PKの後にピッチに倒れたヤマル。(C)Getty Images

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 いまだ未成年ではないかと疑いたくなるほどの若さでありながら、ラミネ・ヤマルは、これまで一人の責任あるフットボール選手として、そして成熟した市民として振る舞ってきた。

 成人に達した18歳の誕生日パーティーでの、成金的な顕示欲や虚栄心を糾弾した『審問官』たちの不吉な予言など、彼には無縁のものだった。彼は一貫して、スペイン代表とバルセロナという、二つの組織の利益を忠実に守り続けている。

 ヤマルは残り6試合・18ポイントという状況で、2位レアル・マドリーに勝点9差をつけて首位を独走させた立役者として、ラ・リーガの最終盤を欠場することになった。その一方で、スペイン代表の目標達成には欠かせぬ存在であり、ワールドカップ(W杯)には間に合う見込みだ。

 一昨年夏にハンジ・フリックがカンプ・ノウに降り立って以来、この右ウイングはチームで最も安定し、かつ違いを生み出す選手であり続けてきた。ロベルト・レバンドフスキの衰え、ラフィーニャの負傷、そして意欲に体がついてこないペドリ。他の中心選手たちが足踏みを余儀なくされる中で、ヤマルこそがラ・リーガ優勝に向けての保証人となったのだ。
 
 その責任感と献身性は、非の打ちどころがない。前述のセルタ戦で、自ら得たPKを沈めてバルサに勝利をもたらした場面などは、その最たる例だろう。この10番は、自身の左足の負傷と引き換えに、タイトルを大きく手繰り寄せる一撃を突き刺したのである。

 残りの戦いに向け、バルサはこれ以上ない優位なポジションを確保した。もちろん、ヤマルのいないクラシコは寂しいものになるが、エースを失ったチームは今、組織力で王者の座を確定させるべき責任の大きさを自覚している。

 ラ・リーガ連覇を確信しつつあるバルサとは対照的に、スペイン代表がW杯で頂点を目指すには、万全の状態のヤマルが不可欠だ。バルサが彼の復帰を急がせず、慎重な回復プロセスを選択しているのは、ルイス・デ・ラ・フエンテ率いる代表チームでのパフォーマンスを最適化させるためでもある。

 モロッコ代表を選択せず、スペインのために戦うことを決めた日から、彼の代表への忠誠心には疑いの余地がない。また、スペイン各地のスタジアムでバルサの選手として浴びせられた人種差別的なチャントにも、彼は毅然と耐え抜いてきた。RCDEスタジアムで先月31日に行われたスペイン対エジプトの親善試合(0−0)で「跳ねない奴はムスリム(イスラム教徒)だ」という叫びが飛んだ翌日も、彼はしっかりと自分の言葉で、その不当さを糾した。
 
 昨シーズンの終盤から、ヤマルの挑戦がチャンピオンズリーグ(CL)とW杯にあることは周知の事実だった。アトレティコの手によってCLから敗退した今、彼の野心はW杯へと向けられている。

 この大会は、近い将来バロンドール候補となるであろう彼のキャリアにとって、極めて重要な意味を持つ。かつてリオネル・メッシという巨大すぎる重荷を引き継ぎ、度重なる負傷に苦しんだアンス・ファティ(現モナコ)を翻弄した「背番号10」。しかし、ヤマルはその番号の価値を再び高めた。バロンドール獲得という目標は、もはや空想ではない。

 現在のバルサという宇宙は、ヤマルを中心に回っている。そして代表チームもまた、この10番に依存していることを理解している。これほど重要な選手に対しては、保守的かつ、無理を強いない回復法を適用しなければならない。

 W杯までに怪我を完治させ、さらには来シーズンのプレシーズンに万全の状態で合流する。そのために医療チームが設定したタイムスケジュールは、ヤマル自身の振る舞いと同じくらい重要になる。決して強いるのではなく、寄り添うことが肝要だ。大会の最後まで、この特別な才能を連れて行くために。