみると、自民党の中では『レジのシステムという技術的な理由で公約を変えるのはおかしい』という慎重論があります」
「一方で政権幹部の1人は、『1%の方が早くできるとなった時に世論がどう反応するかによる。公約通りガチガチにというわけではない』と話しています」
■鍵になるのは…高市首相の政治決断

鈴江アナウンサー
「となると、高市首相の判断次第ということでしょうか?」
渡邊記者
「そうですね。まさに首相の政治決断が鍵になってきます。関係者に取材したところ、高市首相はスピーディーに大幅に税率が下がることが大事という考えで、公約通りの0%に加えて、1%案の検討も政府内に指示しているそうです」
「ただ、(首相が)どちらに傾いているかは現時点では分かりません。6月に国民会議は制度案を取りまとめたい考えなので、ゴールデンウィーク明けに首相の決断のタイミングが迫ってきます」
(2026年4月30日『news every.』より)