最大12連休となる今年のゴールデンウィーク。連休中に帰省する際、気をつけたいのが親世代と祖父母世代の育児常識の違いによる「祖父母ギャップ」だ。

【映像】育児の世代間ギャップ4つの具体例

 ニュース番組『わたしとニュース』では、育児における祖父母ギャップや角が立たない伝え方について、どうかん山こどもクリニックの小児科専門医・森戸やすみ氏の見解を交えながら、エコノミストの崔真淑氏とともに考えた。

アレルギーや誤嚥…アップデートが必要な育児の常識

 ゴールデンウィーク中、特に幼い子どもがいる家族が実家などに帰省する場合は、普段以上に気をつけるべきことがある。その一つが祖父母世代と親世代の育児の常識の違いだ。

 祖父母世代と親世代が子育てでより良く協力できるよう、考え方の違いを埋める『祖父母手帳』の監修も行った森戸氏は、次のように語る。

「食べ物がやはり一番多い。アレルギーに対する知識や、離乳食として与えるものについてアップデートできていないと、ギャップから何か問題が生じる可能性がある」

 例えば、幼い子どもがいる食卓にミニトマトやブドウなどが並ぶケースについても注意を促す。

「誤嚥(ごえん)と言って、気道に詰まってしまいやすいもの、口の中をするっと入り込んでしまうようなものは注意が必要。4センチくらいの大きいものでも入ることがあり、最近は母子手帳の後ろの方に、これが危ない大きさで、これ以下だったら気をつけなくちゃいけないよというのが載っている。また、それより小さくてもよく噛まずに飲み込んでしまうことがある。できたら小学生になるくらいまでは、丸い小さいもの、ブドウなどは切ってあげた方がいい」(森戸氏、以下同)

 祖父母としては、孫に食べ物をあげたくなるもの。食事の際は両親のどちらかが見ていることが必要だという。

「『あげたい』という気持ちはすごく根源的な欲求であると思う。ただ、『アレルギーなんて好き嫌いでしょ』と良かれと思ってあげてしまってはいけないし、それで大変なことになったら、おじいちゃんおばあちゃんも気の毒なので」

■床に錠剤…車の中や室内にも潜む危険

 また、帰省先で車に乗る際にはこんなこともあるという。

「自家用車の場合、両親はチャイルドシートを使うものだと思っている人が多い。祖父母世代だと『ちょっとそこまでだから』とか『チャイルドシートは自分の車にはないから抱っこでいいでしょう』という考えの方がいるかもしれないが、すごく危ないことなので適切につけてほしい」

 実際に、ヒヤリとした事例も…。2歳の娘と6歳の息子を連れて夫の実家に帰省したAさん。到着して早々に娘に異変が起きる。

「変な味」(Aさんの娘・2歳)

 Aさんにそう訴えてきた娘の手には、一つの錠剤が握られていたという。室内環境には比較的気を使う祖母だったが、なぜか薬が落ちていたのだ。

 祖父母世代が子育てをしていたのは20年から30年も前。当時は注意していたことでも、少し忘れていたり、抜けているものもあるかもしれない。

帰省先の病院を知らないことや、病院が空いているかどうかという点も心配でした。幸い、舐めただけですぐに吐き出したようだったので、うがいをさせて様子を見ました。体調にも変化はなく、安心しました。大人が多いと誰かが子どもを見ているだろうと、子どもへの注意が散漫になりがちなので、事前に祖父母世代と役割の確認をしておくと良いかもしれません」(Aさん)

■変化する育児常識と円滑なコミュニケーションのコツ

 帰省時に浮かび上がりそうな育児常識のギャップには、他にも様々なものがある。例えば、赤ちゃんのために用意してあげたくなるのが「ふわふわの柔らかい布団」だが、窒息などのリスクがあるため、現在は体が沈まない固めのマットレスなどが推奨されている。こうした情報は、こども家庭庁のサイトに掲載されている。

また、移動中や旅先で便利なのがレトルトの離乳食。祖父母世代の中には手作りでなければいけないと思う人もいるかもしれないが、森戸氏は「レトルトでのデメリットは医学的にはない」と指摘。常温で保存可能で、食品表示があることからアレルギー対策もできるなど、衛生面や安全面でもメリットがある。

 このギャップについて、崔氏は自身のエピソードを交えて次のように語る。

「私も外出時によくレトルトの離乳食を使っていた。わざわざ持って行くのはすごく大変。もしも義理の実家で何か言われたとしても、『自分たちが作るよりも健康的なんですよ』という訴え方もあると思う。」(崔氏)

■命を守るための対策と「エビデンス」の活用

 深刻な問題となるのが、チャイルドシート。6歳未満の子どもには使用が義務付けられている。準備を手間に感じたとしても、子どもの命を守るためには決して欠かせないことだ。

「最近では、チャイルドシートの貸し出しを無料で行っている自治体も結構ある。市役所や自治体に問い合わせてみてもいいかもしれない。いろいろな対策はあると思う」

 こうしたギャップについて、自分の両親であれば言いやすくても、義理の両親には伝えにくいこともある。崔氏は円滑なコミュニケーションのコツとして、次のようにアドバイスする。

「夫に言ってもらうことも1つだが、わたしは『どちらでもいいと思うんですけど、厚労省はこんな風に言っています』とエビデンスをチラッと見せつつ、『どうですかね?』と言ったりしている」

 育児常識の変化は、実際の事故や研究の積み重ねから導き出された結果でもある。「私の時代はこうだった」と言いたくなる祖父母の気持ちは理解しつつも、子どもの安全を守るため、理由とともに説明していくことも大切だ。

(『わたしとニュース』より)